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  • 2015/06/03 掲載

パーシステント・メモリ(永続性メモリ)とはいったい何か?アプリ開発も革新する「フラッシュの次」

SNIA会長に聞くストレージの最新動向

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データの爆発的な増加に対して、テクノロジー側も手をこまねいているわけではない。高速なフラッシュメモリが低価格化でさらに普及していく一方で、テープ・光メディア(Archival Disc)などの「コールドストレージ」の技術も進展している。さらに不揮発性ながら、フラッシュより10倍も早い「パーシステント・メモリ(Persistent Memory:永続性メモリ)」も実用化のメドが立ってきた。ストレージ標準化団体SNIAのデビッド・デール会長に、ストレージに関する最新テクノロジー動向について話を聞いた。
(聞き手:編集部 松尾慎司、構成:森川滋之)

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SNIA 会長
デビッド・デール氏

データ量が破壊的に増大することでシステムにも大きな変化が

──ストレージを取り巻く環境が大きく変化しています。

 米調査会社IDCの言葉を借りると、「Storage Environment Disruptions(ストレージ環境の崩壊)」といえます。データが爆発的に増大している中で、システムへのワークロード(システムリソースの利用量、負荷)も破壊的に増大しており、それに伴ってアーキテクチャとシステムインフラも大きく変化しています。IDCが“Disruption(崩壊)”という強い言葉を使うのは、その変化の大きさを表現するためでしょう。

──デールさんが“Disruption”を実感するのはどういうところでしょうか?

 この数年間で、企業はクラウドなどの外部にあるCPUやストレージを積極的に活用するようになりました。各企業が社内のインフラだけでシステムを構築していた時代には考えられなかったことです。CIOがデータを保護する責任を持っているのは変わりませんが、それでも外部のシステムを積極的に採用するようになりました。これは、ITユーザー側にとっては破壊的な変化であり、従来とはシステム運用の方法が大きく変わったことを意味しています。

 ユーザー側に破壊的な変化が起こっているため、ストレージ・ベンダーに求められる要求も多種多様になっています。顧客とやり取りする現場にいれば、破壊的な変化が実際に起こっていると認識せざるを得ません。

ストレージ選定のためにはワークロードとのマッピングが必要

──このような状況で企業にはどのような選択が求められるのでしょうか。

 企業のCIOは、自社のアプリケーションのポートフォリオを見ながら、それぞれのアプリケーションをどこに置いて運用するかについて考えなければなりません。現在はさまざまな選択肢がある上、知的財産も含めたデータをどうやって保護するかについて考慮する必要があります。つまり、データの安全性とコスト効率を同時に高めなければなりません。

 このような状況の中で、ストレージ・ベンダーは顧客にとって最適な選択肢を提言する役割と責任があります。顧客の選択肢はこれからもどんどん増えていくし、また、そうあるべきだと考えています。Tier1のオンライン・ストレージだけがあれば十分ということではなく、アプリケーションのワークロードに応じて複数種類のストレージの最適な組み合わせを提供することは、私たちの務めだと思います。

──いずれはすべてクラウドに移行したいと言うCIOもいる一方で、データ量が爆発的に増えているため、ストレージはクラウドよりもオンプレミスのほうが低コストという見方をしているCIOもいます。このような混乱がある中で、ストレージ戦略を考えるヒントを教えてください。

 まずは、アプリケーションのワークロードをすべてきちんと評価すべきでしょう。同じようなワークロードのアプリケーションをグループ化して、そのワークロードに対して最もコスト効率が高い製品・ソリューションを選択し、マッピングしなければなりません。

──マッピングするためには、最新の技術動向も十分に理解しなければならないと思います。1つ目は、フラッシュストレージの利用拡大についてです。フラッシュは劇的に速度が向上していると同時に価格も下がってきています。フラッシュについては1年前にも話を伺いました。それ以降の最新の状況について教えてください。

 昨年、フラッシュメモリのIOPS(Input/Output per Second)の動向に関するグラフを見せしました。これはこの1年で大きな変化はなく、まだ有効なグラフです。

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各ストレージの1ドルあたりのパフォーマンス

 大きな変化は、オールフラッシュのアレイディスク製品が多くのスタートアップ企業から発売され、市場で人気を博していることです。コストをかけてでも高パフォーマンスを担保しなければならないワークロードに対しては、オールフラッシュアレイを採用するという流れが出てきました。

 一方、企業の中ではフラッシュとHDDのハイブリッドアレイが主流になりつつあります。ハイブリッドアレイでは、フラッシュとHDDの間でアプリケーションの相互運用性を担保しなければなりません。そのためのPCI Expressコネクタに関わる技術も、この1年でかなり成熟しました。

 NAND型フラッシュメモリ(従来のNOR型フラッシュメモリと比べて安価に大容量化できる)の技術に関しても、3次元あるいはそれ以上のNANDテクノロジーを採用する動きが出てきており、実現すればさらに大容量化が可能になります。これも新しいトレンドです。

 また、ファームウェアやデバイスでのオーバープロビジョニングの採用で、速度も信頼性も向上しています。

 以上をまとめると、2年前にストレージ・ベンダーができると言っていたことが、2年後のいまになって本当に達成されたということです。

アプリケーション開発にも影響もたらす永続性メモリの登場

──2つめのトピックとして「パーシステント・メモリ(Persistent Memory:永続性メモリ)」についてお聞きします。これはいったいどういうものなのでしょうか?

 現在、半導体ベンダーは、フラッシュのような不揮発性メモリを開発ロードマップ上に載せています。これは、フラッシュよりも10倍速く、書き込み遅延は10分の1というものです。候補となるテクノロジーは、MRAMやPCMと呼ばれるものです。

画像
永続性メモリ(一番下)とフラッシュのパフォーマンスの違い

【次ページ】アプリケーション開発にも影響もたらす永続性メモリの登場

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