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2016年12月21日

日本の働き方問題の原因は江戸時代にあり 「家庭より会社」な価値観のルーツとは

今、企業も日本政府も働き方改革を進めている。しかし、改革はなかなか進まない。なぜなら、日本の働き方問題の根は豊臣秀吉の時代にまで遡るからだ。慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任教授の高橋俊介氏は、働き方改革の本丸「長時間労働」打破のためには「長時間労働」の本質的理解と、歴史を交えた日本の働き方文化の理解が必要だと説く。日本の働き方を改革するには、何をすれば良いのか。

執筆:フリーライター 中村 仁美

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日本の働き方問題のルーツは豊臣秀吉の時代にあるという

© kyo - Fotolia



「プロジェクトX型長時間労働」と「ワーカホリズム型長時間労働」

 日本政府は経済の活性化のため、働き方改革を声高に叫んでいる。慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任教授の高橋俊介氏は、働き方改革を論じる前に、「まずは背景を理解することから始めることが重要」と語る。

 同氏によると、日本の働き方には7つの特徴があるという。

日本の働き方:7つの特徴
1. 女性管理職幹部比率が低い
2. 長時間労働
3. 男性労働者の社会や家庭への貢献が少ない
4. フルタイムとパートタイムの賃金格差
5. 自己啓発にかける時間とお金、社会人教育参加率などが突出して低い
6. 有給休暇の取得率は45%と世界主要国の中で最低なのに、国民の休日は多い
7. 単純化した働き方モデル

 この中で、特に注目すべきものを紹介したい。

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慶應義塾大学大学院
政策・メディア研究科
特任教授
高橋俊介氏

 「長時間労働」といえば、現在の日本の働き方改革で第一に上がってくる言葉だが、一言で「長時間労働」といっても、「今の長時間労働」と「昔の長時間労働」は性質が違うという。

 高橋氏によれば、現在の50代は若いとき、ある種の高揚感、のめりこみ感のある「プロジェクトX型長時間労働」を経験している。しかし、今の若手世代は追い込まれた状況で不安を抱えて悩み、その結果、長時間労働に走ってしまう「ワーカホリズム型長時間労働」が多い。

「ワーカホリズム型長時間労働は『長時間労働依存症』と呼ぶこともできます。不安を払拭するための長時間労働は、生産性が低い。追い込まれて不安を抱えて悩み、空回りすることでメンタル不調になってしまうのです。この質の悪い長時間労働が、若い人たちの間で増えているのです。この状況を、経営幹部が理解していないことが問題ではないでしょうか」(高橋氏)

 もう1つ注意すべきなのは、「若い時は元気とやる気で乗り越え、体力的にもたなくなると管理職にする」という働き方モデルだ。メディアの「夜討ち朝駆け」がわかりやすい例だ。しかし、今や仕事は複雑化している。それなのに、管理職世代が昔と変わらず単純に「頑張れ」と言うから、若者は追い込まれて長時間労働に走り、生産性が悪くなってしまうのだ。

豊臣秀吉がもたらした「日本の働き方」

 なぜ日本の働き方はなぜそうなってしまったのか。高橋氏は、「そのルーツは豊臣秀吉の時代まで遡る」と言う。

 日本も、織田信長の時代までは下剋上は当たり前、転職は日常茶飯事、外の世界で利益獲得を目指す重商主義の国だったという。1人の主に一生仕える考え方が生まれたきっかけは、豊臣秀吉が武士の中途採用を禁じた「奉公構」だ。以降、徐々に日本は農本主義に変わっていき、武士の身分が安定していく。

【次ページ】江戸幕府が広めた「家庭よりも雇用主にコミットする」生き方

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