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- 2020/10/30 掲載
経験価値マーケティングとは何か? スタバなどの事例から「コト消費」の本質を知る
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経験価値マーケティングの基本コンセプト
従来、顧客が消費を行う際に重視するのは、製品・サービスの基本的機能や価格であると考えられてきました。たとえば、化粧品を購入する際には顧客が重視するのは保湿力や値段であるという考え方です。このような、基本的機能や価格といった製品の属性を重視したうえで購入し、所有することに価値を見いだす消費スタイルのことを「モノ消費」といいます。
このような消費スタイルに対して、近年は「コト消費」という言葉を耳にすることが増えました。コト消費とは、製品やサービスを購入したことで得られる「経験」や「体験」に価値を見いだす消費のスタイルのことです。
たとえば、自然に触れたいと考える人々が農業体験の旅行ツアーに参加したり、スキルアップを目指すビジネスパーソンが英会話レッスンに通ってそこの人々とコミュニケーションを行ったりするのが、コト消費のイメージです。上記の化粧品の購買をコト消費で考えるなら、保湿力や価格に加えて、
- 化粧品の外観が自身のライフスタイルや気分に適合しているか
- 百貨店において化粧品を購入する際に、普段の自分とは違う「特別な自分」になれるようにメーキャップしてもらえるか
といったことに価値を感じて消費行動を行うことを指します。
コト消費は、マーケティングの世界では「経験価値マーケティング」という考え方で捉えられてきました。経験価値マーケティングとは、顧客が製品・サービスを購入する際の経験や体験を意図的にマネジメントすることで、顧客価値の増大を目指す手法です。
より具体的には、製品・サービスの基本的機能や価格に加えて、情緒的価値や自身のライフスタイルとの関連といった要素を考慮するマーケティング手法です。つまり、経験価値マーケティングでは、消費というのは、単純にニーズを充足させるための行動ではなく、その過程(あるいは結果)で得られる経験や体験も含めた行動であると捉えます。
- 顧客が消費する際の「経験」や「体験」を重視する
- 経験には「SENSE」「FEEL」「THINK」「ACT」「RELATE」の5つがある
- 5つの経験のすべてを満たさなくても、経験価値を生み出すことができる
事例1:スターバックス
コーヒーチェーンのスターバックスは、経験価値を意識したビジネスの代表的な成功例の1つです。スターバックスは、旧来の喫茶店やコーヒーチェーンのように「純粋にコーヒーを飲む」ことのみならず、「スターバックスでコーヒーを飲むこと自体が顧客の価値になる」ことを意識しています。同社はこのコンセプトを「第三の場所(サードプレイス)」として位置づけることで、職場や家庭ではない非日常的な「第三の」空間として、顧客にくつろぎや楽しさを与える場所となることを目指しています。そのため同社は、出店地域のライフスタイルにあった店舗(内装や什器など)をデザインしています。
【次ページ】経験価値マーケティングの5つの成立条件
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