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  • 2022/06/02 掲載

日米欧で異なる「違法ドローンの捕え方」、テクノロジーとの向き合い方もまるで違う?

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テクノロジーに苦手意識を持つビジネスパーソンは多い。しかし、テクノロジーは時代に大きなインパクトを与える存在となっており、この先のキャリアや人生を考える上で避けて通れない領域だ。今回はテクノロジーの本質を理解しないでキャリアや人生を歩むということについて、日米欧の違法ドローンの捕まえ方を例に解説する。この捕まえ方を比較すると、各国がテクノロジーの本質をどう理解しているのか、またその理解度の違いによってどのようなリスクが生まれているのかが分かる。この事例を踏まえながら、キャリアや人生を進める上でのテクノロジーとの向き合い方について解説する。

執筆:MBAエンジニア/Tech系YouTuber 倉嶌 洋輔

執筆:MBAエンジニア/Tech系YouTuber 倉嶌 洋輔

AI時代のキャリア生存戦略』著者。1985年生まれ。大学卒業後、ワークスアプリケーションズに入社し、エンジニアとしてキャリアをスタート。その後、転職し、スマホアプリのエンジニアやSEとなり、Tech領域の知見を広げる。MBA通学を機にビジネス系の知見を広げ、2017年に「テクノロジー×ビジネス」のマルチスキルを活かし、コンサルタントとして独立。法人向けに、グルメレビューサービス企業や東大系AIベンチャー、ゼネコン企業等をクライアントにしたコンサルタントとしての活動をしながら、一般向けにはYouTubeやUdemyを通して「ビジネスで使えるTech系リテラシー」を育てるための情報発信を行っている。

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違法ドローンの捕獲方法を比較して分かるテクノロジーの本質とは
(Photo/Getty Images)

得する?損する? これからのキャリアに関わる決定的な違い

 前回の記事では特徴的な4種類の未来を紹介し、不確実な未来から先の見えている未来にレベルを落としていくことの重要性を解説した。今回は、未来の解像度を高める上で重要な「テクノロジー」にフォーカスを当てる。

 産業革命のトリガーがいつもテクノロジーだったように、テクノロジーは実社会やキャリアに大きな影響力を及ぼす。テクノロジーの本質を理解しないまま意思決定を行い、時間やお金といったリソースを投入すれば、それはムダな準備・投資に終わってしまい、損をする可能性が高い。

 「テクノロジーの本質を理解しない」というリスクを意識することで、つかむべき情報にあたりをつけて情報収集の質を高めることができる。そうすることで、無数に見える未来の中から選択肢を絞り込み、必要なリソースを準備して適切な時に投入することができるようになり、明るくて得をするキャリアや人生を歩めるだろう。

 では、テクノロジーの本質を理解しないでキャリアや人生を進めるとどのようなリスクがあるのか。今回は日米欧による違法ドローンの捕獲方法を事例に考えてみる。

 ドローンは映像撮影や離島への配送などあらゆる領域で活躍し始めているが、日本では航空法でドローンの飛行禁止区域や飛行方法などについて定められている。これに違反しているドローンが発見されれば、警察によってその違法ドローンを捕まえることになる。

 この「捕まえ方」は日本・ヨーロッパ・米国によって三者三様で、各国、全く異なる手法を採用している。この捕まえ方を比較すると、ドローンというテクノロジーをどう理解し、それによってどのようなリスクが生まれているのかが分かる。各国が考えたドローン捕獲の切り口に注目して、テクノロジーの理解の仕方を見ていこう。

日米欧の「ドローンの捕まえ方」を比較

■日本:ドローンでドローンを制す
 まず「ドローンでドローンを制す」のが、日本の捕獲方法だ。大型ドローンに網をつるし、その網で違法ドローンを絡め取り捕獲する。しかし、この方法はドローンというテクノロジーへの理解が浅く、リスクが高い対策と言える。

 ではどんなリスクなのか。たとえば、悪意のある者が操縦するドローンが何かに攻撃しようとしている状況を想定する。捕獲用ドローンの場合では離陸するまでに時間がかかり、攻撃される前に飛び立つことが難しい。。

 別の観点で考えると、捕獲用ドローンが大型であることもリスクになる。大型ゆえに速度が出ないため、FPV(一人称視点)ドローンのような超高速ドローン(150km/h)が小型で危険なもの(生物化学兵器など)を搭載していても追いつけない。さらに、大型機は機体が重いため飛行可能時間が20〜30分と短く、違法ドローンが複数いた場合、捕獲する前に電池切れとなる可能性がある。

 このように日本の捕獲方法ではいくつもの不備があるため、悪意のある者が操縦するドローンから、攻撃を完全に阻止することは難しいと言える。

■欧州:ワシでドローンを制す
 もう少し洗練された方法がヨーロッパだ。伝統的な狩りの手法を使い、訓練されたワシがドローンを捕獲する。

欧州は訓練されたワシによる伝統的な狩りの手法を使って、ドローンを捕獲する

 この方法では、日本版のデメリットをクリアしている。まず、現地到着後、ワシであればすぐに飛び立つことができるため、日本版のような大型の捕獲用ドローンが離陸するよりも早く向かうことができる。

 ワシが飛ぶ速さにも利点がある。ワシの中でもドローン捕獲に起用されているイヌワシの最高速度は320km/hとかなり高速なので、超高速のFPVドローンの最高速度(150km/h)でも追いつくことができる。さらに大型ドローンよりも長く空を飛行することができ、時間を空けた連続攻撃に対抗できるのも、この手法の利点だ。

 しかし、この方法にも欠点がある。ワシにドローンの捕獲を訓練させる必要があり、そういった訓練コストや捕獲習熟度による失敗のリスクもある。さらに、ワシの維持費(餌代や人件費など)が高いということで、オランダのようにこの手法を取りやめる国も出始めている。

 日本とヨーロッパに共通しているのはドローンというテクノロジーの本質を理解しないまま、「物理的にどう捕獲するか」を考えている点にある。その結果、本来であれば残したくないはずのリスクを残してしまう。

 しかし、日本とヨーロッパの手法よりも優れているのが、米国の手法だ。

【次ページ】■米国:触れずにドローンを制す

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