- 2025/06/21 掲載
「今の仕事がつまらない」人をガラッと変える、3つの「問いかけ」
アナザーヒストリー 代表取締役、エンカレッジ・イノベーション 代表取締役。1977年生まれ。広告営業として、リクルートに入社。効率化を考え抜いた独自の営業スタイルで、早くも1年目から2年連続でMVP獲得。しかしマネージャー職になると、その激しい手腕が逆効果となりチーム業績は低迷し、離職者が続く。育児の大変さも伴い、家族との関係も崩壊寸前に。そんな人生のどん底でアドラー心理学とコーチングに出会い、自分のチームで「メンバーに問いかけ、勇気づける」を実践したところ、状況が一変。半年後には過去最高の売上と利益を達成。同時に、子育てをはじめ家族との関係も激変したことから「この思考法とメソッドを、もっと多くの人に伝えたい」と2014年に独立。以降、アドラー心理学をベースにした組織開発、人材育成でのべ3万人以上を研修でコーチング。クライアントはメガバンク、電気・電力会社、大手食品企業といった東証プライム上場企業から、成長中の中小企業、行政まで多岐にわたる。従業員全員の意識が変わるだけでなく、チーム業績もアップさせ、「30年間で最高の研修」と称賛されることも。
「~が当たり前」「~すべき」と価値観を押し付けていたら…
「家族旅行をしたら、普通は一緒に行動するべきでしょ!」かつての私は、そんなふうに「~が当たり前」「~すべき」「普通~」「~なんてあり得ない」といった言葉を使って、相手に価値観を押し付けていました。
「お給料もらってるんだから、目標を達成するのが当たり前じゃない?」
お恥ずかしいかぎりです。
考えてみれば、価値観の押し付けは、相手との対立を生み、不毛なコミュニケーションや不毛な時間を増やすだけ。まったくもってムダな時間でした。
今だからわかりますが、そのとき口ぐせにしておけばよかったのが、
「何が大事なの?」 → 価値観を引き出す
「それは何のため?」 → 目的を引き出す
といった「多様性を問う」言葉です。
たとえば、私の夫は、家族旅行中でも「ちょっとランニングに行ってくる」と言って、気ままにというか、自分勝手に行動します。
以前は「普通、家族一緒に過ごすべきでしょ!」と責め立てていましたが、アドラー心理学とコーチングを学んだ後は「どうしてそう思ったの?」と聞いてみました。
そうすると、夫は「旅行中くらい好きなように過ごしたい。何にも縛られず自由な感じがいいんだよね」と教えてくれました。なるほど、たしかに一理あります。
それ以降、我が家の旅行では、家族で一緒に過ごす時間と、それぞれ自由に過ごす時間を分けています。やってみたら、びっくりするほどストレスがなくなりました。
「目標を達成したいと思ったことがない」人の本音
またある日のこと。職場のミーティング中に30代の若手メンバーが、
「売り上げ目標を達成したいと思ったことがない」と、ハッキリ言ってきたことがありました。
昔の私なら瞬間湯沸かし器のようにカチンときて「達成するのが当たり前でしょ!」と即座に返していたかもしれません。しかし「多様性を問う」大切さを学んでいたので、それはグッとこらえて、
「どうしてそう思ったの?」とまったく普段どおりのテンションで聞いてみました(大前提として、これらをイラだったトーンで言ってしまうと、台無しになってしまうのでご注意ください)。
するとそのメンバーが、
「お客さまの期待を越えることに価値を感じるんです。でも、目標達成を意識しすぎると良い仕事ができなくなって、お客様の期待を越えられないんですよね」と、意外な本音を教えてくれました。
それからは私自身、相手の価値観を大切にしながら目標達成に向き合えるようになり、前よりそのメンバーとの関係性も良くなりました。
実際、アメリカのギャラップ社の調査では「自分の意見が尊重されている」と感じている社員は、そうでない社員に比べて4.6倍もエンゲージメントが高い、つまり仕事への意欲と情熱が大きい、と報告されています。逆に「意見が尊重されていない」と感じている社員は、離職率や欠勤率が上がってしまいます。
「どうしてそう思ったの?」「何が大事なの?」と多様性を問いかけて出てくるものは、相手が本当に大切にしている価値観です。
そのため、そこに耳を傾けるだけで、「意見を尊重されている」と感じ、不毛な衝突やモチベーション低下を回避できるわけです。 【次ページ】悩みが驚くほど解消されていく「環境」とは?
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