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  • 2021/07/08

GitHubが「開発者の囲い込み」を加速、買収したマイクロソフトの狙いは何か?

GitHubが、AI(人工知能)を利用してより効率的にコーディングできる新ツール「GitHub Copilot」のテクニカルプレビューを開始した。ソースコードの一部や関数を提案することで、ペアプログラミングのように開発者を支援し、生産性向上を図れるようにする。さらに、「Project planning for developers」という名称で新たに開発者向けのプロジェクト管理機能の強化にも乗り出した。GitHubは2018年にマイクロソフトが買収を完了。巨額投資から透けて見えるマイクロソフトの狙いとは何か。

執筆:友永 慎哉

執筆:友永 慎哉

製造業向け基幹系システムの開発を経験後、企業ITの編集、ライター業に従事。ファイナンス、サプライチェーンなど、企業経営の知識を軸にした執筆に強みを持つ。インダストリー4.0など新たな技術による製造業の世界的な変革や、Systems of Records(SoR)からSystems of Engagement(SoE)への移行、情報システムのクラウドシフトなどに注目する。GAFAなど巨大IT企業が金融、流通小売り、サービスといった既存の枠組みを塗り替えるなど、テクノロジーが主導する産業の変化について情報を収集・発信している。

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GitHub Copilotの仕組み
(画像はGitHubウェブサイトから)


「1人でペアプログラミング」が可能なGitHub Copilot

 GitHub Copilotは、コーディングを進めるさなかに、GitHub Copilotがソースコードを提案してくる仕組みだ。GitHub自身がホストし、公開している何十億行ものコードを使って「訓練」を受けている。

 プログラマーは提案を見ながら、その採用と不採用を判断できるところはさながら、「1人でペアプログラミング」を実施しているようだ。

 GitHubの最高経営責任者(CEO)を務めるナット・フリードマン氏はブログで、「GitHub Copilotは、幅広いフレームワークと言語のセットで動作するが、発表したテクニカルプレビューではPython、JavaScript、TypeScript、Ruby、Goで特にうまく機能する」とコメントしている。

 現在のところGitHub Copilotは、マイクロソフトの開発ツールである「Visual Studio Code」の拡張機能としてのみ利用できる。

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開発者にとって大きな福音となりそうだ
(Photo/Getty Images)

着実に進むマイクロソフトによるGitHub買収効果

 GitHub Copilotについて、マイクロソフト傘下に入ったことの明確な成果だとする指摘が多い。マイクロソフトは2018年10 月、GitHubの買収を正式に完了したと発表した。この際、マイクロソフトのコーポレートバイスプレジデントだったフリードマン氏が、GitHubのCEOに就任した。

 買収発表当時、特定のプラットフォームや言語に偏らない姿勢を評価されていたGitHubの特性が、マイクロソフトによる買収で失われるのではないかとして、懸念を表明する声が相次いでいた。

 この時、フリードマン氏は買収理由について「GitHubをマイクロソフトに変えるために買収したのではない。GitHubを買収したのは、我々が開発者の重要性と、開発者コミュニティーにおけるGitHubの比類なき役割の価値を信じているからだ」とコメント。

 さらに「GitHubをより優れたGitHubにするために力を貸したい。マイクロソフトをほんの少しでもGitHubに近づけていく」と追加するなど、GitHubに敬意を払う発言をしていた。

 有言実行するかのように、マイクロソフトはGitHubへの投資を強化している。今回のGitHub Copilotは、マイクロソフトが2019年に10億ドルの投資を発表したOpenAIとGitHubが共同で開発したものだ。OpenAIはもともと、イーロン・マスク氏がY Combinatorの社長を務めていたサム・アルトマン氏などと2015年に立ち上げたAI開発企業である。

マイクロソフトが巨額資金を投じる理由

 OpenAIと言えば、自然言語からのコード作成や、人が書いたような文章を書けることで話題を集めている言語モデル「GPT-3」の開発で広く知られている。

 GPT-3を利用することにより、たとえば提案書やマニュアル、仕様書などの業務文書を自動生成したり、質問応答機能としてチャットボットに実装したりといった使い方が想定できる。2020年9月には、OpenAIがGPT-3をマイクロソフトにライセンス供与すると発表した。

 このように、今回のGitHub Copilotの発表の裏にはマイクロソフトの努力が見て取れる。今後を考える上で、便利なツールが登場したということ以上に意味がありそうだ。

 もともと巨大な開発者コミュニティーだったGitHubに、マイクロソフトが巨額の資金を投じてAIの先端技術を組み合わせようとする構図だ。今後さまざまな企業がデジタルを活用する上で、変革を具体的に担うのはほとんどの場合アプリケーションである。

 マイクロソフトは、そのアプリケーションを開発する最も重要なプラットフォームを押さえようとしているのである。

【次ページ】GitHub Copilotを掘り下げる

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