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  • 2018/10/26

板金加工とは何か?基礎からわかる3種の手法とメリット・デメリット

連載:製造業の基礎知識

家電製品のカバーやボディ、乗り物の外装やブランケットなど、さまざまな製品で使われているのが「板金加工」です。金属の板材を材料とするので、多くの材質が使用でき、材料費が安く、加工費も比較的安価など、多くのメリットが存在します。しかし、汎用性の高い板金加工といってもその基礎知識がなければ品質低下につながる恐れもあります。ここでは板金加工の基礎知識に加えて、プレス加工、精密板金、手板金加工の3つの手法と各メリット・デメリットを紹介します。

フリーライター 森脇 学

フリーライター 森脇 学

工学系出身。食品工場向けの機械開発・受注設計のエンジニアを経たのちにフリーライターとして独立。現在は家電、美容、イベント取材など、多岐に渡った分野で執筆活動をしている。

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板金加工はさまざまな工業製品で活用されています

(© kiyo09 – Fotolia)



板金加工とは何か?

 板金加工とは金属の板材を切断したり曲げたりして任意の形状に加工する作業のことを指します。その適用範囲は広く、金属製品の部品にはほぼ使われているといっても過言ではありません。

 元々1枚の薄板に対し、曲げ、溶接、表面加工を行うことで目的の形状を得ることはもちろん、強度の向上、軽量化、複雑形状の制作、費用の節約といった恩恵を受けることができます。中でも強度の向上と軽量化は板金加工を行う上での最も魅力的なメリットといえるでしょう。

広義の板金加工は3種類ある

 広義では板金加工は大きく3つあり、プレス加工、精密板金、手板金加工に分けられます。それぞれにメリット、デメリットが存在しており、製品に合わせた選択が重要となります。

 プレス加工は専用金型を用いた加工方法です。金型に板金を押しつけることで金型と同じ形に変形させることができます。一度の工程で複雑な形を形成できるため大量生産に向いています。

 精密板金は、汎用の金型を用いた板金機械(ベンディング・マシン)を使い形成する手法です。機械を使用しますが、位置調整、工具の付け替え、プレス量などは全て手動のため少量~中量生産に向いています。

 手板金加工は板金をハンマーなどで叩いて形を形成する手法です。プレス加工や精密板金では対応できない加工で使われることが多く、少量生産・完全受注で使われます。新幹線の先頭車両の流曲線もこの技術が使われています。

各加工方法の概要とメリット・デメリット

 簡単に各加工方法について紹介しましたが、ここではそれぞれの加工方法のメリットとデメリットについて紹介します。基本的には生産体制に合わせた選択、あるいは形状による選択が望ましいとされています。

表 板金加工の各加工方法のメリットとデメリット
プレス加工精密板金手板金加工
メリット大量生産が可能。金型の初期費用・時間は必要だが、その後の生産時間と費用は格段に安くなる。小~中量生産が可能。汎用性が高い。立体的な複雑加工にも対応できる。流曲線のような複雑形状の生産が可能。汎用性が高くプレス加工や精密板金では加工できない形状にも対応できる。
デメリット金型の初期費用高い。金型完成まで時間がかかる。設計変更を行うと金型の改造または再制作が必要となる。別途保管料がかかる場合有り。複雑な形状は加工できず、プレス加工と比較してスピードが遅い。形状により治具を作成する必要があり、費用が嵩むことがある。基本的に手動で加工を行うため納期まで時間がかかる。また、費用も高い。大量生産に向かない。
生産目安1,000個~10個~1,000個1個~100個
得意分野大量生産。単純形状。少量~中量生産。セミオーダーメイド製品。立体的な形状。少量生産。完全オーダーメイド製品。複雑な曲線形状。


 それぞれのメリットを活かすため、試作段階では精密板金や手板金加工を用いて改善を繰り返して商品化に向けてプレス加工を用いるパターンや、ベース形状のみプレス加工で制作してオーダーに合わせた追加工を精密板金や手板金加工で行うパターンもあります。

 必ずしも1つの加工方法で製品を完成させる必要はありません。部品単位だけでなく加工単位で方法を選択することも視野に入れておきましょう。

【次ページ】板金加工の6つの工程

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