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- 2015/06/10 掲載
沖縄でフリーランスとして働く上で大切なこと 「ゆるく大らかな気持ちで」
レバテックフリーランス 「世界のフリーランス」:ライター・森 菜津子氏
東日本大震災を契機に“暮らし”を考えなおすことに
――始めに、なぜ沖縄で働こうと思われたのかを教えてください。
森 菜津子氏(以下、森氏):沖縄へ移住する前は、東京で国際理解の促進等を行う財団法人の広報をしていました。職場は子育てへの理解もあって、とても恵まれている環境でした。でも出産後に育休を取得して、来月復帰する…というタイミングで東日本大震災が起きたんです。
それ以降、“暮らす”ということについて色々と考えるようになりました。たとえば、今まで遠いと思わなかった1時間の通勤時間も、「何かあった時にすぐに子どもをお迎えに行けない距離だな」と気づいて、このままでいいのかなと考えるようになったんです。
それと、もともと寒いのが苦手なので、いつかは暖かい場所で暮らしてみたいなと思っていました。 そういう色々な思いがあって、かねてから興味のあった“沖縄”はどうだろう、と思うように。紆余曲折はありましたが、家族で移住することになりました。
実際に住んでみると子育てしやすい環境に驚きました。とにかく子供が多いんですよ。沖縄では子供が1家族に3人いて当たり前という感じなんです。島全体で子育てしている雰囲気があって、大人も子供もオジイもオバアも、みんな子供が大好き。
赤ちゃんを連れていると、知らないオバアが「抱っこしようかね~」と声をかけてくれたりするんです。子連れへのまなざしが東京と全く違いますね。
今はそんな温かい雰囲気の中で子育てしながら自分のペースで働けることが、一番の魅力だと感じています。次女の子育てが一段落したら、沖縄への移住を考えている方に役立つ情報や、超ローカルな人気スポットなんかを紹介するサイトを作りたいですね。
――沖縄で働く時に抑えておくべきルールや特別な文化はありますか?
移住してすぐの頃、事務の仕事をしていたのですが、”広報のスキルを活かす”というような仕事はなかなか見つからなかったんです。もちろん選ばなければ仕事はありますよ。でも、給料は全国的にみると低いので、沖縄では共働きの世帯が圧倒的に多いのが実情ですね。
そういう点を考慮すると、フリーランスは効率的な働き方だと思います。県内の仕事は単価こそ低いですが、地元の方とつながるチャンスですし、本島からの仕事を織り交ぜれば、収入とのバランスは取りやすくなるんです。
私の場合は、電話で取材させて頂くことが多いのですが、スカイプなどを活用すれば、相手の方と距離が離れていても仕事は出来ると思います。
環境については、『人とのつながりを大切にすること』がポイントになります。沖縄では家族や親せき、同級生といった横のつながりを大切にします。子供の1歳のお祝いやお盆に、親戚が何十人も集まるのがごく当たり前です。小さな島ですので、週末にちょっと買い物へ行くだけでも必ずと言っていいほど知り合いに会います。
そういう背景がありますので、“みんなと仲良く協力しあって暮らす”という姿勢が大切だと思います。その仲間の輪に入れてもらえれば、みなさんとても親切にしてくれますし、こちらが困っている時にも手を差し伸べてくれるんです。
こちらに来て、特に感じたのは、『ゆるく大らかな気持ちで』というメンタル面のこと。「ロジカルに話をまとめ、合理性を追求する」ということが当然だった所から沖縄へ来ると、沖縄の人のゆったりとした対応やほんわかとした雰囲気に驚くかもしれません。
相手に何か依頼する場合は、納期は前倒した上で、ゆるく考えた方がうまくいきます。逆に言えば、“お互い様”という部分もあるのかもしれません。例えばこちらがうっかりしていたり、何かしら失敗した場合にも、許してもらえることが多い気がします(笑)。
もうひとつ、ルールというか、沖縄に暮らすなら知っておいて欲しいのは『台風だけじゃない!湿気も大敵』だということ。
毎年、台風の通り道になる沖縄では台風対策を欠かせないんですけど、忘れずに注意したいのは湿気なんです。
沖縄へ来てから電化製品の故障が続いていて…。ノートPCも壊れましたし、エアコンの不具合、洗濯機の故障など色々あります。沖縄の梅雨や台風の時の湿気は、本島では体験したことがないレベルなんですよ。
家電量販店ではエアコンの室外機にはサビを防ぐ加工をすることを勧められますし、車にもサビ止め加工が必須です。革のブーツなんてカビだらけ…ということで、クローゼットに除湿機を全開にしてかけるなど、とにかく湿気対策が必要です。
【次ページ】ネット回線の速度や生活のコスト、東京との違いは?
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