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  • 2017/05/01

AIG専務 クリスチャン・サンドリック氏の「ダイバーシティ戦略」を支える経営判断とは

ダイバーシティ経営におけるLGBT対応

企業が競争戦略を打ち立てても、強力なトップのコミットメントがなければ、取り組みは思うように進まず、頓挫してしまいがちだ。前回のインタビューで、LGBTを含めたダイバーシティ&インクルージョンで先進的な取り組みをしているAIGグループは、トップダウンとボトムアップの仕掛けでダイバーシティ戦略を実行していることがわかった。今回、AIG ジャパン・ホールディングス 個人保険・専務執行役員のクリスチャン・サンドリック氏に、AIUと富士火災の合併を進める中、AIGグループの経営陣がどのようにダイバーシティにコミットしているのかを聞いた。

LGBTコンサルタント 増原 裕子

LGBTコンサルタント 増原 裕子

LGBTコンサルタント/株式会社トロワ・クルール代表取締役。慶應大学大学院修士課程、慶應大学文学部卒業。ジュネーブ公館、会計事務所、IT会社勤務を経て起業。2013年、東京ディズニーシーで初の同性結婚式を挙げ国内外で話題に。2015年渋谷区同性パートナーシップ証明書交付第1号。ダイバーシティ経営の一環としてのLGBT施策推進支援を手がける。経営層、管理職、人事担当者、営業職、労働組合員等を対象としたLGBT研修の実績多数。著書に『同性婚のリアル』など4冊がある。

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AIG ジャパン・ホールディングス 個人保険・専務執行役員
クリスチャン・サンドリック氏
前回記事

合併、企業文化構築、ダイバーシティ&インクルージョンを同時進行

──サンドリックさんは、個人保険・専務執行役員でいらっしゃいますが、AIGグループにおいて、ダイバーシティにどのように関わっていらっしゃいますか。

サンドリック氏:私はLGBTの従業員ネットワークグループ※1に、エグゼクティブ・スポンサーとして関わっています。また、各保険会社の取締役なども務めていることもあり、LGBTだけに限らず、ダイバーシティ全般の取り組みを全国各地で推進しています。

※1:従業員ネットワークグループ
AIGグループにおいて共通の分野に自発的に取り組みたいと思っている社員が集まるグループ。現在、Working Families、Women & Allies、Young Professionals、LGBT & Allies、Language and Cultural Exchangeの5つの従業員ネットワークグループが活動中。従業員ネットワークグループはもともと非公式に存在していたが、2014年に会社から予算が出る仕組みが作られた。

 企業がダイバーシティ&インクルージョン(多様性とその受容)に真剣に取り組むためには、経営陣が一丸となって取り組む必要があると考えています。3年前にはダイバーシティカウンシル※2を立ち上げ、ここにもきちんと経営陣が参画しています。 実際、AIGグループの経営陣は通常業務とはまた別に時間を割いて、ダイバーシティに取り組んでいます。

※2:ダイバーシティカウンシル
ダイバーシティカウンシルは、役員がメンバーに入り、優先事項を明確化し、課題にどう取り組んでいくのか考え、実行に移していく組織。2014年に設置された。

 ダイバーシティの推進は、会社として作り上げたい企業文化にも結びついています。いま、当グループはAIUと富士火災の合併プロセスにあるので、その中で新しい企業文化を作り上げようと力を注いでいます。その一環として、年功序列型の制度から、パフォーマンスベースの制度への移行があります。社員それぞれの個性・ダイバーシティを尊重していくという取り組みになります。違いがあるからこそ、より良い、より強い会社になれると信じています。

 成功する企業というのは、今日の社会を反映する企業です。たとえば、いま、グローバリゼーションが進み、少しずつ世界が小さくなっています。我々のビジネスは日本に拠点を置いていますので、日本のニーズをよく知ることが大切ですが、グローバルなニーズが関わっていることも自覚する必要があります。

 AIGグループは日本だけでダイバーシティ&インクルージョンを進めているわけではありません。世界的にも何年にもわたり、企業文化を作り上げるために時間とお金を注いできました。

トップ150人の会議でLGBTイベントの積極的な参加が促される

──サンドリックさんは、LGBTの従業員ネットワークグループのスポンサーとしてこれまでどんなことをなさってきたのでしょうか。

サンドリック氏:私は始めの一歩として、理解が何より重要だと思っています。そこで、スポンサーを引き受けるにあたって、まず、LGBT従業員ネットワークグループのメンバーをランチに誘いました。カジュアルな場で、日本の社会でLGBTとして生きるとはどういうことなのか、率直な声を聞きたかったのです。私のような支援者の役割を果たしている人間は、LGBTの方々の立場に立って考えてみないと気持ちのつながりも持てないし、感じている困難やチャレンジも共感できないと考えています。

──社外のLGBTコミュニティとはどのように関わっていますか。

サンドリック氏:5月6日と7日に、東京のLGBTパレードイベント(東京レインボープライド)が開催されます。昨年はAIGグループから60人が参加しました。今年は昨年以上の参加者になると思います。今朝も会社のトップ150人のリーダーが集まる会議で、「このイベントを通じて東京、日本、世界に対してAIGグループがどういうグループか見ていただける素晴らしい機会だ」と話し、積極的な参加を促しました。従業員だけでなく、友人や家族と一緒に参加するメンバーもいます。もちろん私もパレードに参加します。

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昨年の東京レインボープライドの様子

──AIGグループでLGBT支援が始まったきっかけはどのようなものだったのでしょうか。

サンドリック氏:きっかけとなったのは、ある保険代理店からのお声がけでした。AIGももっとLGBTの取り組みに積極的に参加して地域社会の一員になるべきだ、という声をいただいたのです。やはり保険代理店の方々は地域社会に近いところにいるので、いろいろと見えてくるものがあるのでしょう。そのときに、どうしてこれまで日本のAIGグループはLGBTの課題に積極的に関わってこなかったんだろう、ということをグループ内で考え始め、グループとしてすべきことのアイデアを出し合いました。

 これらの取り組みを進める中で、従業員の関心レベルが一気に高まり、LGBTに特化した従業員ネットワークグループを立ち上げられないかという動きが始まっていったのです。

【次ページ】「保険会社」だからこそ、LGBTを含めた顧客リサーチを開始

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