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  • 2021/03/17

VR識者3名が「エンタメVRはこれ以上は難しい」と口をそろえる、決定的な重要課題

連載:「つなぐ」xRビジネス Vol.1(後編)

VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの「xR」をビジネスとどう結びつけたらよいか。前編では、バンダイナムコアミューズメントの仮想現実エンターテインメント・コンテンツを開発する「コヤ所長とタミヤ室長」こと小山順一朗氏・田宮幸春氏、それに東京ジョイポリスでロケーションベースVR「ZERO LATENCY」を手がけるCAセガジョイポリスの小川明俊氏が、VRを顧客のベネフィットのための1アイデアと位置付けるとするコンセプト論を語った。VR体験型施設の相次ぐ登場などで「VR元年」とよばれた2016年から5年。エンタメビジネスの実験や挑戦から見えてきたものとは?3人が取り組んできた生々しい現実を明らかにしてくれた。

企画:林 裕人、執筆:漆原次郎、写真:大参久人

企画:林 裕人、執筆:漆原次郎、写真:大参久人

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(左から)田宮幸春氏、小山順一朗氏、小川明俊氏。東京ジョイポリス(港区台場)のエントランスにて


VRの可能性を追求した「Project i Can」

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バンダイナムコアミューズメントが2016年に期間限定で開業したVR ZONE Project i Can(東京・青海)。Project i Canのキャッチコピーは「さぁ、取り乱せ。」
(写真提供:バンダイナムコアミューズメント)

──バンダイナムコは2015年「Project i Can」と呼ぶ、VRエンターテインメントの実験プロジェクトに着手しました。何を試そうとしたのですか?

小山順一朗氏(以下、コヤ所長):まず、「VRの利用先は、ゲームのような遊びではないのかも」という考えがあり、それを確かめたいなと思いました。

 その頃、家庭用ゲーム機の質は上がる一方、ゲームセンターのビデオゲームについてはプレイ料金を上げられぬまま開発費だけ膨らみ、ビジネスが立ち行かなくなるとの見立てがありました。

 そのなかで考えたのが「趣味・スポーツ体験をVRで」ということでした。現地でお金をかけて危険な思いをせず、VRで天候も気にせずに体験を得られるようにしようと。「できないことができる」ということで「i Can」と名づけたのです。

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小山順一朗氏
バンダイナムコアミューズメント クリエイティブフェロー。1990年ナムコ(現バンダイナムコアミューズメント)入社。「アルペンレーサー」「アイドルマスター」「機動戦士ガンダム 戦場の絆」などゲームセンター用のゲーム機開発を多く手掛ける。2015年からは仮想現実エンターテインメント・コンテンツの実験事業「Project i Can」を担当。

田宮幸春氏(以下、タミヤ室長):そこで、実験施設「VR ZONE Project i Can」では、ゲームセンターに見られないように徹底的にこだわっています。予約制にしたり、1回700~800円と高めにしたり、プレイと呼ばず体験と呼ぶようにしています。

 東京ジョイポリスも16年に「ZERO LATENCY VR」を始めたので、「お台場でVR体験できる」という雰囲気になってましたね。

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田宮幸春氏
バンダイナムコアミューズメント マネージャー。1998年ナムコ(現バンダイナムコアミューズメント)入社。アーケード機器のメカエンジニアとして勤めた後、小山氏の率いるアーケード機器の企画・事業デザイン部門へ。小山氏とともに2015年より「Project i Can」を担当。

小川明俊氏(以下、小川氏):雰囲気は確かに作ることができていましたね。ZERO LATENCY VRも高稼働率でやってこれて、相乗効果もあったと思います。

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小川明俊氏
CAセガジョイポリス エグゼクティブ・プロデューサー兼チーフ・クリエイティブ・アドバイザー。セガ入社後、1994年開業「横浜ジョイポリス」初代館長、96年開業「東京ジョイポリス」初代館長を歴任。セガ台湾董事長、またセガエンタテイメントUSA Inc.最高執行責任者。セガサミーグループのライブ事業会社DxLクリエイション設立に伴い代表取締役社長に就任。セガライブクリエイション(現CAセガ社)設立に伴いセガサミーグループのライブ事業を吸収。現在に至る。セガ店舗店長時代には「UFOキャッチャー」運営におけるヒット仕掛人の一人にもなった。

──ただ、VR ZONEにはその後、アニメの世界観を体感できるアクティビティも登場していきました。

コヤ所長:「我慢できなかった」というのはありました(笑)。アニメの題材をどうしても入れたくて「装甲騎兵ボトムズ」を始めました。すると50代のお客さんが増え、「まだアニメの力はある」となって。会社的に「次はガンダム!」となり「ガンダムVR『ダイバ強襲』」を入れたら、当初の「趣味・スポーツ体験をVRで」は吹っ飛んじゃいました(笑)。


ゲームセンターにない「女性複数人」という客層

──その後20年までの間に新宿、大阪、池袋など各地でVR施設を開業させてきました。

タミヤ室長:「どういう遊び方がされるか」の検証などもしました。たとえば、新宿ではマルチプレイ型のアクティビティを入れたこともあります。

コヤ所長:ゲームセンターとは明らかに異なる客層を得られましたね。女性の来客数が男性を上回ったりしました。

小川氏:もともと女性ターゲットでですか?

コヤ所長:それはありました。実際、女性受けを狙ったCM動画を作ったのは事実です。

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MAZARIA(東京・東池袋)でのアクティビティ。(上左から)極限度胸試し 高所恐怖SHOW。極限度胸試し ハネチャリ。急滑降体感機 スキーロデオ。釣りVR GIJIESTA。20年8月をもって閉場
(写真提供:バンダイナムコアミューズメント)

──東京ジョイポリスは16年のZERO LATENCY VR導入以降、継続的にVRアトラクションを提供してきました。

小川氏:僕たちも検証はしてきました。実は、ZERO LATENCY VRでも女性客が予想外に多いのです。当初、男性30~40代をメイン客層にしていましたが、蓋を開けると女性複数人で「ゾンビ出た!」と楽しんでいる。みんなできゃーきゃー楽しめ合える点に価値を見出してもらえたのだと思います。

──20年にはリニューアルしました。

小川氏:稼働率が高い分、消耗も激しいので、12月に話題性をもたせる意味でも入れ替えをしました。グラフィックや奥行き感の向上のほか、色々なソフトで遊べるシステムにもしました。

タミヤ室長:新しく加わった「UNDEAD ARENA」(アンデッド・アリーナ)、体験しましたよ! 現れるゾンビたちをひたすら撃っていくという、原点回帰した印象を持ちました。初めて体験する子どももすごく楽しんでいました。

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20年12月リニューアルした「ZERO LATENCY VR」のハードウェアとコンテンツ
(写真・画像提供:CAセガジョイポリス)

【次ページ】「エンタメでVRが伸びていくのは難しい」という現実

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