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  • 2016/10/12 掲載

早稲田大学がAWSに踏み切った「決め手」を、情報企画部マネージャーが明かす

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学校法人 早稲田大学は、2016年2月に新ポータルサイト「MyWaseda」をカットオーバー、それをAWSクラウド上で実現した。このポータルサイトは学生、教職員7万名が毎日使うシステムであるといい、可用性、セキュリティ、運用容易性が問われた。「AWS Summit Tokyo 2016」のGeneral Conferenceに登壇した早稲田大学 情報企画部マネージャー 神馬 豊彦氏が、「MyWaseda」プロジェクトを解説した。

「Waseda Vision 150」の一環で情報化施策を強化

 早稲田大学は、言わずと知れた日本を代表する私学の雄である。学生数は5万2千名、教職員を合わせると7万名、規模の大きさという点でも日本の大学においてトップクラスをいく。2032年に創立150年を迎える同学は、アジアのリーディングユニバーシティとして確固たる地位を築くための中長期計画「Waseda Vision 150」を構想、その一環で情報化重点政策2015-2017を制定した。そのトップに掲げられたのが「教育方法の革新と学生の主体的・能動的な学びを支える情報基盤の構築」だ。

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早稲田大学
情報企画部マネージャー
神馬 豊彦氏

7万名が利用するポータルサイトと教員業務システムの統合を決断

 そもそも、早稲田大学では大きく二系統の基幹システムを運用していた。一つは学生・教職員・校友への情報・サービス提供基盤「Waseda-netポータル」だ。これは、シングルログインで多彩なサービスを一元的に提供するポータルサイトで、学生の総ログイン回数は年間1,000万回を誇る。もう一つは教員業務を機能集約した「Course N@vi」で、シラバス編集や出席管理、レポート課題提供・回収といった教務の他、会議やセミナーなどにも広く活用されていた。

 どちらもパッケージは適用できず、早稲田大学が自ら開発。前者は2002年から、後者は2007年から本番稼働を開始、それぞれ内容を充実させてきた。ただ、両者は機能的に重複する部分も多く、時代が進むにつれてGUIが陳腐化してきた。スマートフォンなどでリッチなインタフェースに慣れた現代の学生たちは、その点を鋭く指摘するという。

 そこへ発生したのが、2011年3月に発生した東日本大震災だった。有事の際、大学内に設置したシステムが被災すれば、大学活動は停止せざるを得なくなる。また、このときは輪番停電が実施され、神馬氏は停電に対する備えが必要であることも痛感したという。だが逆に、システムが遠隔地のデータセンター上にあって被災しなければ、講義はシステム上でも継続できる。

 そこで早稲田大学 情報企画部では、「Waseda-netポータル」「Course N@vi」をシステム統合するとともにこれをクラウド化することを決断した。

あらためてクラウドサービス利用チェックリストを作成

 早稲田大学において、クラウドの活用自体は2011年から始めていた。ここでの目的はハードウェアの標準化や仮想化技術の活用、停電・災害時のバックアップ対策で、アプリケーションの重要度別にインフラスペックを定義、用意した共通IT基盤上で仮想統合を進めていた。その結果、2015年段階で、物理サーバの台数は223台から56台と大きく減少した。

 ただ、新ポータルサイトは学生の成績データなど早稲田大学で最もセンシティブな情報を扱うことになるため、あらためて情報資産の棚卸を行い(図1)、レベル3、レベル4に分類された情報資産でも搭載できるクラウドはどうあるべきかという観点で図2のクラウドサービス利用チェックリストを作成した。大きなポイントは信頼性、セキュリティ対策、導入時の運用体制、使い続けていく上のサービス体制の4点だが、情報企画部は詳細なチェックリストを作成し、それぞれについて入念に吟味した。大学側で事前に見据えておくべきだと考えたからである。これらは早稲田大学サイトでも資料公開されている。

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図1■早稲田大学における情報資産分類

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図2■早稲田大学のクラウドサービス利用チェックリスト

【次ページ】 神馬氏が明かす、AWS選定の決め手となったのは?
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