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  • 2016/04/21 掲載

ミクシィ森田仁基社長とフンザ笹森良社長、チケットキャンプ買収からM&Aの今後を占う

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新たなイノベーションの創出は、テクノロジーに長けた一部のIT企業やスタートアップベンチャー企業だけの話ではなく、今や多くの企業にとって経営課題となりつつある。2015年3月、ミクシィは国内最大級のC2Cチケット売買サイト「チケットキャンプ」を手がけるフンザを買収した。その当事者であるミクシィ森田社長とフンザ笹森社長が、M&Aによるサービス成長をテーマに活発な意見交換を行った。
(構成:編集部 中島 正頼、執筆:阿部 欽一)



国内スタートアップにおける「M&Aの今と未来」

 2016年2月に開催された「THE BRIDGE Fes」では、「ミクシィのフンザ買収から占う国内M&Aの今後」と題し、ミクシィ 代表取締役社長の森田 仁基氏と、フンザ 代表取締役社長の笹森 良氏が登壇し、トークセッションが行われた。

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ミクシィ 代表取締役社長
森田 仁基氏

 スマホによる個人間売買というビジネスモデルは、「フリマアプリ」の出現により大きな盛り上がりを見せている。「メルカリ」を運営するメルカリと、「チケットキャンプ」を運営するフンザは、C2C市場の中で最も成長を遂げているスタートアップの2社だが、両社の成長戦略には大きな違いがある。それがM&Aの活用だ。

 独自路線で成長を続けるメルカリに対し、ミクシィ傘下での成長を選択したフンザだが、「チケットキャンプ」の月次の流通総額はミクシィによる買収後の1年間でさらに加速し、2015年12月には約36億円に達している。

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チケットキャンプの月次流通総額の推移。フンザ時代の成長カーブに比べ、ミクシィ買収後の成長カーブがより急激であることがわかる

 スタートアップがビジネスを拡大するための選択肢として、「投資」と同時に「買収」というキーワードは避けて通れない課題だ。一方で、大企業はさらなる事業の成長のために、スタートアップのアイデアや機動性を活用したいという課題がある。セッションでは、両社はどのようにM&Aを決め、買収後に大きくビジネスを成長させてきたのか、大企業とスタートアップの協業によるイノベーション創出の現状と今後が語られた。

M&Aの意思決定のスピード化に寄与した「100%自己資本」のユニークな資本政策

 セッションのモデレーターを務めたのは、東洋経済オンライン 編集長 山田 俊浩氏である。同氏は最初の質問として、両社の買収のきっかけについて尋ねた。

 これに対し、森田氏は、もともと笹森氏とはミクシィアプリの仕事を通じて知り合いの間柄で、その後、久々に再会したときに、笹森氏からチケットのC2Cサービスを運営していることと、「ミクシィと協業して何かできないか」という相談を受けたことを明らかにした。

 笹森氏は、森田氏に声をかけた理由として、「ミクシィのポテンシャルの高さ」を挙げる。チケットの個人間売買をどのようにアプローチするかを考えたときに、笹森氏はミクシィの保有するコミュニティを高く評価。「個人の属性やニーズをセグメントするには、ミクシィのコミュニティか、ツイッターのハッシュタグくらいしか思いつかなかった」と語った。笹森氏が森田氏に最初に相談を持ちかけたのは2013年の冬ごろだったという。

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フンザ 代表取締役社長
笹森 良氏

 フンザの資本政策はユニークで、笹森氏は起業の際、「外部資本を一切入れない」ことを決めていた。これについて笹森氏は、「起業にリミットを設けたかった」と話した。

「創業メンバーは全員30歳を超え、家族もいたため、起業の際に3年で結果が出なかったら辞めようと決めました。辞めることを自分たちで決めるために、100%自己資本だけで運営する必要がありました」(笹森氏)

 こうした資本政策は、結果的に、M&Aの意思決定を素早く行うことに寄与している。一方、上場企業であるミクシィは、森田氏自身が交渉の先頭に立ち、担当者任せにしなかったことで、買収をスピーディに進め、また、交渉の過程で、様々な利害関係者によって事業の枠組みが変化するということもなく、買収の価値を検討することができた。

「もともと、フンザの志やものづくりの姿勢をリスペクトしていたので、交渉は自分でやるべきだと考えました。モンスターストライクなどの既存事業が好調なうちに、次のワクワクできる事業を探していて、チケットキャンプにはその価値があると思いました。115億円という投資は相当な覚悟がいりましたが、モンストで生み出した原資を使って買収するだけの価値があると、自信を持って投資できると考えました」(森田氏)

【次ページ】 「何かを成し遂げる人というのは、お金で動かない人」

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