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2017年11月21日

チャットボット活用の先進事例、自動車販売の常識を覆した企業も登場

米国では、昨年からチャットボットを導入し、カスタマーサービスなどを行う企業が急激に増加している。通常のプロセスを短時間化し、なおかつ顧客に人と会話しているような感覚を与えるチャットボットの使途は広がりを見せ、これまでの常識を覆すようなビジネスが次々に登場している。

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

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保険会社のレモネードではチャットボットだけで決済まで行えるため、劇的に価格を抑えることができた

(出典:レモネード)


チャットボットの活用が本格化

 チャットボット、あるいは単にボット、と呼ばれるアプリは主にスマホ上でチャットをしているがごとく顧客の質問に答える、あるいは問い合わせに応じたサービスを提供するものだ。

 マイクロソフトやフェイスブックが開発する「おしゃべりAI」も一種のチャットボットではあるが、ここでは特定のビジネスに特化し、雑談はできないものの実際のビジネスアプリケーションとして稼働しているものを指す。

 チャットボットはすでにさまざまな業界で実用化されているが、使われ方の典型的なものはパーソナルアシスタントだ。たとえば旅行を考えるとする。チャットボットに対し行きたい場所の候補、日程などを伝えるとボット側が旅行会社、航空券などをサーチして「ハワイなら8日間でこのようなプランがある」といった提案を行う。

 最終的にはボットが旅行社などのウェブサイトに誘導する。

 しかし、最近のチャットボットはこの「ウェブサイトに誘導」という部分を省き、直接ボット内で予約や購入が行えるものが増えてきた。

 顧客にとっても、またビジネス側にとっても時間の節約ができ、効率的となる。ビジネス側にはさらにカスタマーサービス、予約、クレーム処理といった複数の業務をチャットボットひとつにまとめることで人件費も節約でき仕事全体の生産性が上がる、という面もある。

チャットボット相手に「値切る」ことも可能

 その代表的な存在として注目を集めているのがニューヨークをベースとした新しい保険会社「Lemonade」だ。

 賃貸、持ち家を問わず家を対象とした保険で、災害時、盗難、屋内機器の故障など、家にまつわるあらゆる被害を補償する。

 通常こうした保険の加入にはエージェントとの面談やさまざまな書類への署名などが必要となるが、レモネード社ではこれをすべてスマホアプリ上でAIをベースとしたチャットボットが行う。

 実際にレモネードアプリをダウンロードして申請手続きを行ってみた。Maya.aiというエージェントが登場し、ラインのような吹き出しによる会話が始まる。

 若い女性の顔写真とともに「Hello, how are you today?」といった会話が始まるが、これはAIであって実在の人間ではない。



 相手からの質問に対し、Yes/Noあるいは簡単な数字の打ち込みなどすると、筆者側の返答も「Yes, I own my house for 15 years」といった会話調となって打ち出される。

 複数の質問に答えると、その場で月々の保険料が算定され、「これで良ければクリックするだけで契約へ」となる。

 署名もスマホ上で行い、これだけですべての契約が終了となるのだ。

 さらに保険料に不満がある、と回答すると「ではもう少し安くできるか検討してみましょう」と、実に人間的な対応で削れるところを提示してくれたりもする。

 従来こうした保険の申し込みは代理店に出向いて少なくとも30分以上の時間がかかるのがふつうだったから、これだけでもかなりのスピード化だが、さらにすごいのはクレーム処理も同様にチャットボットに報告するだけで数分で補償額を提示する、という点だ。

 従来の保険会社では、時には保険代理人が自宅まで来て被害状況を検分する、などのプロセスを経て数週間かかってようやく補償が下りる、というのが通常である。レモネードでは「クレームがあると瞬時に支払いを行う」ことを最終的な目標としている、という。

【次ページ】自動車販売のビジネスモデルまで変えたチャットボット

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