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  • 2020/08/26 掲載

「オフィスはいらない」、生産性も高まる「幸せな」リモートワークを実現する方法

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コロナ禍をきっかけに普及しつつあるリモートワーク。社員の働きがい向上やコストダウンにつながるとして、さらなる推進を考える企業がある一方で、事態が落ち着いたら元に戻したいという意見も多く聞こえてくる。なぜこのような違いが生まれるのか? コロナ禍のはるか前にオフィスを撤廃し、全社員がリモートワークを実践しているソニックガーデン。代表取締役の倉貫義人氏が、社員が幸せになり、生産性も高まるリモートワークをどうすれば実現できるかについて語ってくれた。
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ソニックガーデン 代表取締役 倉貫義人氏

在宅勤務者が半分を超えたときに発生した問題とは?

 「働き方改革」や「リモートワーク」といったテーマでメディアから取材を受けることが多いソニックガーデン。代表取締役・倉貫義人氏はシステムインテグレーターのTISでアジャイル開発の普及に取り組んだ後、社内ベンチャーの立ち上げに参画。2011年にMBO(経営陣による買収)によって同社を創業した。現在では社員40名を超えるシステム会社に成長している。

 ソニックガーデンは、「納品のない受託開発」「通勤のない働き方」「管理のない会社経営」の3つを実現しているユニークな企業であり、社員は全国各地の19都道府県からリモートワークで勤務している。海外を転々と渡り住む社員もいるという。

 同社では、創業2年目の2012年に在宅勤務制度をスタートした。2015年には在宅勤務者が半数を超えたが、そこで問題が発生した。「出勤組は出勤組同士、在宅勤務者は在宅勤務者同士が何となく仲良くなり、溝が生まれました」と倉貫氏は当時の状況を説明する。

 ソニックガーデンはどうやってこの状況を打開したのか。

全社員リモートワークという大胆な取り組み

 倉貫氏は「すでに地方に家を買った社員も多数いて、全員を東京のオフィスに集めるのは非現実的な状況になっていました。そこで全社員をリモートワーク対象者にしたのです」と振り返る。

 だがオフィスがあって社長が出勤していると何となく社員も会社に来てしまう。そこで倉貫氏自ら率先垂範して在宅勤務を開始し、翌2016年にはオフィスを撤廃してしまった。しかしこんな大胆な取り組みをして弊害はなかったのだろうか。

 倉貫氏によれば、システム開発業であるソニックガーデンにとってはメリットばかりだったという。社員にとっては、「好きな場所で好きな仕事ができる」「家族との時間、自分自身の時間が増える」という明らかなメリットがあった。会社にとってもメリットがあった。「全国で採用できる」「離職者が減る」「残業時間と販管費が削減されスリムな会社になった=生産性が高まった」というメリットだ。これらは大企業ももちろん、中小企業にとっては垂涎のメリットではないだろうか。

 ただし倉貫氏に言わせると、リモートワークの実現は目標ではない。「働きがい」と「働きやすい環境」を両立させて「ワクワク・いきいき」した組織を作り上げることが、システム開発業界に入った頃からの倉貫氏の目標であった。リモートワークはあくまでその目標を実現するための手段だという。

テレビ会議がうまくいかない理由とは?

 全社員リモートワークを実施した早い段階で倉貫氏が気づいたことは、「会社に会議室など要らない」ということだった。会議室で会議をするデメリットとして「場所取りと日程調整が大変」「会議室に行くのが大変」「紙の資料を準備するのが大変」などが挙げられるが、テレビ会議であればすべて解決する。

 とはいえリモートワークの課題として、テレビ会議を上手に運営できないことを挙げる人は多い。だが全員リモートワークのおかげでテレビ会議もうまくいっていると倉貫氏は言う。「うまくいかないテレビ会議のパターンとして、会社の会議室に集まっている人たちは盛り上がっているのに、在宅勤務者は話に参加しにくく、存在を忘れ去られがちで寂しいということになりがちなのです。特に前後の雑談に入りにくいのが致命的です。ですが、全員がリモートでテレビ会議に参加することになれば、このパターンは自然消滅します」(倉貫氏)。

 今はオンライン飲み会が定着したのでこのようなことは無くなったが、かつては他社の人に「オンラインで懇親会をやっている」と話しても信じてもらえなかったそうだ。倉貫氏は、「『人は実際にやってみないと分からない』ということが改めて分かりました。リモートワークに関しても自分たちがやったことがないことに対しては『否定から入らない』ことが大切と思います」と強調する。

【次ページ】オフィスの代わりを提供せよ!

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