• 2019/01/29 掲載

キャッシュレスは危険? なぜ暗号通貨と「組み合わせて考えるべき」なのか(2/2)

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 アリペイの英雄ジャック・マーは、NYタイムズのインタビューで次のようにぶっきらぼうに語る。

「中国で違法とされるものは何であれ、我々のサーチエンジンには載らない。何かしらよろしくないもの、なに、法輪功だって?」

 法輪功とは、中国政府が国家の転覆を狙うと考え、邪教扱いしている団体だ。これまで数千人の法輪功メンバーが、中国政府による拷問や虐殺にあったと見られている。中国は国際的な非難を受けているが、中国のネット検閲システムは法輪功の情報を一切遮断している。ジャック・マーは弾圧の片棒を担いでいるのではないか?

 もちろんジャックは中国政府に楯突くような馬鹿ではない。そんな馬鹿は一代で巨大な企業グループを興せたりはしない。だから彼はうんざりしたように首を振って答える。

「ノー!僕らがやっているのはビジネスなんだ。株主が求めているのはカネを生みだすこと。株主は僕らが客をハッピーにすることを望んでいる。現実的に言って、僕らにそんな政治的なことをする責任はないね。そんなことは放っといてくれ!」

暗号通貨をバブルで片付けてはいけない

 17年、銀座中央通りの路線価は最高値を更新、一平米あたり4032万円を記録した。一平米とは畳でいうと0.3枚分。犬小屋だって置けやしないのにそんな値段がする。もしその土地を92年に3650万円で買っていたら、バブル崩壊期には嘲笑されたことだろう。しかし、もしその土地を17年までホールドし続ければ、買値より一割以上高くなったことになるのだ。

 ビットコインの価格が、銀座中央通りの地価のように復活するかは誰にも分からない。そこまで上がるべきというわけでもない。ただし暗号通貨は、いまも世界的な認知が高まるプロセスのなかにある。ハッキングや価格操作などの犯罪が起こらないよう、取引所の安全と公正を高めるのが大きな課題だ。改善の余地の大きさは、伸びしろの大きさでもある。

 「億り人」が生まれる相場は、もう来ないのかもしれない。それでも市場に参加してみると、通貨の新時代の躍動を感じられるだろう。少し注意して相場に目をやると、そこには投機以外のものが色々と見えてくるはずだ。たとえばアメリカ証券取引委員会の政策が価格に影響する、日本の取引所がハッキングされても相場にほとんど影響が出ない、といったことだ。

 相場が一段落したいまは、デイトレードに一喜一憂せず暗号通貨を知るよい機会だ。暗号通貨はたんなるキャッシュレスの一形態ではない。それは国家や情報企業に、私有財産や個人情報を食いものにされないための、ひとつの抵抗運動(プロテスト)でもあるのだ。
【修正情報 2019/01/30 00:58 修正】
本記事の一部を修正・訂正いたしました。

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