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- 2014/01/08 掲載
カップ焼きそばペヤングの炎上、数十億円の被害から学ぶソーシャルメディアの初動対応
akinice design 代表取締役
ソーシャルメディアコンサルタント/ソーシャルメディアのリスク対策からマーケティングの活用方法の提案。1981年生まれ。大阪府大阪市出身。愛知工業大学卒業後、通信会社にて約8年間、法人向けのソリューション営業を行い、2011年にソーシャルメディアコンサルタントとして独立。
facebook、Twitter、ブログなど、誰もが自分で情報発信をできる『ソーシャルメディア時代』。企業のソーシャルメディア戦略サポートで基本方針やガイドラインの策定、教育研修、炎上対策、運営などをトータル的にサポートする。
ホームページ: http://www.akinice.com
発覚は消費者からのツイート

前回も解説した通り、消費者からのクレームが、SNSに投稿される例は後を絶たない。SNSやスマートフォンが普及していなかった時代であれば、消費者はまず、電話を使って企業に直接問い合わせたかもしれないが、最近では、企業が把握するのがインターネット上での騒ぎが起きた後、ということも少なくない。
今回も、当該の消費者本人がまるか食品に直接電話で連絡を行ったのは、ツイートの後だった。
たとえ元の写真を削除したとしても、既に拡散した写真がすべて削除される訳ではないにもかかわらず、このような対応を行ってしまったわけである。さらに、「お互いのためが云々いって圧力かけてくるあたりカチンときた」と、その後本人により投稿されたツイートからも、対応のまずさが見て取れる。
消費者本人は問題となった写真を、その後削除しているが、これらのまるか食品の対応への不満もツイッターを通じて拡散されることとなってしまった。
また、3日には保健所からの立ち入り調査が行われ、自主回収を命じられることとなり、多くのメディアもこれに反応した。この事態に対して、当初のまるか食品の見解は、製造過程での虫の混入を完全に否定するものだったが、これが後に騒動を大きくさせる原因となる。
初動対応が招いた不信感
保健所の立ち入りがあったあと、同社は問題となった商品を含んだ2商品を自主回収していたが、11日、新たに外部委託機関との調査結果から、現時点では製造過程での混入の可能性が否定できないこと、当面の間、全商品の生産と販売を休止する旨を発表した。まるか食品のこの対応には、各メディアから批判的な報道が集中した。実はメディアがまるか食品に対して、ここまで批判的な内容を報じるに至ったのには理由がある。問題の発覚直後の4日、まるか食品は、まだ混入の原因が特定できていない状況だったにもかかわらず、「製造過程での異物混入は考えられない」といった文章をホームページで発表していたからだ。各メディアからの個別の取材に対しても、強気の姿勢で同様の回答をしていたようだ。また、自主回収費用を保障するリコール保険へも未加入だったことも報じられた。これら一連の対応は、一般の消費者へと飛び火し、まるか食品の初動対応への批判と企業姿勢への不信感を招いてしまった。
【次ページ】他社の商品にも異物が混入
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