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  • 2018/06/12 掲載

HRテックの基本は「5つのトレンド」で読み解けばわかりやすい

PERSOL INNOVATION FUND 加藤丈幸氏

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「HRテック」とはHR(人事)×テクノロジーの略で、最先端のテクノロジーを駆使し、人事業務の効率化・変革をもたらす。HRテックと一口にいっても、これまで導入されてきた人事管理や給与計算、労務管理などの人事向けシステムから、ロボットやAIを使うような労働力を獲得するサービスまで、幅広い。そこで、HR関連分野を対象に投資活動を行っているPERSOL INNOVATION FUNDの代表パートナーを務める加藤丈幸氏がHRテック発展の歴史から、5つのトレンドまで解説した。

フリーライター 中村 仁美

フリーライター 中村 仁美

大阪府出身。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在は主にIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。ネコと歴史(古代~藤原時代、戦国時代)好き。

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PERSOL INNOVATION FOUNDの代表パートナーを務める加藤丈幸氏


HRテックの分類と発展の歴史

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 加藤氏が代表を務めるPERSOL INNOVATION FUNDは、パーソルグループのオープンイノベーション推進を目的としたコーポレートベンチャーキャピタルである。国内外のHRテックのスタートアップへの投資にフォーカスしており、「500社以上のスタートアップとコミュニケーションを取っています」と加藤氏は語る。

 HRテックは非常に幅が広い。そこで同社では、以下の図のようにHRテックを分類している。

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HRテックの分類

 HRテックは大きく「人事・組織システム」と「労働力の獲得サービス」に大別され、さらに前者は「人事向けシステム」と「組織全体が関わるシステム」、後者は「一時的な労働力」「恒常的な労働力」「人間以外の労働力」を獲得するためのサービスに分類される。

 「人事向けシステム」には人事管理や給与計算、労務管理などの以前からあるシステムに加え、近年注目のタレントマネジメント、採用管理、アセスメント、分析レポート、ピープルアナリティクス、HRオートメーションなどが含まれる。また「組織全体が関わるシステム」としては、サーベイ、福利厚生、報償、勤怠管理、シフト管理、LMS、コミュニケーションツール、目標管理、業界特化SaaSなどがある。

 一方、「労働力の獲得サービス」は、「一時的な労働力」「恒常的な労働力」「人間以外の労働力」に分類される。「一時的な労働力」の獲得のためのサービスとしてはクラウドソーシングやオンデマンドスタッフィング、フリーランスマネジメントシステム、「恒常的な労働力」の獲得のためのサービスとしては求人サイトやダイレクトソーシングDB、「人間以外の労働力」の獲得のためのサービスとしてはロボット、RPA、AIなどを挙げている。

HRテックの発展の歴史

 「人事関連システムは、2000年初頭から徐々に進化してきました」と加藤氏は説明する。最初は人事情報の記録や人事の生産性向上、コンプライアンス、手続きの効率化のためのシステムである人事管理システムの導入が進んだ。

 次に従業員の能力の最大化、適材適所を実現するタレントマネジメントシステムや研修管理システムなどが登場。米国では2014年から、日本では昨年からつながりを強化するためのピープルアナリティクスやエンゲージメントシステムの導入が進んでいる。

 「その次のシステムとして海外を中心に注目を集めているのが、外部人材のマネジメントやチームの生産性を向上させるためのフリーランスマネジメントシステムやチームのパフォーマンス管理・分析ツールです」と加藤氏は語る。日本ではまだ外部人材の活用が進んでいるとはいえないが、米国ではあと5~10年後には、フリーランス人材が過半数を超えると予測されているからだ。

 人事関連システムでもう1つ、見逃してはならないトレンドがある。それがクラウド化の流れである。

 「まだまだゆるやかですが、着実にクラウド化は進んでいます」と加藤氏は説明する。というのも、クラウド化が遅れると、人事の生産性の向上も遅れるからだ。すでに米国では「Workday」という人事関連のフルパッケージSaaSを提供する会社も登場している。

人事・組織システム関連のトレンド

 加藤氏は、トレンドについても解説した。人事・組織システム関連で発展が著しいのが採用管理システム周辺だという。

 採用管理システムの主な機能は求人管理や応募者管理だったが、今では過去の応募者とのコミュニケーション機能(CRM:Candidate Relationship Management)やリファーラル(友人紹介促進の機能)、ビデオ面接機能や業務シミュレーションなどのアセスメント機能、採用活動の分析機能、入社手続きを自動化するオンボーディング機能などを提供するツールが登場しているという。

「海外では、LinkedInなどと連携して、過去の応募者の履歴を最新にアップデートするCRMサービスも登場しています。しかもそのアップデートした経歴情報を分析して、『こういう人がいます』と推薦してくれるのです」(加藤氏)

 この分野におけるもう1つの大きなトレンドが、プロセスの自動化だ。たとえば、応募者とのやりとりを自動化するチャットボットを開発している米Mya Systemsは、その代表例だ。

 日本ではSmartHRというベンチャー企業が登場し、入社の手続きなどを自動化する入退社管理サービスを提供している。「サービスインして2年ぐらいですが、すでに1万社に導入されています。日本のHRテックの代表的企業といえます」と加藤氏は述べる。

【次ページ】タレントマネジメントシステム、研修管理システムのトレンド

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