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  • 2017/05/31

東京ガールズコレクションが「圧倒的なリアルと熱狂」でSNSの嵐を起こすメカニズム

W TOKYO 村上範義氏インタビュー(前編)

2005年に初めて開催され、2017年3月25日には24回目を迎えた東京ガールズコレクション(以下、TGC)。2018年にはニューヨークの国連本部でファッションセレモニーを行い、活動報告を行うことが決まっている。TGCは若い女性から支持されるファッションイベントとして知られているが、ビジネスの観点から語られることは少ない。TGCを企画・制作するW TOKYO 代表取締役社長 村上 範義氏は、「TGC立ち上げの背景には、ファッション業界で広がるヒエラルキーへの挑戦がありました」と語る。TGCがファッション業界に与えた影響、10代・20代(F1層)にターゲットを絞った理由、TGCがSNSを味方につけるにいたったメカニズムを同氏が明らかにする。

(聞き手/構成:編集部 佐藤友理、執筆:中村仁美)

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W TOKYO 代表取締役社長
東京ガールズコレクション実行委員会
実行委員長
村上 範義氏


「東京ガールズコレクション」とは何なのか?

──10代、20代女性なら知らない人はいないTGC。まずはTGCがどういうイベントなのか、他のファッションショーと何が違うのか教えてください。

村上氏:TGCは2005年にスタートした、ガールズマーケットに特化した国内最大級のファッションフェスタです。テーマは「日本のガールズカルチャーを世界へ」。私たちW TOKYOは、このイベントの企画、制作、運営を一手に担っています。

 TGCは毎年、春(3月)と秋(9月)に開催しており、今年の9月で第25回目を迎えます。TGCが国内最大級のイベントと言われるのには理由があります。私たちが1回のTGCに投資する金額は約3億円。限られた資産のなかでガールズマーケットにこれだけの大金を集中して投資してきたからこそ、この分野でナンバーワンになったのだと自負しています。

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TGC 2006 SPRING/SUMMERフィナーレ
(©TOKYO GIRLS COLLECTION 2006 SPRING/SUMMER)


──村上さんは、いつからTGCに携わっているのでしょうか?

村上氏:私はTGCの立ち上げに参画した3人のうちの1人です。W TOKYOの前身であるW mediaがDLEの傘下となったり、会社名が変わったりしましたが、第1回から第25回まで、私を含め、演出家やプロデューサーなどの主要なメンバーはずっと変わらずに携わっています。

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TGC 2017 SPRING/SUMMERフィナーレ
(©TOKYO GIRLS COLLECTION 2017 SPRING/SUMMER)


──なぜ、ガールズマーケットに絞ったファッションイベントを立ち上げようと思ったのでしょうか。

村上氏:日本では、『JJ』『ViVi』『Ray』『CanCam』『S Cawaii!』『Popteen』などの多様な女性ファッション誌からわかるように、ガールズファッションが細分化されており、特異なマーケットを形成しています。それを日本の代表的なコンテンツとして打ち出したいと思いました。そして、TGCというファッションイベントを始めた背景には、従来のファッション業界に対するアンチテーゼがありました。

モデル事務所とファッションブランドがTGCを通して発見した可能性

──アンチテーゼとは、どういうことでしょうか。

村上氏:ファッションショーといえばパリコレクションやミラノコレクション、ニューヨークコレクションなどの名前が挙がります。こういったショーで見られるのは、オートクチュールやプレタポルテなどの日常では着ることの少ない高級服です。これらのショーを生で見たことのある一般の人はほとんどいません。というのも、これらのショー会場に入れるのは、バイヤーやファッション業界の重鎮など、招待された数百人の人たちだけだからです。しかも、座席もヒエラルキーによって決められているという閉ざされた世界です。

 一方、東京ガールズコレクションはデザイナーやモデルが輝くのは当然ですが、3万人もの一般の女の子たちが主役のリアル・クローズ(現実の生活の中で着る服)のショーなんです。また、座席にヒエラルキーはありません。ランウェイサイドのスタンディングエリアは早い者勝ちなので、このショーを見たいという熱意のある人が最前列に行くことができるんです。それもTGCが若い女性に受け入れられた理由です。

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スタンディングエリアからは、
最新のファッションに身を包むモデルたちを目の前にすることができる
(©TOKYO GIRLS COLLECTION 2017 SPRING/SUMMER)


──それまで当然とされていた形とは違う、新しいファッションショーを始めるにあたり、風当りは強くなかったのでしょうか。

村上氏:第1回目を開催する際、「リアル・クローズのショーをやっても意味ないよね」とファッション業界からは厳しい声も聞こえました。その一方で、来場者からは「ショーでやったものがその場で購入できる」「いつも雑誌で見ているモデルが動いている姿が見られる」などの声があり、支持が集まりました。

 来場者だけではありません。モデル事務所からは「これまで活躍の場が雑誌に限られていたモデルたちが動画の世界にも進出でき、ビジネスチャンスにつながった」と評価されました。また、それまで共演することのなかった「各雑誌専属のモデルが一同に介する」という新しいエンターテイメントの実現に、出版社は驚いたようです。

 さらに109やルミネなどのファッションビルに入っているブランドからは、自分たちが直接情報を発信できるファッションショーができたと喜ばれました。このようにいろんなステークホルダーのメリットが合致し、TGCは国内ファッション業界に大きなムーブメントを起こし、そのムーブメントはアジアを席巻しています。

──TGCの開催は、ファッション業界にとってもエポックメイキングなできごとだったのですね。

村上氏:そうです。私たちはTGCを世に送り出したことで、ファッション業界に革命を起こしたと思っています。2年前から海外のコレクションでもTGC同様、その場で購入できるという仕組みが導入されました。TGCの登場は一気に時代を塗り替えたのではないかと考えています。

【次ページ】TGCがSNSに強い理由

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