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  • 2022/07/22 掲載

ハイブリッドワークとは?テレワークと何が違う?事例でわかりやすくメリット解説

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働き方改革と新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、テレワークが急速に普及しました。しかし、あらゆる業務に最適なわけではなく、欠点もあってなかなか機能しない一面もあります。一方で、企業にとっては従業員が求める柔軟な働き方への対応と生産性の向上は、喫緊の課題といえるでしょう。そうした中、テレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」と呼ばれる新しい働き方が注目を集めています。本稿では、ハイブリッドワークによる新しい働き方について解説するとともに、取り組み事例なども紹介します。

執筆:1級FP技能士、社会保険労務士 加治 直樹

執筆:1級FP技能士、社会保険労務士 加治 直樹

銀行に20年以上勤務し、融資及び営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士及び特定社会保険労務士を取得し、退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は労働基準監督署で企業の労務相談や個人の労働相談を受けつつ、セミナー講師など幅広く活動中。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタントを目指す。法人個人を問わず対応可能で、会社と従業員双方にとって良い職場をつくり、ともに成長したいと考える。

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コロナ禍を経て注目される「ハイブリッドワーク」とは?
(Photo/Getty Images)

ハイブリッドワークとは何か? テレワークの課題とは

 ハイブリッドワークとは、テレワークとオフィスワークのどちらか一方だけの働き方ではなく、両方の良さを柔軟に組み合わせることで、業務の生産性を高めたり、イノベーティブな取り組みを活性化させる考え方のこと。

 テレワークによって、従業員から求められる柔軟な働き方と業務の生産性を高めつつ、オフィスでは対面が向いているイノベーティブなアイデア会議や従業員同士のコミュニケーションを行うことで、どちらのメリットも引き出す働き方です。

 働き方改革および新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言や蔓延防止措置などの影響もあって、テレワークで働く人が急速に増えました。

 しかし、「新しいアイデアが生まれない」「生産性が思うように上がらない」「新人教育が困難」「テレワークによる会議では深い議論ができない」といった欠点も多く指摘されています。それゆえうまく機能していないと感じている経営者も多いのではないでしょうか。

 テレワーク自体は、大別すると以下のようなスタイルがあります。

  • 出勤せずに働く在宅ワーク
  • 移動中や顧客先で業務を行うモバイルワーク/リモートワーク
  • 遠隔勤務用の施設など自宅と異なる場所を就業場所とするサテライトオフィス

 これらのテレワークの利便性と社内のコミュニケーションやチームワークを重視する従来のオフィスワークを組み合わせて、双方のメリットを取り入れた働き方がハイブリッドワークなのです。

ハイブリッドワークのメリット

 ハイブリッドワークにはさまざまなメリットがあります。具体的には以下のような点が挙げられます。

(1)生産性の向上
 集中したいときや会議が多いときはテレワークで、会議や創造的な議題を扱う場合はオフィスワークで行うといった具合に、従業員は業務の内容に応じて働き方を選択できます。

 業務に合った場所を選択し、正しく運用できれば、これまで以上に生産性を向上させることができるでしょう。

(2)オフィススペースの有効活用・コスト削減
 ハイブリッドワークになれば、従業員は必ずしもオフィスの自席で業務を行う必要はありません。そのため、オフィスワークの従業員の数は減り、オフィスのスペースにも余裕が生まれます。この余ったスペースを解約してコストを押さえたり、Web会議用のスペースを作るといったことも可能です。その場合、オフィススペースはフリーアドレスだといっそう効率的に運用することができるでしょう。

(3)従業員の満足度向上により定着率や採用に好影響
 企業が定めるルール次第ではありますが、多様な働き方の選択肢を用意することは従業員の満足度向上につながります。子育てや介護が必要な従業員向けに特別なプログラムを用意すれば、従業員の負担は軽減され、満足度は向上し、離職率の低下や優秀な人材の確保につなげることもできるでしょう。

(4)デジタルリテラシーの向上と恩恵の享受
 テレワークの普及などで当たり前になったチャットツールやさまざまなクラウドツールを活用することが定着しました。オフィスワークに特化してしまうと、こうしたデジタルワーキングのメリットを失ってしまうケースも出てきます。コロナが終息したから元通り、ではなく、ハイブリッドワーク形態をとることで、常に進化を続けるデジタルツールの恩恵を享受することができるでしょう。

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オフィスワークにはオフィスワークの、テレワークにはテレワークの良さがある
(Photo/Getty Images)

ハイブリッドワーク導入のポイント

 ハイブリッドワークでは、社員のモチベーションや生産性の向上につながるように、部署や業務内容に応じてオフィスワークとテレワークを組み合わせて出勤日数などを設定する必要があります。しかし、中には現場業務が中心となり、テレワークがなじまない業務を行う部署もあるでしょう。

 ハイブリッドワークの考え方に基づけば、製造部門を全日出社させて、営業は週2日オフィスワーク、週3日はモバイルワークにするなど、職種や業務内容に応じた働き方を企業側が設定できます。

 しかし、ハイブリッドワークを社内で正しく展開するには、社内の勤務体制のルール化や教育制度、評価制度の導入が必須となる点には注意が必要です。

 始業・終業の時刻、休憩時間、昇給に関する事項は、就業規則に定める必要があるでしょう。また、就業規則の整備や人事評価・人材育成のための制度の構築もハイブリッドワーク導入のポイントの一つになります。

 さらに、オフィスでもWeb会議などが多くなるため、スペースの確保やシステム導入が必要となるでしょう。

 そのため、オフィス環境の整備もハイブリッドワーク導入のポイントとなります。社内のコミュニケーションシステムの導入やセキュリティ対策、テレワークができるクラウドシステムなどのツールの導入も前提となります。

【次ページ】テレワークとハイブリッドワークの違いは?

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