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  • 2019/12/18

ステマにフェイク、アドフラウド…なぜ“ブラック”なネット広告が横行するのか

広告主が気づかない内にブランド毀損のケースも

デジタル化の影響を受けて年々市場が拡大するインターネット広告ですが、不快なフォーマットやステルスマーケティング、広告費の詐取などの手法で消費者から不信の目で見られることが増えています。企業側からしても、ブラックな手法を介して気づかない間に広告が思わぬ場所に掲載され、ブランドが毀損(きそん)されることも考えられます。なぜほかのマスメディアでは起こらないこのような“品質課題”がインターネットでは頻出しているのか。そして、品質課題への対策は? JIAA(日本インタラクティブ広告協会)が解説します。

日本インタラクティブ広告協会(JIAA)

日本インタラクティブ広告協会(JIAA)

JIAAは、1999年5月にインターネット広告推進協議会として発足したインターネット広告の業界団体。設立以来、デジタルコンテンツやネットワークコミュニケーションを支える経済的基盤であるインターネット広告の社会的責任を認識しながら、ビジネス活動の環境整備、改善、向上を推進している。 インターネット広告の媒体社、広告会社など270社を超える企業が集まり、消費者保護の観点に基づいたガイドラインの策定、より円滑なビジネス推進のための標準的ルールの整備や調査研究、業界内外への普及啓発などの活動を行い、インターネット広告の健全な発展と社会的信頼の向上に取り組んでいる。

※本記事は『必携 インターネット広告』(インプレス)の内容を一部再構成したものです。
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なぜインターネット広告への不信がつのる一方なのか
(Photo/Getty Images)



インターネット広告の品質課題

 インターネット広告の歴史が20年を超えてきたころから、インターネット広告にまつわるさまざまな品質上の課題が指摘され、注目を集め始めました。それらの課題は、おおむね下記のように分類整理することができます。

  1. ユーザーの体験を損なう不快な広告フォーマット(アドエクスペリエンス)
  2. ユーザーに直接被害をもたらす不正な仕様の広告(マルバタイジング)
  3. 違法・不当な広告表示や不適切な広告表現(虚偽広告、いわゆるフェイク広告も含む)
  4. 広告であることを隠して消費者を欺く宣伝手法(ステルスマーケティング)
  5. ブランドにとって不適切な掲載先への広告配信(ブランド毀損)
  6. 広告費を不正に詐取する手法(アドフラウド)

 どの課題も、インターネット広告に対する不信感や忌避感につながり、広告やメディアの価値を損なう恐れのあるものです。その上、経済の健全な発展を妨げ、社会の安全を脅かすものとして、大きな社会問題にもなりかねません。

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品質課題の社会への影響

 これらの課題は、デジタル技術特有の複雑さに起因するインターネット広告ならではの問題であると誤解されがちですが、その本質は、アナログ時代にも散見されていた広告全般に関わる問題であるものが多く、それが新たな形で顕在化してきたものです。

 そのことを理解するために、まずインターネット広告と、マスメディア広告などの従来の広告との違いを考察してみましょう。

マスメディアとプロモーションメディアの混在

 マスメディアの定義には諸説ありますが、ここでは「自らの責任でコンテンツを編集・編成してマス(大衆)に伝達する社会的役割を担うメディア」とし、そこに掲載される広告を「マスメディア広告」とします。コンテンツを伴わない屋外広告や交通広告は、マスメディアではなくプロモーションメディアに分類されます。

 プロモーションメディアはほかに、折込広告・チラシ、ダイレクトメール、イベント、フリーペーパー・フリーマガジン、店頭のPOP、電話帳広告などを含みます。その市場の裾野はかなり広範に及び、市場統計には表れないブラック市場もあります。

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プロモーションメディア広告費の内訳推移
プロモーションメディアの広告費も減少が続いており、その多くがインターネット広告に流れていったことは想像に難くない
(出典:電通「2018年 日本の広告費」)

 マスメディアとプロモーションメディアは、その定義の違いにより、消費者の接触環境や態度、信頼度が異なっており、受け手側も暗黙知としてその差異を認識しています。しかしインターネットメディアに関しては、その境界線が曖昧です。メディアの信頼度や、消費者の接触環境や態度もさまざまです。

 つまり、もし広告主がマスメディアや信頼できるプロモーションメディアに対するのと同様な認識でインターネット広告の掲載発注を行うと、思わぬ手違いやトラブルが生じかねません。また、消費者側がマスメディアや信頼できるプロモーションメディアの広告に接触するのと同じ受け止め方でインターネット広告全般に接した場合、不快感を覚えたり予想外の不利益を被るおそれがあります。

 本章で詳述する、インターネット広告の品質課題を考えるときにポイントとなるのは、インターネット広告にはプロモーションメディア広告由来の領域が多く、ブラック市場からの参入もありえるという事実です。
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インターネット(広告) は何を置き換えたのか
インターネット広告は、突然出現した市場ではなく、さまざまな広告メディアを置き換えたものと捉えられる

不当な広告市場を分断できない状況

 インターネット登場以前の広告取引においては、広告会社や媒体社による健全な広告市場とアンダーグラウンドで活動する非合法や非倫理的ブラック広告市場とは比較的明確に分断されていました。

 新聞やテレビをはじめとするマスメディア広告や交通広告などは、社会的な責任を背負った事業者のみが運営をしています。屋外広告やその他メディアの多くも、同様に社会的な責任と倫理感をもって広告スペースを提供しています。

 しかしながら、現実には違法・不当あるいは境界線スレスレの広告メディアが世の中には存在しており、同様に悪質な広告主や倫理的に問題のある広告主も存在しています。

 従来の広告市場では、取引先となる広告主、媒体社を各事業者が審査・選別することで健全な市場とブラック市場との分断が機能しており、一般の広告主が無自覚に不適切な媒体に広告を掲載したり、一般消費者が健全な媒体で違法・不当な広告に接触して被害に遭うようなケースはまれでした。

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従来の広告市場の分断
広告業界の審査・選別機能が働き、健全な市場とブラックな市場は交わることがまれだった

 これに対してインターネット広告市場では、こうした分断が機能しづらい状況があります。

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デジタル時代における棲み分けの不在
デジタル時代においては、誰もが広告主になれる自由な市場が形成された結果、ブラックな市場との分断が機能しづらくなってしまった

 巨額な広告予算がなくとも、厳格な法人審査や広告審査を経ずとも、誰でも広告主となって自由に広告宣伝や販売促進活動ができるためです。あるいは誰でも自由に広告媒体を立ち上げて、広告の掲載量などに応じた報酬を受け取ることができる仕組みができ上がっているためです。

 このようなインターネット広告市場の開かれたエコシステムは性善説を前提に発展してきましたが、それは同時に、インターネット以前から世に存在する違法・不当な媒体社や広告主を区別することなく市場に招き入れてしまう結果となったのです。

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市場の健全さを守る本質的な対策
ブラック市場を分断することが、本来のインターネット市場の自由を守る

【次ページ】広告元は取引手法によってリスク管理できる

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