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  • 2019/12/10

インターネット広告代理店は何をしているのか、業界団体JIAAが基礎知識を解説

電通が2018年に行った調査「日本の広告費」によれば、インターネット広告費は5年連続で2桁成長し、その構成比は全体の26.7%にも及びます。これは、新聞やテレビなどの「マスコミ四媒体広告費」(41.4%)、DMや屋外広告などの「プロモーションメディア広告費」(31.7%)に匹敵する数字です。このように今やマーケティングにおいて必修項目となったインターネット広告ですが、その運用を行う広告会社が具体的に何をしておりどのような価値を出しているのか、正しく理解しているでしょうか?インターネット広告の媒体社、広告会社など270社から成る日本インタラクティブ広告協会(JIAA)が、その基本知識と課題を解説します。

日本インタラクティブ広告協会(JIAA)

日本インタラクティブ広告協会(JIAA)

JIAAは、1999年5月にインターネット広告推進協議会として発足したインターネット広告の業界団体。設立以来、デジタルコンテンツやネットワークコミュニケーションを支える経済的基盤であるインターネット広告の社会的責任を認識しながら、ビジネス活動の環境整備、改善、向上を推進している。 インターネット広告の媒体社、広告会社など270社を超える企業が集まり、消費者保護の観点に基づいたガイドラインの策定、より円滑なビジネス推進のための標準的ルールの整備や調査研究、業界内外への普及啓発などの活動を行い、インターネット広告の健全な発展と社会的信頼の向上に取り組んでいる。

※本記事は『必携 インターネット広告』(インプレス)の内容を一部再構成したものです。
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インターネット広告の規模は年々大きくなり、それに伴いインターネット広告会社(代理店)のニーズも高まっている。業界の現状と課題をJIAAが整理する
(Photo/Getty Images)


広告会社の役割

 さて、広告業界の中核の一つは広告会社(あるいは広告代理店)ですが、インターネット広告のビジネスにおいて広告会社に求められている存在意義と役割は、どう変遷してきているのでしょうか。

 旅行代理店や証券会社のように、売り手と買い手を仲介する市場機能を担う点では、広告会社も本質的には同じです。そして同様に、多様な需要と多様な供給とのマッチングの自動化が進んでいる分野でもあります。自動化の進展に伴い需給を仲介してきた「広告会社の役割は終わるのではないか」と言われながらも、業界全体として、広告会社は存在し続けています。

広告業務と広告主

 広告関連業務を、広告会社だけに任せず、広告主自らがよりコントロールしようという意図で設立された会社組織がハウスエージェンシーです。広告主の子会社あるいは関係会社であり、広告主の宣伝部門を補完する人数規模と専門のスタッフで構成されます。ハウスエージェンシー自体の組織形態や資本関係、スタッフの雇用状況にはさまざまな形態があります。

 また、会社の形態を取らずに広告業務を社内で行うことをインハウスまたは、インハウス業務といいます。

 マス媒体への出稿の場合は伝統的に、媒体側が認定した、限られた広告会社だけが広告発注を行うことができるという商習慣があり、だからこそ広告会社にこの領域特有のノウハウや既得権が集約されているため、ハウスエージェンシーのみで完結する業務形態はあまり普及していません。

 ところがインターネット広告においては、広告主自身が(中小企業や個人事業主だけでなく個人も)直接広告メディアに広告出稿を発注できる仕組みが用意されています(たとえばGoogle やFacebook)。広告メディアが提供する管理画面を通して発注しクレジットカードで決済する手法は、Web上でホテルや飛行機の予約発注ができるのと同じです。

 こうなると広告主がハウスエージェンシーのみを活用したり、インハウスでインターネット広告の発注をしたりすることに、ほとんど何の制約もありません。そのため今あらためて、広告会社の役割が問われているのです。

広告会社の基本的な業務

 インターネット広告業務における従来の広告会社の役割を整理してみましょう。

 広告主の目的・要望・条件に沿って広告戦略を策定し、その中でインターネット広告メディアへの出稿に関しても、最適なメディアプランの作成と、それに沿った広告配信先・掲載先への発注を行います。インターネット広告に関する具体的な業務の流れを以下に示します。

