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  • 2019/08/27

求人倍率は東京で8倍超え、過熱する「高卒採用」に潜むワナ

日本経済のボトルネックとなりつつある「人手不足」。売り手市場が続き、有効求人倍率は右肩上がりだ。学生・大学院生の採用にも多くの企業が食指を伸ばしているが、特に過熱しているのが高卒採用だ。東京都に限れば、8.72倍。1人の高校生に対して8~9社が手を挙げている異常な状況である。本稿では、9月上旬に応募開始が迫った高卒採用の現状や問題点について、企業の採用支援を行ってきた筆者がレポートする。

物流・ITライター 坂田 良平

物流・ITライター 坂田 良平

Pavism 代表。元トラックドライバーでありながら、IBMグループでWebビジネスを手がけてきたという異色の経歴を持つ。現在は、物流業界を中心に、Webサイト制作、ライティング、コンサルティングなどを手がける。メルマガ『秋元通信』では、物流、ITから、人材教育、街歩きまで幅広い記事を執筆し、月二回数千名の読者に配信している。

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あまりニュースでも報道されない「高卒採用」の問題点を、実体験を基に指摘する
(Photo/Getty Images)


熱狂する高卒採用、そのルールは?

「これまで職業安定行政は失業対策中心だったが、現在は人手不足への対応が主要課題となっている」

 これは、『週刊経団連タイムス 2018年11月1日号』において、厚生労働省の大臣官房審議官が語った言葉である。ハローワークによれば、2018年度の有効求人倍率は、1.62倍であった。2002年以降の有効求人倍率をグラフにすると、現在の求人倍率が、いかに高い水準にあるかが分かる。

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※一般職業紹介状況(職業安定業務統計) (国土交通省)公表データから有効求人倍率のみをグラフ化したもの。

  学生および大学院生の採用に限れば、求人倍率は1.88倍である(2019年3月卒業予定者/リクルートワークス研究所調べ)。

 さらに厳しい状況にあるのが、高校生に対する採用活動だ。2019年3月卒業者に対する求人倍率は、大卒/院生採用を超える2.78倍。東京都に限れば、8.72倍という、異常な高倍率になっている。

   ここで、高卒採用における就職協定、ルールを確認しておこう。
  • 大原則として、高卒採用はハローワークを介して行う。
    (公務員などの例外を除く)
  • 企業が用意した求人票が交付されるのは、7月1日から。
  • 高校生の応募開始は、9月5日から。
  • 企業が選考(面接など)を開始できるのは、9月16日から。

  • (2020年3月卒業者の場合)

 ちなみに高校生の場合、最初(9月5日)に応募できるのは、1社だけである。大学生のように複数の企業に対し、掛け持ちして応募することはできない。

 最初に応募した企業に落選した場合のみ、複数の企業に対する応募が認められる。

 この高卒採用、採用企業側も応募者側も実は課題が少なくない。その課題についてここからは掘り下げていく。

高卒採用の課題(1)大卒と比べて明らかな情報不足

 多くの高校では、進路(就職)指導が本格化するのは、3学年時のゴールデンウィーク以降だ。生徒たちは、前年度の求人票を確認し、志望企業の絞り込み、企業研究を行う。

 大卒採用に比べ、生徒たちが圧倒的に不利なのは、情報量である。大卒の場合、大手採用情報Webサイトや、企業の採用Webサイトなど、多くの情報を基に採用活動を行うことが可能だが、高卒求人の場合、最大の情報源は、ハローワークが発行する求人票だ。ご存じのとおり、求人票は字数や掲載情報の制限もあり、得られる情報は極めて限定的である。

 企業のWebサイトから足りない情報は取得すれば良いのだが、PCを用意し、企業Webサイトを閲覧できる環境が、すべての高校で十分に備わっているわけではない。

 多くの高校では、就職希望の生徒たちは7月後半から志望企業の企業見学を行うが、この企業見学も課題である。

 私の知る限り、複数社の企業見学を認めている高校はない。生徒たちは、「応募する」と決めた企業に対して、“確認”のために企業見学を行うのであって、応募企業を選定するために企業見学を行うのではないのだ。生徒たちは、よほどのことがない限り、企業見学を行った企業以外に応募することはできない。

 これは、都道府県やハローワークが発行する書面には掲載されておらず、おそらくは高校側の労力を減らすための方策と思う。

 事情は分からないではないが、限られた情報からしか志望企業を決めることができない生徒たちにとってこのシステムは酷ではないか。

【次ページ】課題(2)高校の進路指導力不足、(3)高い早期離職率

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