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  • 2020/11/21

ボランタリー・チェーンとは何か?コンビニのフランチャイズとは違う連携のカタチ

フランチャイズ制度を活用し、急速に拡大してきたコンビニ。これと対比するように、個々の独立小売店が同じ目的を持った仲間とともに組織を作り、チェーン店のような仕組みを作るビジネスモデルが「ボランタリー・チェーン」です。一極集中型システム、あるいは大企業への対抗策としても注目されるこのビジネスモデルについて、『この一冊で全部わかる ビジネスモデル』を上梓した根来 龍之氏、富樫 佳織氏、足代訓史氏の3氏に解説してもらいます。

早稲田大学ビジネススクール 根来龍之、愛知淑徳大学 富樫佳織、拓殖大学 足代訓史

早稲田大学ビジネススクール 根来龍之、愛知淑徳大学 富樫佳織、拓殖大学 足代訓史

根来龍之(ねごろ・たつゆき)
早稲田大学ビジネススクール教授
京都大学文学部卒業(哲学科)。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。鉄鋼メーカー、英ハル大学客員研究員、文教大学などを経て、現職。早稲田大学IT戦略研究所所長。早稲田大学大学院経営管理研究科長、米カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、経営情報学会会長、エグゼクティブ・リーダーズフォーラム代表幹事、CRM協議会副理事長、国際CIO学会副会長(同学会誌編集長)などを歴任。主な著書・共著に『集中講義 デジタル戦略』、『プラットフォームの教科書』、『ビジネス思考実験』、『事業創造のロジック』(以上、日経BP)、『代替品の戦略』(東洋経済新報社)など。監訳書に、『対デジタル・ディスラプター戦略』、『DX実行戦略』(M・ウェイド他著)、『プラットフォーマー 勝者の法則』(B.レイエ他著)(以上、日本経済新聞出版)などがある。

富樫佳織(とがし・かおり)
愛知淑徳大学准教授
学習院大学法学部卒業。早稲田大学商学研究科修了(MBA)。NHK(日本放送協会)ディレクター、放送作家(フリーランス)、WOWOWでのプロデューサーを経て2017年から現職。放送局勤務時代に携わった主な番組は、『世界一受けたい授業』『世界遺産』『十八世中村勘三郎ドキュメンタリーシリーズ』『WOWOWオリジナルドキュメンタリーシリーズ ノンフィクションW』など。受賞歴に、高柳財団第41回科学放送高柳賞企画賞、第2回衛星放送協会オリジナル番組アワード中継番組部門最優秀番組、WOWOWで放送された『Blueman Group Connect to Japan』で第40回国際エミー賞アート番組部門ファイナリスト等。著書に『やわらかロジカルな話し方』。メディア企業のデジタル戦略、ビジネスモデルとマーケティング戦略を研究分野としている。

足代訓史(あじろ・さとし)
拓殖大学商学部准教授
早稲田大学商学部卒業。早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得満期退学。日本総合研究所(研究員・経営コンサルタント)、早稲田大学商学学術院助教、ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)アジア研究所客員准教授などを経て、現職。早稲田大学IT戦略研究所招聘研究員、企業家研究フォーラム幹事。専門は、競争戦略とイノベーション、アントレプレナーシップ(ビジネスモデル、プラットフォームビジネス、デジタル化)。企業の事業創造プロセスやデジタルビジネス分野の経営戦略についての研究を行っている。大手企業・スタートアップにおける社内研修講師もつとめる。主な著書(共著)に『1からのアントレプレナーシップ』(碩学舎)、『モバイルバリューの社会システム』(経済産業調査会)などがある。

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ボランタリー・チェーンとフランチャイズの違い
(出所:一般社団法人日本ボランタリーチェーン協会のHPを元に筆者が一部改変し作図)


ボランタリー・チェーンの基本コンセプト

 ボランタリー・チェーンとは、個々の独立小売店が、同じ目的を持った仲間とともに組織を作り、チェーン店のような仕組みを作るビジネスモデルです。似た概念にフランチャイズがありますが、下図のように、ボランタリー・チェーンでは加盟店自らが本部を結成するのに対し、フランチャイズでは本部と加盟店が分かれています。この点が大きく異なります。

●ボランタリー・チェーンのキーポイント
  1. 中小の小売店同士が協力しあってコスト削減を行う互助モデル
  2. 大量一括仕入れや、共同設備投資によってコストを削減する
  3. 加盟店が参加する本部での情報共有や改善施策がチェーンの存続を左右する

 特定の地域や、病院、大学などの施設内で営業するヤマザキYショップは、ボランタリー・チェーンの代表例です。加盟店は「ヤマザキYショップ」というブランドや販促物の使用、Y ショップブランドの商品仕入れを行うために、加入金と月々の固定運営費を本部に支払いますが、売上に応じたロイヤルティはありません。また、販売する商品に制約がないため、お店で手作りしたお菓子や惣菜、中古車を販売する店舗もあります。

 このビジネスモデルの特徴は、次の通りです。

  1. 取扱商品や販売方法の自由度が高いため、地域や顧客の特徴を反映した価格と品揃えが可能
  2. 加盟店同士での「共同一括仕入れ」によってコストを削減できる
  3. 店舗同士の情報共有を基にしてサービス改善ができる

 このことから、ボランタリー・チェーンは「個人営業主とフランチャイズのいいとこ取り」ともいえます。


事例1:CGCグループ

 東京都新宿区を中心に都内で28店舗、神奈川5店舗、千葉2店舗がある三徳スーパーを運営する三徳の独立部門であるCGCジャパンは、全国の中堅スーパーを加盟店にして、共同仕入れや商品開発を行う組織です。国内の参加企業は208社、店舗数4,119店、グループトータル年商4兆6,017億円で、日本では最大、世界でも2位の規模を誇るボランタリー・チェーンです。

 CGCとは「Co-operative Grocer Chain」(共同で食料品を扱うチェーン)の略称で、4つのボランタリー事業を柱としています。

 1つ目は、グループのスケールメリットを生かした共同仕入れとプライベート商品(PB商品)の開発、2つ目は物流センターの共同運営、3つ目は商品仕入れと物流計画を支える情報システムの共同事業で、加盟店のPOSデータを一括管理して売れ筋分析や業務効率改善を行っています。4つ目は、グループ共通のクレジットカード事業や銀行ATM の設置など最終ユーザーへのサービス拡張の協力です。

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CGCジャパンによるボランタリー・チェーン
(出所:CGCジャパンのHPを参考に、筆者が一部改変し、作図)

 CGCグループの特徴は、グループ規模を背景にメーカーや卸に対して価格交渉力を持っている点にあります。一方で、フレンドリーな店員や、地域ニーズに応えた商品揃えなど、中堅小売店ならではの良さも残した「いいとこ取り」をしています。

【次ページ】ボランタリー・チェーンの成立条件

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