  1. インターネット広告の出稿目的と条件等を広告主側と入念に確認
  2. 広告掲載や広告配信のメディアプランの立案と見積もりの作成
  3. 承認されたメディアプランに沿った広告掲載の発注(予約型の場合)
  4. 広告原稿の入稿、原稿審査への対応(予約型の場合)
  5. 広告原稿、配信条件設定、各種タグの発行と実装(運用型の場合)
  6. 広告配信の速報値を見ながらの最適化運用(運用型の場合)
  7. 配信結果のレポート提出
  8. 次回への改善施策の検討と提案

 もちろんこれらの基本業務以前に、広告会社の営業部門は広告主側とメディア領域を超えたマーケティング戦略全体の提案と確認を重ねます。また広告会社の媒体部門は、広告メディアやアドテク企業側と契約を締結し、広告目的に応じた最適なプランニングのためのバイイング力を向上させ、必要なシステムやデータをそろえ、時には広告メディアに対して広告掲載メニューやフォーマットの開発や改善の提案をも行っています。

 そして、予約型広告の業務では、広告原稿の最適な掲載先(掲載面・掲載枠)を選定し、広告枠や掲載期間・掲載費等を指定して発注します。運用型広告業務では、設定管理画面から予算やKPIに応じて入札を行い、運用で最適化しながら、約定(条件合致)を目指します。

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運用型広告の標準的な業務プロセス
運用型広告の業務は、一般的イメージに反して必ずしも自動化は進んでおらず、受発注間の人的コミュニケーションが何往復も必要になる

広告会社の存在意義

 広告会社の存在意義の1つは、広告業務のプロとして広告主からのアウトソーシングで広告業務を受託していることでしょう。広告主がインハウスで、あるいはハウスエージェンシーを設立して担うよりも、専門性や規模の面で優位性が高いため、広告会社が独立して存在していることには意味があります。

 現在のインターネット広告業務の自動化はまだ発展途上であり、まだまだ人海戦術に負うところが大きいという実態があります。インハウスでこれを担おうとすると、需要の高低によってリソースに過不足が生じたり、また業界の移り変わりが速く必要なスキルにも変化が生じるため、外部の広告会社にアウトソーシングする方が合理的な場合も多いのです。

 広告会社のもう一つの存在意義としては、社会のデジタル化やインターネット広告の進化や複雑化に対応するための「付加価値」の提供です。その付加価値には、メディア業務の上流にさかのぼる領域のものもあれば、メディア業務領域そのものにおけるものもあります。

 前者の付加価値は、クライアント企業の広告マーケティング戦略全体における提案や、商品やサービスの事業戦略全体への関与やコンサルティングまでを含みます。

 後者のメディア業務領域における付加価値としては、インターネット広告領域における、より高度な役割の提供です。

 たとえば、限りある予算を多数の広告媒体に配分し、掲載先のコンテンツやターゲットを精緻に分析し、より効果の高いクリエイティブ素材を配信していく「最適化」には、高度な専門知識やAIなどの最新技術を組み合わせた高付加価値領域への対応が必要です。広告会社として多種多様な実務を担うことで蓄積された知見やデータは強力です。

 あるいは、インターネット広告市場の中で需要の高い広告掲載・配信先は広告在庫にかぎりがあります。そのような希少価値が高い優良広告商品を媒体社とともに開発することや、その在庫を独占的に確保するならば、それもまた高い付加価値となります。

 一方、広告会社の役割をメディア企業側から見ると、広告会社の役割には、自社の広告商品の営業代行という側面があります。

 また、メディアレップなどは、文字通りメディア企業の営業部門の代表・代理(Representative)として登場し、存在しています。「自社の広告商品を他社のものと差別化し、あるいは他社の商品と組み合わせて、広告会社経由で販売してもらいたい」というメディア企業のニーズに応えるために、メディアレップは広告会社の媒体部門とも連携し役割分担をすることでその機能を果たしています。さらに現在ではメディアレップはメディア企業の広告商品の運用・オペレーションの一部を担うケースもあります。

【次ページ】広告会社の報酬の基本モデルとは?これから担っていく役割は?

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