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  • 2022/03/17 掲載

Windows 11にアップグレードする前に備えるべき、たった1つのこと

山市良のマイクロソフトEYE

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2022年に入って、Windows 11のWindows Updateによる段階的な配布対象が広がってきているようです。筆者のメインのPCにも1月末に「Windows 11へのアップグレードの準備ができました-しかも無料です!」の通知が来ました。これは自動更新ではなく、ユーザーによる「ダウンロードしてインストール」のクリックで始まるアップグレードです。急いでアップグレードする前に注意するべきこと、準備するべきことを紹介していきます。

執筆:フリーライター 山市 良

執筆:フリーライター 山市 良

IT 専門誌、Web 媒体を中心に執筆活動を行っているテクニカルライター。システムインテグレーター、IT 専門誌の編集者、地方の中堅企業のシステム管理者を経て、2008年にフリーランスに。雑誌やWebメディアに多数の記事を寄稿するほか、ITベンダー数社の技術文書 (ホワイトペーパー) の制作やユーザー事例取材なども行う。2008年10月よりMicrosoft MVP - Cloud and Datacenter Management(旧カテゴリ:Hyper-V)を毎年受賞。岩手県花巻市在住。
主な著書・訳書
『インサイドWindows 第7版 上』(訳書、日経BP社、2018年)
『Windows Sysinternals徹底解説 改定新版』(訳書、日経BP社、2017年)
『Windows Server 2016テクノロジ入門 完全版』(日経BP社、2016年)
『Windows Server 2012 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2014年)
『Windows Server 2012テクノロジ入門』(日経BP社、2012年)
『Windows Server仮想化テクノロジ入門』(日経BP社、2011年)
『Windows Server 2008 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2009年)
など

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画面1:Windows 11がこのPCにインストール可能であることをお知らせする通知

Windowsのトラブルの原因、第1位はWindows Update!?

 よほど荒っぽい使い方をしていない限り、あるいは信頼できないようなアプリをたくさんインストールしたりしていない限り、一般ユーザーがWindowsでトラブルに遭遇する原因といえば、Windows Updateによる品質更新プログラムや機能更新プログラムに起因するものである場合が多いような気がします。

 Windowsの更新プログラムに存在するバグが原因であることもあれば、更新プログラムによる変更の影響(使用への準拠の厳格化など)でそれまで問題なく動作していたデバイスのドライバーのバグが顕在化してエラーを出すようになったり、更新プログラムによるセキュリティ強化がアプリケーションや認証、通信に意図しない影響を及ぼしたりすることが実際にあります。直接的、間接的な原因が更新プログラムの場合、更新プログラムをアンインストールするか、後日公開される修正された更新プログラムのインストールで解消されることになります。

Windows標準の回復ツールは便利だけど、失うものに注意

 Windowsには、更新プログラムの問題や起動問題を解決するためにツールが複数用意されています。以下はWindows 10およびWindows 11で利用可能な回復ツールを一覧にしたものです。これらは、通常起動したWindowsから開始できるものもありますし、Windows回復環境(正常起動に複数回失敗すると起動するオプションが表示されますし、[Shift]キーを押しながらWindowsを再起動することで意図的に入ることもできます)から実行できるものもあります(画面2)。

  • スタートアップの修復
  • セーフモードで起動
  • WinREのコマンドプロンプト
  • 更新プログラムのアンインストール
  • 復元ポイントの作成/システムの復元
  • システムイメージの作成/イメージでシステムを回復
  • PCのリセット(このPCを初期状態に戻す)
  • 前のバージョンのWindows 10に戻す(Windows 11の場合は「設定 > システム > 回復 > 復元」)

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画面2:WinREから開始できるトラブルシューティングツールの数々

 スタートアップの修復は、起動に失敗を繰り返すと、自動的に行われるものです。更新プログラムが原因の問題の解決策にはなりません。セーフモードやWinREのコマンドプロンプトは、マニュアルで作業することで問題の切り分けや解消を試みる(エラードライバーの特定、更新プログラムのアンインストールやファイルのコピー、レジストリの編集など)もので一般ユーザー向けではありません。更新プログラムのアンインストールは、通常起動できる場合はコントロールパネルから実行できますし、正常起動できない場合はWinREから最後にインストールされた更新プログラムのアンインストールを実施できます。

 残りの4つは、何かしら失うものがあることに注意が必要です。

 システムの復元は、システムファイルおよびレジストリ設定を過去の正常に動作していた時点である復元ポイントに簡単な手順で戻すことができるものですが(再起動を伴います)、復元ポイント後に行われたアプリケーションやシステムの設定は失われます。

 システムイメージの作成は、言ってみればシステムのフルバックアップです。C:ドライブやシステムパーティション(UEFIの場合はESP)などWindowsに起動に必要なボリュームをディスク構成を含めて、イメージとしてバックアップできます。

 Windows 10やWindows 11ではコントロールパネルに「バックアップと復元(Windows 7)」という少し誤解を与えるような名前で存在しますが、決してWindows 7用のツールというわけではありません。単発のシステムイメージの作成(USB外付けHDDなどのバックアップ用ディスク、複数のDVDまたはブルーレイメディア、またはネットワーク共有)や、スケジュールバックアップ、個別データの復元、WinREからのイメージでシステムを回復を使用したベアメタル回復に使用できます。

 この機能は、Windows 10バージョン1709で開発終了(非推奨)扱いになりましたが(問題があったこともありましたが、非推奨になった後も修正されています)、最新のWindows 10やWindows 11でも問題なく使えています(画面3)。

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画面3:システムイメージを作成しておけば、万が一のときにも、正常に動作しているこの状態に確実に戻ることができる

 PCのリセットは、ユーザーデータを維持するオプションと(廃棄や譲渡のため)クリアするオプションがありますが、Windowsのイメージ(プリインストールPCの場合はそのイメージ)にもともと含まれていなかったアプリやドライバーがすべて削除されてしまうことに注意が必要です。また、クリアを選択した場合は、事実上のWindowsの再インストールになります。

 前のバージョンのWindows 10に戻す(Windows 11の復元)は、機能更新プログラムによるアップグレード後10日間だけ利用可能なオプションであり、アップグレード直後に確認された問題を回避するために元に戻すオプションです。ただし、すべてが完全に元に戻るわけではありません。元に戻す処理が失敗することがあるかもしれません。

【次ページ】実際に、事前にやっておいて助かった設定

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