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  • 2015/12/03

知識の使い方は、「バクマン。」と「韓非子」に共通する教訓から学べ!

「バクマン。」×「韓非子」から学ぶ勝利の方法論(後編)

目の前に展開する有象無象のなかから、いかにすれば再現可能で実効性のある知識を獲得できるか? ということは、下克上の世の中にあって国家に治安をもたらす方法を考えた、法家にとっての至上命題だった。秦の始皇帝に絶賛された韓非子の書には、「知識の応用の困難さ」を鋭く指摘する箇所があり、これは現代の百花繚乱ともいえる少年ジャンプを描く「バクマン。」の論じるところに深く通じている。

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

予定通りに進まないプロジェクトを“前に”進めるための理論「プロジェクト工学」提唱者。HRビジネス向けSaaSのカスタマーサクセスに取り組むかたわら、オピニオン発信、ワークショップ、セミナー等の活動を精力的に行っている。大小あわせて100を超えるプロジェクトの経験を踏まえつつ、設計学、軍事学、認知科学、マネジメント理論などさまざまな学問領域を参照し、研鑽を積んでいる。自らに課しているミッションは「世界で一番わかりやすくて、実際に使えるプロジェクト推進フレームワーク」を構築すること。 1982年大阪府生まれ。2006年東京大学工学部システム創成学科卒。最新著書「予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)」が好評発売中。 プロフィール:https://peraichi.com/landing_pages/view/yoheigoto

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「バクマン。」と「韓非子」に共通する教訓とは?

 漫画「バクマン。」は、「事例から教訓を得て知識とし、応用する」ことが極めて困難であることを、テーマとして掲げ、その困難さと限界を正面から描いている、世にも珍しい作品である。

 人は経験した物事から、教訓を得ることで次に活かすための学びを獲得する。何かに成功したときには、その要因をつきとめてそれを再現しようとし、失敗したときには、原因を考えて同じことは繰り返さないようにする。人はこれを学習と呼び、学習とはすなわち成長である、と考える。

 基本的にはそれは間違いではないが、学習の厄介なところは、成功の要因にしても、失敗の原因にしても、ある事例から、正しい知識を導き出すことが、簡単に見えて実は困難だということである。

 少年ジャンプという雑誌において、いつの時代も、ナンバーワンは王道の作品が獲ってきた、という事実は極めて重要な知識である。

 「いかにすれば売れるのか」ということに対して、「王道もの」で勝負する、というアプローチは、しごく順当なものである。だがしかし、王道ものを描けば誰でも必ずヒットするのかというと、そうでもない。むしろ天才でない者にとっては敗北しかない領域だったりして、秀才型の作家は、むしろ「邪道」で勝負するのが正しい判断である、ということもある。

 判断軸は「王道・邪道」だけではない。作品に自己投影するのかしないのか。ストーリー漫画か、ギャグ漫画か。アンケート結果を気にしないほうがよいのか、アンケート結果に機敏に対応すべきか。漫画とは自己満足を目指す芸術品なのか、それとも割りきって、読者の要請に答えるための、消費財を目指すべきなのか。

 究極的には、「少年ジャンプ」というプラットフォーム上で争われるのは、方法論の戦いであり、思想の戦いだと言える。発表の場が極めて純粋な市場的であるからこそ、まさしく百花繚乱の様相を呈する。

諸子百家の時代に生きた「韓非子」の教訓

 百花繚乱といえば、その昔、中国の春秋戦国時代は諸子百家の時代と言われる。様々な国家が生まれ、中国全土の統一を競い合った下克上の時代であり、実はそれは軍事力だけでなく思想の戦いでもあった。

 かの時代に争われたのは、「いかにして国家は統治されるべきか、いかにすれば他国に勝てるのか」ということであった。法家、儒家、墨家など、様々な思想家が統治論を説き、争い、優れた思想とは何かということが、実際の政治に適用されることで実証された。

 時代も対象も違うが、この構造はまさしく「バクマン。」で掲げられているテーマと相似形をなしている。そして、諸子百家の代表選手の一人、「韓非子」は古典版「バクマン。」とでも言うべきか、やはり「事例から教訓を得て知識とし、応用する」ことの困難性を指摘した人物であった。

【次ページ】「蹴り癖のある馬の見分け方」の教訓

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