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- 2016/05/13 掲載
元クックパッドCOO 山岸氏×コロプラ取締役 千葉氏、日本版エンジェルの役割を語る
スタートアップ・エコシステムに欠かせない「個人投資家」の存在
山岸氏は、2015年から投資活動をはじめ、この半年ほどで投資家の活動を本格化させている。「去年の9月、10月は、月に100人ペースで会っていた」とのことで、すでに入金済み10社、投資の合意が完了しているが5社と、アクティブに活動している。
「投資の基準は、ビジネスの着眼点と起業家の人となりを見ていて、この人がこのテーマで、10年頑張ればなんとかなるという基準で決めています。ビジネスの領域は決めておらず、これまで投資を決めた企業もアプリ開発から訪問介護、運送会社のドライバー派遣や農業まで幅広い領域にわたっています」(山岸氏)
一方、千葉氏は、コロプラの経営者として活動する傍ら、個人投資家として活動しているため、「個人の投資活動は会社とは切り分けている」とのことだ。事業家としてのノウハウを次の世代につなげていきたいと考えており、すでにスタートアップ20社と、ベンチャーキャピタル15社の投資に参加し「日本にも1,000億円を超えるベンチャーが出てきて欲しい」と語る。
「人への投資を重視しています。会ってすぐに投資を決めることはなく、3回、4回と面談を重ね、ときには事業に対する課題を出すこともあります。短期間でどれだけ課題を解決し、成長しているかというポイントを見ています」(千葉氏)
事業経験があることがエンジェル投資家の強み
トークセッションのモデレーターを務めたのは、グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナーの高宮 慎一氏だ。高宮氏は、「2000年代に起業した人が、投資側に回ってきて、事業経験のあるエンジェル投資家が増えている」と言及。メンタリングの面から、投資先にどのようなアドバイスをしているかを問うた。これに対し、千葉氏は、「とにかく目線を上げて欲しいという話をしている。どれくらい大きなビジネスになるか、高い目標を掲げて欲しい」と話した。
山岸氏は、「事業の軸をぶらさないように勇気づけることを心がけている。集中することは勇気がいるので、そこをアドバイスする」と話す。とくに、起業の初期段階(シード期)は、組織や人材などのリソースが不足しているが、そうした実務面でのサポートについて問われた山岸氏は、以下のように語った。
「毎週定例でミーティングする場合や不定期で会う場合など、ケースバイケースです。ベンチャーキャピタルの投資家と、私のような個人投資家の違いは、クックパッドでエンドユーザーに対するサービスを経営の中枢で見てきたという事業経験の有無にあります。そうした実務経験をもとにアドバイスをしています」(山岸氏)
一方、千葉氏は、基本的に“放任主義”で、起業家の環境づくりに専心しているという。
「スタートアップは忙しいので、僕は、基本的に自由にやってもらい、要求があれば深くコミットします。また、外部の人を招聘して、メンターや資本政策のアドバイスを行う仕組みを作り、投資先のスタートアップを招いた合宿を行い、情報交換などを行うコミュニティ作りにも力を入れています」(千葉氏)
【次ページ】 投資の経験が経営に生き、経営の経験が投資に生きる
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