• 2025/08/19 掲載

【単独】「僕の進化は光より速い」新日本プロレス棚橋弘至社長が語る経営哲学とは

新日本プロレス 棚橋弘至氏インタビュー前編

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プロレス業界は今、大きな変革期を迎えている。かつて金曜夜8時のゴールデンタイムで全国放送されていた時代とは様変わりし、メディア環境の変化とともに新たなファン獲得の方法を模索する必要に迫られている。そんな中、2023年12月に新日本プロレスの代表取締役社長に就任したのが、現役プロレスラーでもある棚橋弘至氏だ。「100年に一人の逸材」のキャッチコピーで知られる棚橋氏は、選手として活躍する一方、20年ぶりとなる「社長兼レスラー」という二刀流で会社を先導している。変化の激しい現代において、どのように組織を導き、ファンにエネルギーを届け続けるのか。経営者として、そして現場のプロフェッショナルとしての独自の視点について棚橋氏にビジネス+IT編集部が単独インタビューを行った。
取材協力:新日本プロレス 代表取締役社長 棚橋 弘至

新日本プロレス 代表取締役社長 棚橋 弘至

新日本プロレス所属プロレスラー。 岐阜県大垣市生まれ。キャッチコピーは「100年に一人の逸材」。大学時代からレスリングを始め、1998年2月に新日本プロレスの入門テストに合格。1999年に立命館大学を卒業し、新日本へ入門。2006年に当時の団体最高峰王座となる、IWGPヘビー級王座を初戴冠。2011年1月、小島聡を破り、第56代IWGPヘビー級王者となる。そこから1年間で11度の防衛を果たし、当時の最多連続防衛の新記録を打ちたてた。その後も新日本プロレスの"エース"として団体を牽引し、2023年12月、新日本プロレスの代表取締役社長に就任。2024年10月の両国国技館大会での試合後に、2026年1月4日での現役引退を発表。メディアへの露出も多岐に渡り、リング内外での活躍を続けている。

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新日本プロレスリング代表取締役社長 棚橋弘至氏

就任から1年半、「毎日が新鮮」な学びの日々

 現役プロレスラーとして活躍を続ける棚橋氏に、2023年12月、新たに「社長」という肩書が加わった。いわば“二刀流”の新たな挑戦である。就任後まず向き合ったのは、選手ではなく“会社員”としての生活リズムだったという。

「大学を卒業してすぐプロレスに入門したので、平日に会社に出社して定時で帰るという生活に最初は戸惑いました。毎日が本当に新鮮でした」


 会議や朝礼など、一般企業で日常的に行われることを、この年齢になって初めて経験しているという。そんな変化を吸収する姿勢を、彼らしいユーモアでこう語った。

「僕の進化は”光よりも速い”と試合後に言ってしまったので、有言実行しかありません」

 リング上で誰よりも身体を酷使してきた男が、スーツ姿でデスクに向かい、PCとスケジュール管理に向き合う日々。だがその吸収力は、まさに「進化の象徴」と呼ぶにふさわしい。

「エネルギーを売っている会社」としての新日本プロレス

 棚橋氏が考える新日本プロレスの存在価値は、「試合」そのものよりも、そこに生まれる“エネルギーの循環”にある。

「新日本プロレスを見に来ていただけるお客さまには、『プロレスを見て楽しかったね』というのが一番なんです。けども、リング上の選手が頑張る、それをファンの方が応援してくれる、だから選手はもっと頑張れる。こうやってリングと客席のファンの皆さまがエネルギーの交換を行っているのです」

 観客が元気になり、背中を押されるような体験を届ける。それを“商品”と呼ぶ感覚が、棚橋氏の経営哲学の核にあるのだそうだ。

「プロレスを見せる会社ではあるのですが、見に来てくれたお客さまに喜んでいただいて元気にするという意味で、新日本プロレスはエネルギーを売っている会社と言えるんじゃないでしょうか」

 この「エネルギー」という抽象的な言葉には、実は明確な設計思想がある。エンタメ業界に限らず、サービス業や飲食、小売りなどあらゆる業種に応用できる視点である。

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 「顧客が元気になる体験を設計できているか?」という問いに置き換えると、この考え方は企業文化や人材育成、ブランディングに直結する。棚橋氏が届けようとしているのは、勝敗やスキルではなく「感情の動線」なのだ。 【次ページ】時代に柔軟に対応する経営の重要性
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