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  • 2014/09/26 掲載

SNSで瞬く間に拡散。アイスバケツチャレンジにみるバイラルへの対応とそのリスク

連載:ソーシャルメディアの企業活用リスクマネジメント

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この夏、“アイスバケツチャレンジ”と呼ばれるチャリティー活動が、SNSやメディアなどを通じて世界中で大きなブームとなった。アイスバケツチャレンジには、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOやマイクロソフトの元会長 ビル・ゲイツ氏、アップルのティム・クックCEOなどのほか、スポーツ界や芸能界からも多くの著名人が参加した。しかし、一大ブームとなる一方で、その手法には多くの否定的な意見も寄せられた。今後もアイスバケツチャレンジのようなブームは起きる可能性があるわけだが、企業はこうした取り組みをどのようにとらえるべきだろうか。

アイスバケツチャレンジとは?

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 今回ブームとなった“アイスバケツチャレンジ”とは、筋萎縮性側索硬化症(以下、ALS)という難病に関する支援を目的に、多くの人々に参加してもらうことにより認知度の向上と寄付を募るものだ。

 アイスバケツチャレンジに指名された人は、24時間以内に氷水をかぶった動画を公開するか、ALS協会に寄付をするかの選択を迫られ(※アイスバケツにチャレンジしたうえで寄付をしてもよい)、さらに次のチャレンジャー3名を指名するというルールだ。

 このアイスバケツチャレンジは、YouTubeやFacebook、TwitterなどのSNSを通じて瞬く間にブームとなり、約1ヶ月間で世界中から40億円以上の寄付金が集まったとも報じられている。

 アイスバケツチャレンジにこれだけ多くの人が参加したのは、多くの著名人が参加した影響も大きい。Facebookのマーク・ザッカーバーグ氏やアップルのティム・クックCEO、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏など世界の名だたる企業の創業者やトップの他、サッカーワールドカップのブラジル代表で活躍したネイマール選手、歌手のレディガガなど世界中から多くの著名人が参加した。





 そのブームはやがて日本にも飛来し、日本を代表する企業のトップや芸能人なども次々に参加した。著名人のみならず、筆者の周りでもアイスバケツチャレンジに参加し、氷水を頭からかぶる人、また、寄付を行う人もいた。

 さらにアイスバケツチャレンジは、FacebookやTwitterなど、SNSを通じて次の指名を受けた人へと引き継がれていく。もちろん、これらはSNS上で公になっているため、直接的にその人とのつながりがなかったとしても多くの人にその行く末を見られていることになる。

賛否両論あるチャレンジ

 SNSを通じて、世界中から多くの著名人や一般の人が参加したアイスバケツチャレンジは、ALSという難病に対する認知度の向上や寄付金を集めるという目的においては大きな成功を収めたと言える。しかし、世界中から賞賛の声がある一方で、このような手法でのチャリティー活動に疑問を抱いたり、否定的な声をあげる人も少なくない。

 疑問を抱く理由や否定的な意見にはいくつか理由が挙げられる。実際に、著名人の中には、それぞれの考えを述べた上で、参加はしても次のチャレンジャーを指名しない人や参加そのものを見合わせる人もいた。

 まず、1つめの理由だが、そもそもチャリティー活動というのは、人から強制されるものではないと考える人もいるということ。アイスバケツチャレンジはもちろん強制されるものではないが、SNS上で公に指名を受ける上、チャリティー活動という名目があるため、指名された人は心理的には断り辛いと言えるだろう。

 2つめの理由は、本質を見失ってしまう可能性があることに対する懸念だ。ALSという難病に対するチャリティー活動であるはずが、氷水をかぶるという行為や指名を受けた人がどのような反応をするのか?などに注目が集まり、チャリティー活動の本質が置き去りになってしまっているのではないかと苦言を呈する人もいる。

 3つめの理由は、ALS以外にも世界中には、人々の支援を必要とする難病患者や貧困にあえぐ人、また、深刻な水不足に悩む人などが多くいることが挙げられる。アイスバケツチャレンジに注目されているときだからこそ、ALSだけではなく、世界中で支援を必要とする人が多くいることにも目を向けるべきだと訴えている人もいる。

 また、一時のブームとして終わってしまうことを懸念する人もいるほか、芸能人の売名行為と言った意見や単なる悪ノリだとの意見もある。

【次ページ】チャリティをPRに使った企業の顛末
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