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  • 2021/02/26

BCP対策とは?企業の存続と企業価値向上に向けたBCP策定のポイントを解説

BCPとは「Business Continuity Plan」の略語で、自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態が起こったときに、企業が損害を最小限に抑えつつ事業の継続や早期復旧を可能とするための手段や、その方法に関する計画を指す用語だ。この記事では、BCPの意味や導入のメリット、策定時に知っておきたいポイントと進め方を解説する。

構成・監修:時田信太朗

構成・監修:時田信太朗

テック系編集者/メディア・コンサルタント
外資系ITベンダーでエンジニアを経てSBクリエイティブで編集記者、スマートキャンプでボクシル編集長を歴任。2019年からフリーランスで活動。メディアコンサルタントとしてメディア企画プロデュース・運営に携わる。

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災害の多い日本、BCP対策の重要性が叫ばれる
(Photo/Getty Images)


BCP対策とは

 BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)対策とは自然災害やテロ攻撃などが発生した際の被害を最小限にとどめ、事業を継続したり迅速に復旧したりするための対策である。

 BCPと異なる概念としてBCMがある。従来の復旧対策や防災対策との違いについて整理しよう。

●BCPとBCMとの違い
 BCPとは「事業継続計画」であり、計画そのものを指す。一方、BCMはBusiness Continuity Managementの略で、和訳すると「事業継続マネジメント」。BCPを活用して戦略的に活用していく「マネジメント」全般を意味する。

 BCPは、BCMに含まれる関係である。BCMでは、運用や実績測定、BCPの改善をPDCA(Plan Do Check Action)サイクルで回して継続的な訓練と改善を図っていく。


●災害別の対策ではなく包括的な対策がポイント
 従来の復旧対策は、災害(天災、テロ、火事など)に対して個別に対策を講じるもの。しかしBCP対策は、あらかじめ「包括的に事業を継続するには何をするべきなのか」について考える点が大きく異なる。

 BCPを策定するうえで、自社の中核事業とその事業を継続するために必要となる資源を選定し、どのように守るかを考える。

●BCP対策と防災対策の違い
 BCP対策と、従来の防災対策の間にも違いがある。従来の防災対策は、人と資産を守ることを目的とした対策だ。一方、BCP対策は防災対策だけでなく、重要な事業を選定して事業を継続できるところまで対策し、計画に落とし込んでいく。

 「事業の継続までを見越した計画を立てるかどうか」が、BCP対策と防災対策の大きな違いだ。このように、BCP対策は企業の中核事業を継続して行うために普段から準備し、運用面での訓練を明確にする。

 BCPを策定するだけでなく、運用までできるよう実際に事業継続を目指す点が異なる。

BCP対策を行うメリット4点

 BCP対策を行うメリットは、次の4点である。

  1. 従業員と事業を守る
  2. 企業同士・地域で助け合い、信用を得る
  3. 中長期的な経営戦略へつなげる
  4. 企業価値を高める

 これらのメリットを順番に解説していく。

(1)従業員と事業を守る
 従業員がいなければ、事業は継続できない。経営者にとって従業員の命と健康を守ることは、最重要課題だ。また、事業が継続できなければ従業員の雇用が継続できなくなるため、従業員の生活も成り立たなくなる。

 災害などのトラブル発生後も、業務を継続できるように体制を整えておけば、少しでも多く収益を上げることが可能だ。BCP策定と運用によってどのようなトラブルに遭遇しても事業のコアな部分を継続できれば、従業員と事業の両方を守ることができるだろう。

(2)企業同士・地域で助け合い、信用を得ることができる
 BCP対策は、CSRにもつながる。CSRとは、Corporate Social Responsibilityの略で企業の社会的責任の意。地域社会や従業員を守り、取引先や地域企業と連携、モラルのある商取引をすることを事前に検討する。

 また、関係する会社や地域社会との情報共有もBCPに盛り込む。「緊急時における商品やサービスなどのお互いに提供し合う」といった地域社会との助け合いにより企業の信用度も高まるだろう。

(3)中長期的な経営戦略へつなげることができる
 BCPを作成するには、中核的な事業を継続するために必要な資産を洗い出さなければならない。事業全体の洗い直しとなるため、BCPの策定にはかなりの労力を伴う。しかし、結果として、現状の経営状況を可視化できるため、現在抱えている問題点や課題なども把握できるようになる。

 事業の可視化は、そのまま事業の課題を改善するきっかけとなり、自然と中長期的な経営戦略へとつながるだろう。

(4)企業価値を高める
 BCP対策を行っていることを社内外に周知することにより、対外的な信用度が上がる点もBCP策定のメリットである。対外的な信用度が上がる理由は、災害発生後に企業倒産した場合、直接倒産よりも倒産のあおりを受けて連鎖倒産するケースのほうが多くみられるからだ。

 東京商工リサーチのデータによると、東日本大震災関連の倒産は、2011年3月~2019年2月の8年間で1,903件、間接型倒産が89.3%となっており、連鎖倒産のほうが深刻であることを示している。

 会社が連鎖倒産を避けて生き延びるためには、「自社のBCP対策だけでなく取引先にもBCP対策をしている会社を選びたい」という心理が働く。企業価値を高める対策としても、BCP対策は有効な施策である。

BCPの策定に必要な5つのポイント

 BCP対策が失敗する原因として、以下の5要素のどれかが欠けていたり、アンバランスになっていたりする点が挙げられる。

  1. 人的リソース
  2. 施設・設備
  3. 資金
  4. 体制
  5. 情報

 これらのポイントは、BCPの策定に必要な要素だ。しっかりと確認しておきたい。

(1)人的リソース
 天災などで「従業員が出社できない」「安否も分からない」といった状況に陥ると、事業の継続は困難だ。そのため、「人的リソースをどうやって確保するのか」、具体的な対策方法を盛り込んでおきたい。検討しておきたい対策の一例は、次のような内容だ。

  1. 従業員の被災状況の把握
  2. 少人数でも進められる業務プロセスの検討と実施
  3. 出社できない社員への対応

 これらの対策方法を策定し、必要に応じて日ごろからの訓練や安否確認システムの導入なども検討する。

(2)施設・設備
 事業を進めるために必要な物理的な「施設」や「設備」も、天災が発生すると使えなくなる可能性が出てくる。物理的に破壊された場合、システム障害が発生した場合など、これらが使えなくなった場合の代替手段も想定しなければならない。

(3)資金
 被災の度合いによって、事業継続に必要になる資金の試算は必ず行っておきたい。事業の完全復旧までにかかる事業資金分を試算して、相応額のキャッシュの確保は必須だ。

 また、公的支援や保険の損害補償なども確認して、必要に応じて加入しておくことも損失補てん対策として重要である。

(4)体制
 災害時には誰が動けなくなるのか予測できない。そのため、指揮命令系統の優先順位をはっきりさせておく必要がある。災害が発生してから指揮命令系統を確認するのでは遅すぎるため、日ごろから被災時における体制について、全社員に周知徹底しておこう。

(5)情報
 ここでいう情報とはデータのことだ。データセンターが被害に遭っても「バックアップデータで復旧できるようにクラウドを使う」「遠隔地にデータを常に同期して保管する」などの仕組みを考えなくてはならない。特に、重要なシステムの場合は、遠隔地にシステム全体を完全に二重化して配置することも検討しておこう。

【次ページ】BCP対策の進め方と運用のポイント

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