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  • 2015/11/24

池上彰氏が説く、変化が激しく不確実な世界を生き抜く「たった一つの覚悟」とは

環境、貧困、テロや紛争などの世界規模の課題や、テクノロジーの進化など、世界はますます先の見えない不確実性を増しており、企業は常に変化を受け入れる覚悟が求められている。ジャーナリストで東京工業大学 教授としても活動する池上 彰氏が、メディアの現場を通じて肌で感じてきた「変化」と、その中で企業が今後、どのように生き抜いていけばよいかを語った。

シリア難民の背景にあった「スマホ」による情報共有

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ジャーナリスト
東京工業大学教授
池上 彰 氏
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 2012年から東京工業大学のリベラルアーツセンターで教鞭を執っている池上氏。「cybozu.comカンファレンス 2015」に登壇した池上氏は、そのきっかけとして、2011年の東日本大震災を挙げた。

「原発の事故がニュースで報じられたとき、テレビで専門家の解説を見て、視聴者はかえって不安を増大させた。人間は“分からない”ことに不安を抱く。専門用語が多く、難解な解説に、今、原発はどうなっているのか、自分たちは何を心配したらいいのかが分からないと感じる人が多かった。理系の専門家と一般の人の『溝』を埋める役割が必要と感じていたときに、東工大からお話をいただいた」

 人は正しく情報を扱い、状況を正しく把握することで、次の行動を選択することができると池上氏は語る。その象徴的な出来事がこの夏、大きく報じられたシリア難民のヨーロッパへの大移動である。

「シリア難民問題の背景にはスマホの発達がある。彼らの多くがスマホを持ち、連絡を取り合い、情報を共有しながら、どこの国で難民を受け入れているという情報を頼りに、ヨーロッパを目指した。スマホによる情報の活用を背景にした民族大移動は、日本にとっても他人事ではない。先進国が手分けして難民を受け入れようとしている中で、アジアの先進国の日本は今後、この問題とどう向き合うか、覚悟が求められるだろう」

新しいテクノロジーがメディアを生み、世の中を変えてきた

 世界は、技術革新が世の中を大きく変えてきた歴史を繰り返している。15世紀のルネサンス期ヨーロッパでは、「羅針盤」「火薬」「活版印刷術」が3大発明といわれるが、池上氏は、活版印刷のインパクトの大きさについて以下のように語る。

「活版印刷は、それまで手書きで複製していた書物の大量コピーを可能にした。これにより、多くの人が聖書を読むことができるようになり、また、ルターのカトリック批判が活版印刷によってヨーロッパ中に広がることになる。いわば、新しいメディアがプロテスタントを生んだともいえる」

 メディアの進化は20世紀のラジオ、テレビの台頭へと続いていく。テレビの力を最もうまく活用したのはジョン・F・ケネディ氏といわれる。はじめてテレビで公開討論が行われた大統領選のエピソードを引いて、池上氏は以下のように語る。

「ケネディ陣営は、当時の白黒テレビでどういう服装が力強い印象を与えるかを研究し、濃紺のスーツに白いシャツ、赤いネクタイが効果的と結論づけた。また、照明が強く当たるため、厚く化粧を塗り、汗だくに見えないように工夫した。一方、対抗候補のニクソンは、夏場の討論ということで上下グレーの出で立ちで登場し、また、照明のせいで、番組中に汗だらけになってしまった」

 グレーの服装は、白黒テレビを通してみると、輪郭がはっきりせず「弱々しい」イメージを与え、汗をかきながら討論するニクソンの姿は「頼りない」イメージを視聴者に抱かせた。

「興味深かったのは、ラジオで討論を聴いていた人はニクソン優位と判断した。しかし、テレビを見ていた視聴者はケネディ優位と判断したことだ。討論の内容ではなく、映像の印象が大きなインパクトを与えたこの事例以降、大統領選における候補者の“勝負服”は、ネイビーのスーツに白いシャツ、赤いネクタイが定番になった」

【次ページ】池上氏が語る「これからの生き残りに必要なこと」

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