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  • 2022/11/17 掲載

eスポーツが“一大ブーム”になりきれない納得理由、超話題のNFTゲームに食われるか?

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今日のゲーム・エンタメ領域において、ブロックチェーンゲーム(NFTゲームとも言う)が注目されている。その理由の1つとして「ゲームで稼げる」ことが挙げられるが、その一方で、同様にゲームで稼ぐことのできるeスポーツは正念場を迎えている。大規模な専用施設開発も進められブームを巻き起こしているかのように思えるが、実際のところは思うような市場成長を遂げられていないようだ。その代わりに、NFTゲームに加えてある市場がeスポーツの期待していた成長曲線を描いている。今、ゲーム・エンタメ領域において何が起きているのか、解説する。

執筆:文殊リサーチワークス リサーチャー&プランナー 三浦直子

執筆:文殊リサーチワークス リサーチャー&プランナー 三浦直子

文殊リサーチワークスのリサーチャー&プランナー。千葉大学工学部工業意匠学科卒業。DDA顧問S&D研究所に勤務後、都市開発マーケティング企業を経て独立。現組織にて商業・レジャー施設の市場調査業務に従事。「東武動物公園」リニューアル、「三鷹の森ジブリ美術館」、「ムーミンバレーパーク」のオープンに際しリサーチを担当する。

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大注目のNFTゲーム、正念場を迎えるeスポーツ。日本のゲーム・エンタメ市場はどのような道をたどるのか
(Photo/Getty Images)

大注目のNFTゲーム、火付け役の「2つのゲーム」

 ブロックチェーンはWeb3.0の根幹を成す技術で、分散型台帳の意味を持つ。ゲームの場合は不正がしにくく、発行されるゲームアイテムの固有性を担保できるため、暗号資産などで取引したり、ほかの人のアイテムを使用したりすることができる。従来のゲームと大きく異なるのはアイテムがユーザーの資産となることだ。また、ゲームの運営自体が自律分散型になって自由度が高い場合もある。

 去る9月15日~18日に3年ぶりのリアル開催となった「東京ゲームショウ(TGS)2022」では、ゲームパブリッシャーのブースが精彩を欠く中、ブロックチェーンゲームなどの新たなゲームスキームが存在感を放っていた。

 ブロックチェーンゲームを最初に世界に知らしめたのは、カナダのDapper Labs社が2017年に公開した「CryptoKitties」である。子猫を仮想通貨で購入し、交配させて新しいデザインの子猫を創造することができ、それをトレードしたりコレクションしたりするゲームである。NFTとして子猫のキャラを売買することができ、希少性のある子猫には高額な値段がついて大きな話題となった。

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CryptoKittiesのカタログ画面。NFTとして子猫のキャラを売買できる
(出典:cryptokitties プレスルーム

 また、ブロックチェーンゲームはゲームで稼ぐという意味の「Play to Earn(P2E)」でも注目されている。ここで火付け役になったのは、ベトナム発のブロックチェーンゲーム開発会社、Sky Mavis社が提供する「Axie Infinity」だ。

 これは、「アクシー」と呼ばれるキャラクターを購入し、バトルや交配をすることでアセットやトークンを入手するゲームだ。アセットやトークンは売却することによって仮想通貨に替えることができる。コロナ禍ではフィリピンの低所得者層がこのゲームで収入を得たことが大きな話題となった。初期投資が必要なキャラクターを貸し出したり、それを借りてプレイして稼いだり、まるで地主と小作人のようなスカラシップも生まれている。

My Crypto Heroesなど日本での市場拡大も期待

 一方、ブロックチェーンゲームに対して否定的な意見の人もいる。なぜなら、金銭的なやり取りがあるにも関わらず、法的整備やセキュリティ対策が追い付いていないからだ。日本国内では、場合によっては賭博法や景品表示法に抵触する可能性もある。さらに、詐欺や不正アクセスも見られ、「Axie Infinity」も2022年4月に大規模なハッキングがあった。

 また、稼ぐことばかりに目が行くことに警鐘を鳴らしている人もいる。Axie Infinityをプレイすることで獲得できる仮想通貨のSLPが暴落したことで、Axie Infinityは以前ほど稼ぎにくくなった。ブロックチェーンゲームの先行きを不安視する声も納得できるところだ。

 そのような状況においても、ブロックチェーンゲームには猛烈な勢いで世界中の投資と人材が流れ込み、良くも悪くもブロックチェーンゲームへの期待が拡大している。日本国内でもブロックチェーンゲームの開発が行われており、double Jnmp.Tokyo社の「My Crypto Heroes」が有名である。

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日本国内で有名なブロックチェーンゲームであるdouble Jnmp.Tokyo社のMy Crypto Heroes
(出典:My Crypto Heroes リリース

 スクウェア・エニックスやセガ、グリーも投資や開発参入を発表しており、開発が拡大していく可能性がある。

 今回の東京ゲームショウでもコンシューマーゲーム(家庭用ゲーム)、ソーシャルゲーム(スマホアプリ)に次ぐ新しいゲームとして、ブロックチェーンが紹介されていた。ブロックチェーンギルドのYGGJAPANのブースでは、格闘ゲーム「キングオブファイターズ」やソーシャルゲームで人気だった「ブレイブ フロンティア」など、国内の人気ゲームをブロックチェーン化し、来場者にはNFTカードを取得できるQRコードを配布していた。

【次ページ】eスポーツが“うらやむ”ある成長市場とは?
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次のページ以降では、eスポーツの市場動向や急成長中のある市場などについても解説します

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