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  • 2015/06/18 掲載

Googleが示す「働き方のこれから」 一挙に10倍まで飛び越えられる手段を考える

[速報] Google Atmosphere 2015

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6月17日と18日の両日、恒例のGoogle基幹イベント「Google Atmosphere」が六本木ヒルズで開催された。今回のイベントのテーマは「“働き方のこれから”が、ここで見つかる。」というもの。初日の基調講演は、多くの大物リーダーが登壇した。Google本社からは、Google for Workの担当社長や、Appsグローバルセールスの統括責任者、Android and Chromeのディレクターが集まり、また外部からは巨大コンサルティングファーム・米PricewaterhouseCoopers(PwC)のアライアンスリーダーなどが招かれた。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

メカニズムから紐解くイノベーションの起こし方

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Google Google for Work 担当社長
アミット・シング氏
 Google for Work 担当社長であるアミット・シング氏は、冒頭で「この数年にわたり、あらゆる産業がデジタルテクノロジーによって劇的な変化を迎えている」と述べ、その変化が人々の生活やビジネスに与えるインパクトについて触れた。

 たとえば若い世代に支持される「Snapchat」は、急成長サービスとして注目を浴びている。これは、写真を友人と共有できるだけでなく、画像を一定期間、閲覧すると見えなくなるスマートフォン向けの写真共有アプリケーションだ。いまや毎時1億人のアクティブユーザーを誇っているが、開発企業にはデータセンターもない。Googleを活用している従業員100名ほどの小企業が、わずか5年間で時価総額200億ドル規模まで急成長したのだ。

 では、なぜ彼らは急成長できたのか? シング氏によれば「ムーアの法則」に従って、指数関数的にコンピューターの処理能力が高まったからだという。人々と世界を結ぶポータルとしてのコンピューターと、それを搭載したスマートフォン、クラウドの連携が始まった。アプリケーションの開発も、クラウドを使うことでコストをかけずに、容易にビジネスのアイデアを展開できるようになった。

 その一方で、IT予算にはムーアの法則の影響は及んでいない。いくらITにコストをかけても、企業で生み出される価値は少ないのが実情だ。「これはレガシーの問題があるからだ。実はITコストの80%がレガシーシステムの維持管理に使われている。過去に囚われて、イノベーションのための新しいテクノロジーに予算が使われていない」(シング氏)。

 しかし、テクノロジーのランドスケープは明らかに変り、それに伴ってビジネスも変容している。「これからは従来とは異なるアプローチでビジネスを展開できる。ビジネスだけでなく、働く側の意識も変わる。今の学生はネットで学び、調べものをする。宿題もスマートフォンでこなす。しかし職場に出ると一挙に元に戻ってしまう。レガシー技術を使わざるをえず、クリエイティビティを発揮できない」と問題点を指摘する。

 そこで、クリエイティビティをフリーでオープンにするために、企業も進化していかなければならないのだ。「Google for workというビジョンで、この問題を解決しようとしてきた。従業員も経営陣も、最高のGoogle製品で仕事をしてもらいたい。我々の目的は、企業内にバリア(障害)を置かずに、ユーザーにフォーカスしてクリエイティビティのある企業に変革すること。少しずつプロセスを改善するのではなく、一挙に10倍まで飛び越えられる手段を考えている」(シング氏)。

 Googleのアプローチに従えば、まったく何もないところから何かをつくりだす、あるいは野心的なゴールを実現することも夢ではないだろう。「実験精神のあるカルチャーを築くことが大切だ。何か新しいことを試すのにお金はいらない。いまこそ、さまざまなクラウドサービスを使って、自ら変化をもたらすためにチャレンジしよう。我々は、世界で最も大きな市場の1つである日本に注力している。ぜひデジタルカルチャーを皆さんで牽引して欲しい」と聴衆を鼓舞した。

Googleと戦略的アライアンスを組んだPwC、その意図は?

 続いて、先ごろGoogleと戦略的提携を結んだPricewaterhouseCoopersから、クリス・オハラ氏が登場。同氏はアライアンスの狙いなどについて説明した。リスナーには、Google本社 Apps for Work セールス統括責任者のリッチ・ラオ氏が務めた。

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PricewaterhouseCoopers(PwC) LLP パートナー クリス・オハラ氏(写真右)、
Google グローバル Apps for Work セールス統括責任者 リッチ・ラオ氏(写真左)

 オハラ氏は、世界を取り巻く状況について、経済を筆頭に5つのメガトレンドがあることを示した。「新興7か国は、やがて先進7か国の市場規模を超える。人口動態が変わり、全体として中間層が増え、購買力が高まるため、新たなビジネスチャンスが生まれる。ただし、高齢化が進み、医療や雇用に対する影響も出てくる。都市のメガプロジェクトや、インフラ、教育への対応も求められる。気候変動などの環境問題や、エネルギー・水の資源確保も重要だ」(オハラ氏)。

 このような状況でテクノロジーが与える影響はどうなるのか? 2020年には500億台のデバイスがネットにつながるという。データ量も爆発的に増加する。大企業だけでなく、一般企業もデータを利活用し、新たな価値を生み出せるのか。それがカギだ。オハラ氏は「だからこそ我々はGoogleとアライアンスを結んだ。この1年間でクラウドに移行し、クラウド型グループウェアの“Google Apps”も4万人に導入した。Googleのテクノロジーを通じ、自分たちの顧客にもクラウドへのアドバイスを行いたい」と提携の狙いを語る。

 同社は、全世界161か国・21万人体制で事業展開しているため、最適な人材とテクノロジーの組み合わせは戦略的な課題の1つだ。「我々の平均就労年齢は27歳。労働力の半分は、モバイル端末を持ち歩く環境で育った世代だ。そのため柔軟性のある働き方にして、彼らからイノベーションを捉えなければならない。顧客も従来とは異なるエクスペリエンスを求めている。市場での差別化ポイントとして、顧客から収集した膨大なデータをビジネスインテリジェンスに活用し、それを拡張する必要もある」(オハラ氏)。

 自らの仕事をReinventするには、顧客に価値を生むパートタイマーを本格的に業務に取り込んでいくことも重要だ。さらにオハラ氏は「新しい価値を提案するには、セキュリティも大切。ただし企業側のみで守るのは古い方法だ。自分たちが可能な範囲内で防御しつつ、クラウド側でもセキュリティを担保するような責任のシェアリングがよい」と付け加えた。

【次ページ】 Googleが提供するデバイス最新情報と導入の成功事例

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