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  • 2018/06/20 掲載

「働き方」を変えるなら「オフィス家具の調達方法」を考えるといい

内田洋行インタビュー

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社員のコミュニケーションを増やし、イノベーション創出のきっかけを作るために、フリーアドレスオフィスをはじめとする働き方改革施策を打つ企業が増えている。しかし、集中して作業するためのスペース、活発にディスカッションするためのスペースの配置といった試行錯誤なしに「生産性が高いオフィス」はつくれない。ここで、オフィス改革のための家具調達が問題になる。購入してみても、実際の働き方に合わないかもしれないし、リースにしてしまったら一定期間使わなければいけない。そこで注目を浴びているのが「レンタルオフィス家具」だ。企業や学校の働き方変革事業を営む内田洋行 執行役員 知的生産性研究所 所長 平山信彦氏、内田洋行 海老原秀夫氏、矢野直哉氏、海老千春氏に話を聞いた。

執筆:フリーランスライター 吉田育代、聞き手:編集部 佐藤友理

執筆:フリーランスライター 吉田育代、聞き手:編集部 佐藤友理

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内田洋行 経営企画統括部 第三企画部 担当課長 海老千春氏(左)、同オフィスエンジニアリング事業部 TrendRent事業 担当部長 海老原秀夫氏(中)、同 経営企画統括部 第3企画部 部長 矢野直哉氏(右)

「働き方変革」には2種類ある

── 内田洋行の中で、オフィス関連事業はどのような位置付けなのでしょうか?

矢野氏:当社には大きく「環境構築関連事業」「ICT関連事業」の二本柱があり、オフィス関連事業の多くは「環境構築関連事業」に含まれ、売り上げ全体の約3分の1を構成しています。

 当社のスタートは明治期にさかのぼり、自社生産の文具を販売する傍ら、欧米の事務器械を輸入販売するなど、企業の経営近代化に貢献してきました。

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オフィス関連事業は、同社の柱「環境構築関連事業」に位置づけられると語る矢野氏

── 最近、オフィス改革に着手する企業が多いようですが、これにはどんな理由があるのでしょうか?

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内田洋行 執行役員 知的生産性研究所 所長 平山信彦氏

平山氏:日本は生産年齢人口の減少などで社会構造の転換が目前に迫っています。政府は、それを踏まえて「未来投資戦略2017」の中で、「生産性の向上と新しい価値創出力の強化に結びつく働き方改革」を進めています。

 こうしたことを背景に、企業や自治体は、オフィスワーカーの持つそれぞれの経験やノウハウ、組織の中に蓄積された知識を積極的に活用しようとしています。具体的には、イノベーションを生み出せる風土の形成や、個とチームの能力を最大限に発揮できるワークスタイルの実現に関心を寄せているんですね。その舞台としてのオフィスでは、人が集まりやすい場づくりや、自由に情報を活用できる環境など、コラボレーションのための「場所」がますます重要になってきています。

 また、人口減少によって新人採用も年々厳しくなっています。この状況を改善するために、働き方や採用・人事制度、ワークライフバランスなどを同時に改革しようとする企業も増えています。

──働き方改革の中で、オフィスはどのような役割を果たすのでしょうか?

平山氏:当社は働き方「変革」と表現しています。そのアプローチには「行動変革施策」と「環境整備施策」の2つがあります。行動変革施策はコミュニケーションの活性化、会議革新、マネジメント革新、情報・知識共有、仕事の効率化など、社員1人ひとりの日常行動の変革活動を指します。

 一方、オフィス整備・活用は後者の環境整備施策に含まれます。環境整備施策には、この他に人事制度の整備・活用、ICTの整備・活用などが含まれます。

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働き方を変えるには、行動変革と環境整備の両方が必要

──オフィスのレイアウトや雰囲気を変えれば、働き方は変わるのでしょうか?

平山氏 :オフィスを変えるだけでは働き方は変わりません。働き方を変えるドライバーは、社員1人ひとりの行動変革です。オフィスはその舞台装置として変革を支え、加速する役割を担います。

 たとえば、社員は日々さまざまな場面でコミュニケーションを取りますが、打ち合わせコーナーを整備したり、社員同士出会いやすい動線を実現したりすることで、コミュニケーションが活性化されます。オフィスの「環境整備」と社員の行動を変える「行動変革」、これら2つを一緒に進めることが働き方変革で重要なポイントです。

オフィス改革は「ゴール」を決めないほうがよい?


──内田洋行 知的生産性研究所は2010年から「Change Workingコンサルティング・サービス」を提供しています。2010年から今日まで、企業とオフィスの関係はどのように変化していますか?

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内田洋行が提供する働き方変革コンサルティング・サービス

平山氏:「オフィスは働き方変革の舞台装置である」という認識が強くなったと思います。同時に、オフィス、ICT、制度など環境を整備するだけでは効果は上がらず、社員の行動変革が必要だということも明らかになっています。

──平山さんは2017年に『チェンジ・ワーキング』という本を出されています。その中で、働き方変革には2種類あるとおっしゃっています。この2種類はどういったものなのでしょうか?

平山氏:1つは、オフィス移転などの具体的なきっかけにより始まる「イベントドリブン」。もう1つは特定の課題を解決するために始まる「イシュードリブン」です。

 イベントドリブンの働き方変革は、「移転を機会に働き方を一新しよう」など、変革の必然性を共有しやすい。さらに、イベント発生までに働き方変革施策の計画を間に合わせなければいけないため、「締め切り効果」生まれます。しかし、イベントがゴールと見なされ、いざそのイベントが終わると一気に熱が冷めてしまう危険性があります。イベントドリブンの働き方変革では、「イベント後が本番」という気運をつくることが重要です。

 一般に、移転前は紙文書の廃棄など、それまでに進めなければいけない施策に集中する傾向があり、重要な施策は移転後に着手することになります。しかし、変革に対する理解や合意が弱ければ、移転が完了すると「ちょっと一息」という雰囲気になりがちです。いったんそうなると、再起動はとても困難です。移転後すみやかに「ここからが本番」という気運を形成しなければなりません。

 一方、イシュードリブンは、課題を解決するという目的から始まります。課題に気づいている社員は変革の必然性をよく理解していますが、そうでない社員は「なぜ変革が必要か」を十分に理解できていないおそれがあります。イシュードリブンの働き方変革では、「なぜ今、働き方変革が必要なのか」という合意形成が重要となります。

【次ページ】オフィス家具は「購入」か「リース」か「レンタル」か

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