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  • 2021/10/27 掲載

「魔女狩り会議」「言い訳会議」、プロジェクトを失敗させる4つの「ダメ会議」とは?

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「プロジェクトがうまくいかない」「一生懸命頑張っているのに成果が出ない」といった悩みを抱えている企業や担当者は少なくないだろう。その原因は「会議」にあるかもしれない。これまで数多くのプロジェクトに携わってきた、プロジェクト進行支援家の後藤洋平氏は「プロジェクトを失敗させるすべての元凶はダメ会議にある」と言い切る。陥りがちな「ダメ会議」について解説してもらった。

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

予定通りに進まないプロジェクトを“前に”進めるための理論「プロジェクト工学」提唱者。HRビジネス向けSaaSのカスタマーサクセスに取り組むかたわら、オピニオン発信、ワークショップ、セミナー等の活動を精力的に行っている。大小あわせて100を超えるプロジェクトの経験を踏まえつつ、設計学、軍事学、認知科学、マネジメント理論などさまざまな学問領域を参照し、研鑽を積んでいる。自らに課しているミッションは「世界で一番わかりやすくて、実際に使えるプロジェクト推進フレームワーク」を構築すること。 1982年大阪府生まれ。2006年東京大学工学部システム創成学科卒。最新著書「予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)」が好評発売中。 プロフィール:https://peraichi.com/landing_pages/view/yoheigoto

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ダメな会議はプロジェクトそのものを失敗に追い込む
(Photo/Getty Images)


本記事は『‟プロジェクト会議”成功の技法 』(翔泳社)を再構成したものです。


プロジェクトをダメにしているのは“ダメな会議”

 プロジェクトの成否を分けるうえで、最も重要なポイントは対話の質を向上させることです。最前線における重要な関係者同士の対話によってこそ、大切な気づきは得られます。

 したがって、プロジェクトにおいて「会議」の場こそが「対話の質の向上」の絶好のチャンスなのですが、その自覚に欠ける“ダメな会議”が実に多いというのが筆者の感想です。

 ダメな会議とは、問題を解決するためにせっかく時間をかけたのに、状況の改善につながる有効な結論が得られない会議のことです(図1)。

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図1:ダメな会議は悪循環から抜け出せない

 どんな会議でも、有効な結論が得られなければ、その会議にかかった時間や手間はムダになります。それだけでなく、当事者意識や「うまくいきそうだ」という希望も奪います。そんな状況で「さすがにこのままだとまずい」という悪い意味での危機感にかられて、不安と恐怖から事態の改善を図っても、さしたる効果は得られません。

 結果として、状況は改善するどころかさらに悪化してしまい、そうするとまた新たな会議が必要になり……という負の無限ループにはまりこんでしまいます。こうして、決めたはずのことが実行されず、混乱とストレスにさらされ続ける組織が誕生してしまう。

 いまここで自分はどんな作業をなすべきなのか。それはどんな目的のためなのか。どこまでのものが求められているのか。これらが明快で、そうするための作業環境や前提条件が整っていれば、上質な成果物はあっという間に完成するものです。

 もしいま現在携わっているプロジェクトで意味のある作業ができていない、意味のある成果物をつくれていないと感じたとしたら、そこに違和感を抱いたままで、一生懸命頑張っていても「いつかどこかで、なんとかなる」ことはありません。いますぐ、何かを変えるべきなのです。

 では、どんな会議を変えるべきなのか。

 プロジェクトがうまくいっていないときの会議は大きくわけると4つに分類できます。タイプ別に具体的に紹介します。

1.停滞会議

 プロジェクトがうまく進んでいないとき、一番発生確率が高いのが「停滞会議」です。「物事がうまく進んでいない」「停滞している」という情報がその会議の出発点であり、どうすれば解消できるかが議題となります。

 本来は有効な解決策を導きたいところですが、停滞会議で獲得されるのは「一応は考えてみたけど、実際のところは実行することが難しい対策」となるのがよくある話です。

 そもそも、うまく進んでいないのにはそれなりの事情があって、簡単に改善策を思いつくようだったら、最初からそんな状況にはならないし、こんな会議を開く必要もないのです。

 会議を開く意味があったのか、なかったのか。そんなモヤモヤが残る会議。身に覚えがある人も多いのではないでしょうか。

2.魔女狩り会議

 「魔女狩り会議」は、もう少し切迫感のある状況で発生する会議です。魔女狩りなんて言葉を使うと、ちょっとおどろおどろしいですが、発生している問題の「犯人探し」をする会議のことです。

 問題を解決するための分析はもちろん必要ですが、残念なことにその場のムードや流れによって、特定の「人」と発生している問題が結びついてしまうことがあり、これが行き過ぎると前向きな対策を考えるどころではなくなってしまいます。

 人に問題を見出しても状況が解決することはほとんどありません。その人に行動を変えてもらう努力がたいていの場合、ムダな努力に終わりますし、その人を排除したとしてもその組織のまた別の人が犠牲になり……ということが繰り返されるのがお決まりのパターンです。

3.言い訳会議

 「言い訳会議」とは、文字通り言い訳を共有する会議です。物事がうまく進んでいないとき、人はどうしても言い訳を探してしまいがちなところがあります。自分は悪くない、努力もしたんだけどこれこれこんな事情があって、仕方なく……という話です。

 そうした捉え方に必ず間違いがあるわけではありませんし、なんでもかんでも自責にすると、それはそれで息苦しい話になってしまいます。しかしときどき、言い訳に始まり、言い訳を許容し、チーム全体で現状を追認して終わってしまう会議が開催されることがあります。

 そこで導かれる結論は、恐るべきことに「結果を出さなくてよい理由」という、プロジェクトを前進どころか後退させかねないものになる危険があります。

【次ページ】「お気持ち発散会議」とは?ダメ会議の類型を図解

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