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- 2020/10/26 掲載
リヴィアン(Rivian)とはいかなる企業か?、テスラ競合、電動トラックで大注目、なぜアマゾンも出資?
ピックアップトラックとSUVに電気自動車で差別化
米国の自動車市場ではピックアップトラックが乗用車として高い人気を誇っている。車両後部が荷台になっているので、日本では農業や工事現場で用いられる商用車としての印象が強いが、土地の広い米国では荷物の運搬が容易になるため、自家用車としての利用が見られる。また、その派生としてSUVの人気も高い。MarkLinesの調査では、2019年の米国新車販売台数上位3位まですべてピックアップトラックが占めていた。フォード「Fシリーズ」、ラム「ピックアップ」、シボレー「シルバラード」の3車種だ。さらに、4位以降には日本製のSUVが続き、トヨタ「RAV4」、ホンダ「CR-V」、日産「ローグ」が続いている。
最も人気のカテゴリであるピックアップトラックやSUVは、高級感・デザイン性・先進機能による差別化が期待される分野だ。特に、富裕層のステータスとして、高級ピックアップトラックが注目を集めている。燃料消費の多い車種であるため、二酸化炭素排出量を抑える環境性能を向上させる取り組みが期待されてきた。
この成長分野で「ラグジュアリートラック」のコンセプトを掲げ、一躍注目を集めているのがリヴィアンだ。2009年に米国で創業された同社は、電動ピックアップトラック「R1T」、ならびに電動SUV「R1S」を発表し、大きな話題を集めたのだ。
R1Tの中価格帯モデルは約6万9000ドル、R1Sの中価格帯モデルは約7万2000ドルと高価だが、それに見合った大容量バッテリーや洗練されたデザイン、さらに、運転支援システムといった要素が含まれている。市街地だけではなく、オフロードでの走行も想定した、電気自動車として存在感を示してきた。
2020年の段階では一般発売を行っておらず、1000ドルの預かり金を伴う予約販売を受け付けている。2021年にピックアップトラックとSUVを合わせて2万台、2022年に4万台を販売するという計画が報じられた。
アマゾンはなぜリヴィアンに投資したのか
リヴィアンのEV開発を可能にしたのはその大型資金調達だ。2020年7月には25億ドルの投資を受け、電動トラックの開発・生産を加速してきた。2019年にフォードから資金を調達したのを含め、合わせて56億ドル近くの投資を受けている。ピックアップトラックやSUVの市場の大きさやリヴィアンの技術がそれだけ評価されている証しと言えるだろう。アマゾンは2019年に7億ドルを投資したのに加え、同社の配送に用いるため、リヴィアンに10万台の電動トラックを発注したことが報じられた。リヴィアンの電気自動車に、音声アシスタント「アレクサ(Alexa)」を搭載し、空調やトランク開閉といった自動車の操作を行うようにする計画だ。
アマゾンがその配送網に電気自動車を採用するのは環境への配慮という側面がある。2040年までに事業全体でのCO2排出を実質ゼロにするというビジョンを示しているからだ。リヴィアンへの投資はその一環と見ることができる。
【次ページ】リヴィアンをSWOT分析、米国の保守的な層にアピールするリヴィアン
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