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  • 2017/04/14 掲載

デロイト トーマツがTech Trends日本版を発表、セキュリティは「トレンド」ではない

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「Tech Trends」は、デロイト トーマツ コンサルティングがグローバルで今後のビジネスを変革する契機となり得るテクノロジートレンド8つについて、2010年から毎年調査・分析し、顧客に配布しているレポートである。日本版は2015年から発行されており、日本の動向と日本企業への影響に対する見解が加えられている。そして、「Tech Trends 2017日本版」が4月6日に発表された。同社 執行役員 パートナー ジャパン テクノロジー リーダー 安井望氏は、「以前扱ったトレンドは、発表した3年後ぐらいに到来するであろうものでしたが、最近のトレンドは1~2年後には実現してしまうようになりました」と語る。同氏が概説する8つのテクノロジートレンドとは。

執筆:フリーランスライター 吉田育代

執筆:フリーランスライター 吉田育代

企業情報システムや学生プログラミングコンテストなど、主にIT分野で活動を行っているライター。著書に「日本オラクル伝」(ソフトバンクパブリッシング)、「バックヤードの戦士たち―ソニーe調達プロジェクト激動の一一〇〇日 」(ソフトバンクパブリッシング)、「まるごと図解 最新ASPがわかる」(技術評論社)、「データベース 新たな選択肢―リレーショナルがすべてじゃない」(共著、英治出版)がある。全国高等専門学校プログラミングコンテスト審査員。趣味は語学。英語と韓国語に加えて、今はカンボジア語を学習中。

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デロイト トーマツ コンサルティング
執行役員 パートナー
ジャパン テクノロジー リーダー
安井望氏

企業経営、もはやキーファクターはテクノロジー

 今年の8つのトレンドは以下のとおりで、安井氏はこのうち、日本でも重要度が高いものは1、2、5、6の4つだと語った。

(1)組織の垣根を超えるIT
(2)ダーク・アナリティクス
(3)機械知能(MI)時代の到来
(4)複合現実(Mixed Reality)
(5)イネビタブルアーキテクチャ
(6)Everything-as-a-service(XaaS):サービス化されていくシステム
(7)Blockchain:トラスト経済圏
(8)飛躍的進化が期待される技術のウォッチリスト

組織の垣根を超えるIT:IT組織のサイロ化を打破せよ

 企業IT部門において、情報システムの構築・保守はこれまで「分業」で担当してきた。あなたはインフラ、あなたは会計、といった具合だ。これはいわゆる「サイロ化」だ。この状態では日ごろのコミュニケーションが密に取れないため、いざ何か変革を志したときには動きにくくなってしまう。こうした体制には限界が来ており、実際デロイト トーマツ コンサルティングの調査でも、ユーザー部門の期待にうまく応えられていないIT部門の姿が浮き彫りになっている(図1)。

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図1:ユーザー部門の期待(赤字)に比べて自己評価は低め(青字)
(出典:デロイト トーマツ コンサルティング)


 この状況を打破するためにはIT部門自らが抜本的に組織改革を行い、アジャイルに動ける体制を確立する必要があるとこのレポートは説く。具体的には、「IT部門要員を多能工化する」「アジャイル開発やDevOpsを採り入れる」「インフラ担当からアプリケーション担当まで垂直方向で1つのチームを組織し、そのチームが責任を持ってユーザーの変革要望に対応する」などといった方法がある。このトレンドのまとめとしてレポートでは、「開発とデリバリの方式を再考することは、CIOが直近数ヶ月のうちに着手すべき喫緊の課題である」としている。

ダーク・アナリティクス:データの潜在価値に注目すべし

 一見「ダーク」という言葉にぎょっとするが、これは「光の当たっていない領域」のことだ。すなわち、今まで分析の対象になってこなかった画像、ビデオなどの非構造データのことである。これらに加えて近年は、検索エンジンでは引っかからなかったり、特殊なブラウザでないと見られないような深層Web上のデータも対象にし、それらをビジネスにどう生かしていくかを考える時期に来ている。そうなるとデータボリュームは図2のようにさらに爆発することになるが、その中から必要なデータをいかに見つけ出すかがテクノロジー活用の肝になっていくようだ。

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図2:さらなるデータ爆発の中で、いかに自社に有用なデータを見つけ出すか
(出典:デロイト トーマツ コンサルティング)


イネビタブルアーキテクチャ:複雑さを脱し、自動化へ向かえ

 イネビタブルアーキテクチャとは、障害予測や自律型プラットフォームの実現で自動化を伴うシステムの洗練を進めるとともに、変化を受け入れやすい企業システム構造を形成することを意味している。導入が推奨されているDevOpsも、日本においては運用業務がアウトソースされているケースが多いせいか、なかなか前へ進まない。安井氏は語る。

「巨大で複雑なシステムをまずは疎結合化し、最終的にはコンテナ化する。そうすることで急激な事業変化にも対応しやすくなります。こうした構造変革について、もう少し日本の企業は意識を高めた方がいい。『システムの都合』でスピードを上げられない状況を変えていかなければならないのです」(安井氏)

 レポートも、「市場投入までの時間が差別化要因になりつつあるビジネス環境では、もはや大企業は技術的な負債や多大なカスタマイズ、複雑さ、および不十分な拡張性が自社の最終利益に与える影響を無視することはできない」と説いている。

【次ページ】セキュリティはもう「トレンド」ではない

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