客による悪ふざけ投稿で企業に被害
7月以降、コンビニや飲食チェーンなどで相次ぐ従業員による悪ふざけ投稿だが、同様に広がりを見せているのが、「客」による悪ふざけ写真の投稿である。コンビニのミニストップ、スーパーのカスミでは、アイスケースに客が入り込み、その状況を客が撮影してツイッターなどに投稿した。これらの行為が問題として取り上げられ、ネット上で炎上騒ぎになり、カスミ側は商品の撤去や什器の入れ替えを行って対応した。
その他にも、回転寿しのスシローでは、ある客が他の客も共有する醤油差しを口にくわえる写真を投稿した。外部からの通報があり、スシローではすぐに調査に乗り出したが、店を特定するまでには至らず、対象地域の店舗全店で消毒、入れ替えを行うことになった。
また、中華料理チェーンの餃子の王将では、男性客が集団で裸になっている様子を写真に撮って投稿し、店が閉店することを発表、客に対して業務妨害と公然わいせつで刑事告訴した。さらに、客に対しての損害賠償請求も検討するとしている。
企業は、これらの行為のいわば被害者なのだが、批判の矛先が企業の管理体制に向くこともあり、ブランドイメージの毀損につながることになる。もちろん、陳列棚の消毒コストの負担、商品の廃棄も企業の損失であり、王将のように店側が閉店や休業などした場合には、その損害額は甚大なものになりうるだろう。
本連載ではこれまで、企業の炎上対策として、従業員への対応は、ガイドラインの策定と従業員教育が効果的であると解説してきた(
第1回、
前回)。企業に属する従業員の場合、企業と個人で労働契約が交わされているため、企業側が就業規則を定めたり、コンプライアンス教育をすることで一定の効果が見込まれる。
しかし、その対象が客となった場合、同様の対応ができない。企業にとってみれば客は、自社の商品やサービスを選んでくれる消費者であり、最も大切にするべき存在である。その最も大切にするべき存在である客に対して、企業が教育・指導するということはまず考えられない。
客の悪ふざけ投稿による炎上は、企業としては何としても避けたい事態ではあるが、自社の従業員に対する対策以上に難しい問題なのだ。こうした客の悪ふざけ投稿による炎上はどのように対策すればよいのだろうか。
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