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  • 2022/05/31

渦中のツイッターはこうして作られた。創業者らも予想外、「くだらない」の壁超えた瞬間

連載:企業立志伝

買収劇の渦中にあるツイッター社。買収を提案した世界的な実業家イーロン・マスク氏がツイッター社の株主らに訴えられるなど混沌を極めています。今回の買収劇で浮かび上がったのが、「Twitter」の魅力と課題です。世界中約4億人が利用するTwitterはいかにして生まれ、なぜこのような混乱が引き起こされたのでしょうか。創業者らの出会いから現在に至るまでをたどると、その答えが見えてきました。

経済・経営ジャーナリスト 桑原 晃弥

経済・経営ジャーナリスト 桑原 晃弥

1956年広島県生まれ。経済・経営ジャーナリスト。慶應義塾大学卒。業界紙記者を経てフリージャーナリストとして独立。トヨタからアップル、グーグルまで、業界を問わず幅広い取材経験を持ち、企業風土や働き方、人材育成から投資まで、鋭い論旨を展開することで定評がある。主な著書に『難局に打ち勝った100人に学ぶ 乗り越えた人の言葉』(KADOKAWA)『ウォーレン・バフェット 巨富を生み出す7つの法則』(朝日新聞出版)『「ものづくりの現場」の名語録』(PHP文庫)『大企業立志伝 トヨタ・キヤノン・日立などの創業者に学べ』(ビジネス+IT BOOKS)などがある。

大企業立志伝 トヨタ・キヤノン・日立などの創業者に学べ (ビジネス+IT BOOKS)
・著者:桑原 晃弥
・定価:800円 (税抜)
・出版社: SBクリエイティブ
・ASIN:B07F62BVH9
・発売日:2018年7月2日

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ツイッター社共同創業者ら3人。(左から)ジャック・ドーシー氏、ビズ・ストーン氏、エヴァン・ウィリアムズ氏。写真は2013年、ツイッター社のIPO後にニューヨーク証券取引所にて。もう1人の共同創業者ノア・グラス氏はこの時すでに退社していた
(Photo/Andrew Burton/Getty Images)


創業者4人の出会いはポッドキャスト会社「オデオ」

 ツイッター社の創業者はエヴァン・ウィリアムズ氏、ジャック・ドーシー氏、ビズ・ストーン氏、ノア・グラス氏の4人です。ただし、アップルやグーグルなどのように最初から4人が集まって「Twitterというすごいサービスを思いついたからを創業しよう」と言ってスタートしたわけではありません。

 4人を結びつけるきっかけとなったのは、2003年にグーグルが買収したパイララボ(100万人以上が利用していたブログ作成ツール「Blogger」の開発元)を創業したウィリアムズ氏がグーグルを去った後、2004年に新たに創業したポッドキャスト会社の「オデオ(Odeo)」です。

 ポッドキャスティングに強い関心を持っていたのはグラス氏でした。ウィリアムズ氏はさほど興味を持っていませんでしたが、数年来の付き合いがあったグラス氏への投資の意味で、グーグルへの売却で得た資金の一部を投資。CEОの役目も引き受けています。

 そしてこのオデオに入社してきたのが、グーグルのブロガー部門で働いていて、ウィリアムズ氏との交流もあったストーン氏とオデオに雇われたドーシー氏です。

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「Twitter」の名付け親としても知られるノア・グラス氏。ウィリアムズ氏との対立により2006年に追放される。現在はレストラン向けSaaSプラットフォームを提供する企業Oloの創業者兼CEO
(Photo/Bloomberg/Getty Images)

強敵アップルだけじゃない、うまくいかないのは当然だった理由

 パイララボで大金を手にしたウィリアムズ氏が加わっていることもあり、オデオは2005年頃にはマスコミにも取り上げられ、常に成長企業を探している投資家たちの注目も集めていました。5,000万ドルの資金も集まりました。

 当時の投資家たちは、「ブログが出版界と競争したように、ポッドキャスティングにはラジオに対する競争力がある」(『ツイッター創業物語』p66)と考えていました。ですが、2005年の後半にアップルがiTunesにポッドキャスティング機能を追加すると発表したことで、4人は「とうてい勝てない」(『ツイッター創業物語』p77)と実感します。

 そしてもう1つ、オデオには大きな欠点がありました。創業者の1人であるストーン氏はのちに次のように振り返っています。

「エヴァンも僕も、そして(おそらく)オデオに加わっていたほかのメンバーも、実際のところポッドキャスティングにあまりに興味がなかった」(『ツイッターで学んだいちばん大切なこと』p63)

 アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏は、アップルが音楽で大成功を収めたのは「音楽が大好きだったから」と言及しています。音楽が大好きで、自分たちが使いたいと思う製品やサービスをつくったからこそ成功したというのがジョブズ氏の見解です。その意味では、オデオがうまくいかないのも当然のことだったのです。


 ポッドキャスティングでは勝てないことが分かったストーン氏はウィリアムズ氏に「オデオからはすぱっと手を引いて、まったく違うことを始めてもいいんじゃないか」(『ツイッターで学んだいちばん大切なこと』p66)と提案します。幸い、人もお金もまだありました。なかったのは「何をやるか」というアイデアだけでした。

【次ページ】「シンプルすぎる」、Twitter誕生も反応は冷ややか

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