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  • 2018/06/22 掲載

IoTが保険業界を破壊する?高まる「付加価値」への需要

保険ニーズが激変

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企業や家庭に浸透しつつあるIoTが、保険業界にも大きな再編の波を起こしている。保険とIoTの連携が進み、これまで大手企業が中心だった保険業界に新興勢力が参入してきているのだ。こうした中で保険ユーザーのニーズも変わり始め、保険・IoT・自動車・家電企業は合従連衡で対応を模索する可能性が出てきた。保険が生き残るために、さまざまな工夫が必要になってきている。

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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IoTが浸透することで保険の有りようやニーズも変わってきた
(© wutzkoh - Fotolia)


IoTが新興勢力の保険事業参入のきっかけに

 保険は、自動車保険、損害保険、生命保険、医療保険から家庭用の火災、盗難など、その種類は多岐にわたり、米国で最大の保険会社でもカバーしている分野は最大で2割程度といわれる。

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米国における住宅所有者・賃貸人保険を利用しているインターネット世帯への保険提供者
 マーケットリサーチ会社パークス・アソシエイツの調査によれば、家庭用の保険最大手はステート・ファーム社だが、市場シェアは全体の2割程度。2位のオールステートが1割程度で、非常に競争の激しい分野だ。一方でオンラインなどを用いた新規保険会社などが全体の3割近くを占めており、市場はこれまでの大手中心から、新興勢力が参入しやすいものへと変わってきている。

 新興勢力が参入しやすくなっている理由はやはりIoTだ。家庭用IoTといえばスマホと連動させて家の玄関ロックやガレージドアを開閉させる、家の中の室温を調整する、照明やテレビなどの電子機器をコントロールする、といったものもあれば、IoTを活用して冷蔵庫の中身を家の外から確認したり、足りない食材をリスト化し食料品の宅配を自動的に依頼するなど、さまざまなものが登場している。その中で、保険と密接な関係があるのが「アラーム系のIoT」だ。

 アラーム系IoTには、家のドアロックが解除された場合にスマホなどに連絡が来て、家の中に異変が起きているのか確認するなど、外から家の中の様子を確認するものや、日本のセコムのような警備会社が設置するアラームシステムなどがある。後者に関していえば、IoTにより警告が直接ユーザーに届く場合、警備会社のシステムに別個に料金を支払う必要性はあるのか、と考えるユーザーが増えているという。

IoTの普及が「保険のニーズ」を変えている

 一方で、ユーザーはこうしたIoTによるアラームシステムと保険会社が連動するシステムを求めているという。パークス・アソシエイツの調査では、アンケートに回答したユーザーの実に60%が「保険会社がこうしたIoT機器をディスカウントして販売する」ことを望んでいた。現在でも警備会社によるアラームを設置していることで保険料金の割引が受けられるケースはあるが、それよりも一歩進んで保険会社がIoTと連携し、抱き合わせサービスを提供することが求められている。

 さらに一歩進み、家庭内に盗難、火災、水害などの問題が生じた場合、IoTが自動的に保険会社に被害を連絡、保険会社による査定、修理までがオンラインを通して自動的に進むシステムを求める声もユーザーの間では高まっている。

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IoTと保険業界の関係
(出典:McKinsey Global InstituteによるThe Internet of Things:Mapping the Value Beyond Hype,2015年6月を和訳)

 この需要に対応するように、米国では現在1300件近くの保険関連テクノロジーのスタートアップ企業が存在する。最重要とされるのはデータの提供だ。

 IoTにより保険会社が得られるユーザーデータはこれまでにないレベルに高まっており、このデータを利用してユーザーに対して最善の保険システム、料金設定を行うことで今後の生き残りが図られることになる。逆にいうと、今後はIoTテクノロジーとの提携を行わない保険会社の存続は厳しいものとなる。

【次ページ】保険とIoTを組み合わせる上での3つのポイント

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