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  • 2020/01/17 掲載

バイトダンスとはいかなる企業か? Tiktok運営、株価8兆円のユニコーンはいつ上場するか

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CBinsightが2019年1月に発表した「メガユニコーン」リストで堂々の世界一位に輝いた企業が中国の「バイトダンス(ByteDance)」です。この名前を聞いてピンとくる人はあまりいないでしょうが、動画投稿アプリの「TikTok(ティックトック)」やニュースアプリの「Toutiao(トウティアオ)」を運営していると聞けば分かる人も多いのではないでしょうか。2018年11月の評価額は780億ドル(約8兆円)、なぜそこまで高い評価を受けているのか。今回は2020年の上場も噂される同社の謎に迫ります。

フューチャーブリッジパートナーズ 長橋賢吾 編集:編集部 松尾慎司

フューチャーブリッジパートナーズ 長橋賢吾 編集:編集部 松尾慎司

2005年東京大学大学院情報理工学研究科修了。博士(情報理工学)。英国ケンブリッジ大学コンピュータ研究所訪問研究員を経て、2006年日興シティグループ証券にてITサービス・ソフトウェア担当の証券アナリストとして従事したのち、2009年3月にフューチャーブリッジパートナーズ(株)を設立。経営コンサルタントとして、経営の視点から、企業分析、情報システム評価、IR支援等に携わる。アプリックスIPホールディングス(株) 取締役 チーフエコノミスト。共著に『使って学ぶIPv6』(アスキー02年4月初版)、著書に『これならわかるネットワーク』(講談社ブルーバックス、08年5月)、『ネット企業の新技術と戦略がよーくわかる本』(秀和システム、11年9月)。『ビックデータ戦略』(秀和システム、12年3月)、『図解:スマートフォンビジネスモデル』(秀和システム、12年11月)。
ホームページ: http://www.futurebridge.jp

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2018年にはアップルのティム・クックCEO(右)が中国にあるバイトダンス創業者Zhang Yiming氏(左)を訪問していた
(写真:Imaginechina/アフロ)


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メガユニコーン企業、バイトダンスの2つの事業

 バイトダンス(ByteDance)という中国企業をご存じでしょうか? 日本ではあまり馴染みのないスタートアップ企業ですが、2018年11月時点の同社の評価額は780億ドル(1ドル110円換算で8.58兆円)で、これまでスタートアップ企業の最大評価額であったライドシェア大手のUber(750億ドル、同8.25兆円)を上回る世界最大のスタートアップ企業となりました。

 加えて、同社はソフトバンクグループによるソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資していることでも知られています。では、なぜバイトダンスがここまで注目を集めているのか、その背景・戦略について探っていきます。

 そもそもバイトダンスとはいかなる会社なのでしょうか。まず、同社の事業ポートフォリオを図1に示します。現在、バイトダンスは、中国国内と海外において、ショートムービープラットフォームならびにニュースアプリを提供しています。

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図1:バイトダンスの事業ポートフォリオ
(筆者作成)

世界一のニュースアプリ「Toutiao(トウティアオ)」

 バイトダンスは、1983年に生まれた現CEOの張一鳴 氏が北京で2012年に創業しました。旅行検索サイトの「酷訊網」、不動産検索サイトの「九九網」の立ち上げに携わった帳氏が最初にヒットさせたサービスは、現在展開しているショートムービープラットフォーム「TikTok」ではなく、ニュースアプリの「Toutiao(今日頭条=トウティアオ)」です。

 トウティアオは、一言でいえば、日本のグノシー、スマートニュースといったニュースまとめアプリと同じです。アプリを起動すると、ユーザーの好みに合わせて複数のソースから集めたニュースを表示します。

 では、このトウティアオのどこがすごいのか? 筆者の中国人の知人によれば「毎日、欠かせないアプリ」といいます。やはり、2012年という早いタイミングでニュースアプリをリリースしたこと、そしてリリース開始後から現在までユーザーに関する膨大なデータが蓄積されており、こうしたデータの蓄積が「すごい」といえそうです。

 日本のWebメディア運営者も「時々、非常に多くのアクセスを集めることがあり、そのアクセス元がToutiaoということがある」とも言っています。

 なぜこれほどウケるのか。それはデータをもとにユーザーの好みに合わせたニュースの配信、あるいはそのユーザーに合わせた広告によるマネタイズをしっかり行っているからです。それはすなわちAI(人工知能)の力であり、「データは王様だ(Data is King)」といわれますが、トウティアオにもそれは当てはまるといえそうです。この点はこのあと説明するTikTokについても同じことが言えるでしょう。

 実際に、図2に示すように2019年7月時点での世界のニュースアプリダウンロードランキングではトウティアオが1位です。同調べによれば、MAU(Monthly Active User:月間アクティブユーザー数)は2.62億ユーザーとのこと。Yahoo! Japan NewsのMAUが2300万ユーザー、スマートニュースが1686万ユーザーなので(いずれもニールセン モバイルネットビュー調査なので単純比較できるわけではありません)、トウティアオがいかに巨大なニュースアプリなのかおわかりいただけると思います。

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図2:世界のニュースアプリダウンロードランキング(2019年7月)
(出典:SensorTower)

 MAU数で中国3位のクヴトウティオのIR資料によれば、同サービスのMAUは8080万ユーザーで、時価総額は7.25億ドル(12月12日 NASDAQ市場終値、日本円790億円)です。したがって単純なMAU・時価総額比較では、トウティアオはクヴトウティオの時価総額の3.2倍の価値があることになります。

ショートムービープラットフォーム「TikTok(ティックトック)」

 バイトダンスがユニークなのは、前述のニュースアプリであるトウティアオに加えて、ショートムービープラットフォーム「TikTok」(ティックトック)を展開していることです。

 ティックトックは日本でもキャンペーンを展開しているのでご存知の方も多いと思います。そのサービスを一言でいえば、15秒秒程度の短い動画(ショートムービー)を投稿したり、閲覧したりできるSNSアプリです。中国国内では、抖音(ドィーイン)、海外ではティックトックとして展開しています。

 中国テック企業の特徴は、やはり中国国内が広いので中国国内の展開がメインとなることです。一方、バイトダンスは中国国内の展開に加えて、2017年11月、ティックトックに似た動画&音楽共有アプリを提供する米国スタートアップ企業「musical.ly」(ミュージカリー)を約10億ドルで買収し、米国にも拠点を持つ点がユニークです。

 ただし、アプリを利用されている方であれば、「おカネの臭い」がしないと思われるかもしれません。実際、このアプリは、ユーザーの何気ない投稿が次々と表示されるので、何がスゴイのか、どこでマネタイズするのか分かりにくいでしょう。

【次ページ】ティックトックでマネタイズする4つの方法

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