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  • 2015/01/15 掲載

ブランド一新のヤンマー、矢島孝應執行役員が進めるグローバルIT戦略

IoTやプライベートクラウドも活用

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2014年3月31日、1959年から続いていた1つのテレビCMがひっそりと幕を閉じた。農業機械などを手がけるヤンマーが提供していた「ヤン坊マー坊天気予報」だ。もともとヤンマーは農業機械や小型エンジンなどで高い技術力を持つ企業だが、矢島孝應 執行役員は「それがなかなか世界に伝わらなかった」と吐露する。そこで同社は100年先を見据えて、新たなミッションステートメントを定義。テレビCMの終了とともに、2014年11月には大阪梅田駅前に新本社ビル「YANMAR FLYING-Y BUILDING」を建設した。ITの面でも「ヤンマープライベートクラウド」を構築し、「いつでもどこでも、必要な時に必要なリソースを用意でき、世界中の拠点に対しても同様のサービスを提供する」(矢島氏)考えだ。

次の100年を見据えた新コンセプトとプレミアムブランドづくり

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ヤンマーの新本社ビル「YANMAR FLYING-Y BUILDING」
 2012年に創業100年を迎えたヤンマーは今、次の100年を見据えた新しいグローバル戦略に取り組んでいる。11月には、大阪梅田駅前に新本社ビル「YANMAR FLYING-Y BUILDING(愛称)」を建設。最新テクノロジーやデザイン力を結集した同ビルを、ミッションステートメントに掲げたグループの事業領域や社会貢献のあり方を具現化した「グローバルブランド発信拠点」と位置付けた。

 新しいブランド戦略に取り組んだ背景について、米PTC社の日本法人であるPTCジャパン主催の「PTC Live Tech Forum 2014」に登壇した矢島氏は「もともとヤンマーは、農業機械や小型エンジンなどの技術レベルが非常に高い企業だが、それがなかなか世界に伝わってこなかった。ヤンマーの本質的な価値を伝えたいという思いから始まったのが、プレミアムブランドプロジェクトだ」と説明する。

 同プロジェクトでは、日本で初めてフェラーリのデザインに携わった工業デザイナーの奥山清行氏や、ブランドクリエイターの佐藤可志和氏、イッセイミヤケのクリエイティブディレクターを務める滝沢直己氏といったトップクリエイターの協力によって、ベースとなるコンセプトデザインがつくられた。


「いかに技術力があっても、イメージが伝わらなければ存在していないのと同じこと。という佐藤氏の言葉のもと、どうやってヤンマーならではのイメージを外部にアピールしていけるのか、プロジェクトの具体的な取り組みを検討した」(矢島氏)



 そしてデザイン力によって発信力を強めていくことに主眼を置き、いくつかのコンセプトモデルとなる製品も企画した。たとえば、奥山氏とは、コンセプトボートとコンセプトトラクターを開発している。



 機能的でデザイン性に優れたマリンウェアやアグリウェア(農業用)も発表した。さらにヤンマーアグリソリューションセンターも北海道と熊本にオープンした。

「このようなプレミアムブランドの創出によって、商品を購入する前にお客さまに憧れや誇りを感じてもらい、満足できるような取組みを続けてきた。我々は現在、テクノロジー×サービス×ホスピタリティという3要素をあわせ、“Solutioneering”(Solutionとengineeringの造語)というコンセプトをグローバル共通で展開しているところだ」(矢島氏)。

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最新農機を体感できる業界初となるデモンストレーションフィールドと展望ラウンジ
(出典:ヤンマー報道発表資料)


足元を固める経営戦略やプライベートクラウドによるIT戦略の推進も

 派手な取り組みが注目を集めるヤンマーだが、もちろんデザインやイメージだけで事業が進むわけではない。足元をしっかり固める経営戦略やIT戦略も推進している。

 同社は、2015年度に売上高を7000億円、海外売上高比率を50%超の中期計画を掲げている。さらに「市場の伸びの豊かな達成」「全体最適型グループ経営の実践」「お客さまの期待を超える商品・サービスの持続的な市場投入」「グル-プ社員全員が働き甲斐と誇りを持てる企業」「地域社会への意義・発展への貢献」という5つの戦略テーマを設定し、経営側・事業部・IT部門で三位一体となって取り組んでいる。

【次ページ】「ヤンマープライベートクラウド」の構築、IoTを駆使した取り組みとは?

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