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  • 2022/12/21 掲載

アマゾンに肩を並べる圧倒的実力? 世界が真似するユニリーバの“生産工場の仕組み”とは

【連載】現役サプライチェイナーが読み解く経済ニュース

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毎年、調査会社ガートナーはサプライチェーンへの取り組みを評価する企業ランキング「サプライチェーントップ25」を発表しています。この調査ランキングにおいて、過去に何度もトップ5にランクインするなど実績が評価され、殿堂入りを果たしている企業が5社あります。本記事では、2022年の「サプライチェーントップ25」の結果を紹介しつつ、殿堂入りを果たした企業のサプライチェーンの凄さに迫ります。
執筆:泉啓介

執筆:泉啓介

CSCP、CPIM。『全図解 メーカーの仕事』(ダイヤモンド社)の著者山口雄大、行本顕、小橋重信との4名によるグローバルSCM 推進ユニット「SCM4」で顧客サービスとコストのパートを担当。現在外資系化学メーカーに勤務。生産計画や需要予測、需給調整などサプライチェーンのプランニングに関わる業務に主に携わる。SCMの国際標準を策定する米ASCM/APICSのCPIM(在庫管理や需給調整に関する知識)とCSCP(サプライチェーン全般のマネジメントに関する知識)を取得。同団体認定インストラクター。APICSディクショナリーの翻訳メンバーにも第14版より参画している。最新版は『APICSディクショナリー第16版』(生産性出版、2020)。

■連載『現役サプライチェイナーたちが読む経済ニュース』について
本連載は、150社以上のSCM実務家と議論してきた経歴を持つ需要予測のプロフェッショナルである山口雄大氏、ロジスティクス専門のコンサルティングファームを経営する小橋重信氏、日系消費財メーカーの経営企画室に勤務し、グローバルSCMの世界標準を主導するASCM (Association for Supply Chain Management)の国際資格のインストラクターも務める行本顕氏、大手外資系メーカーでSCMを担当し、同じくAPICSの資格を保有する泉啓介氏による共同連載。需要予測、ロジスティクス、世界標準のSCMの世界観と整理軸、外資系のSCMといったそれぞれの専門分野の目線から経済ニュースを読み解く。

photo
なぜ、ユニリーバは世界から認められるのか? 同社のサプライチェーンは何が凄い?
(写真:AP/アフロ)

「サプライチェーントップ25 2022」ランキング結果とは

 毎年ガートナー社が実施する調査「サプライチェーントップ25」では、サプライチェーンへの取り組みが優れた企業がランキング形式で発表されます。

 そもそもサプライチェーントップ25の候補企業に選ばれるハードルも高く、フォーチュン誌が毎年発表している総収益ランキング「フォーチュン・グローバル500」、またはフォーブス誌が毎年発表する世界の企業ランキング「フォーブス・グローバル2000」のいずれかに入っており、かつ収益が120憶ドル以上の企業が対象となります。

 2022年のランキング結果は下記の通りです。
画像
2022年の「サプライチェーントップ25」のランキング結果
(ガートナー社「サプライチェーンTop25 2022」より作成)

 そんなサプライチェーントップ25の中でも、「マスターズ」と呼ばれるランキングの順位が付かない上級カテゴリーが存在します。「マスターズ」というカテゴリーは2015年から導入され、2022年の発表では、アマゾン、アップル、P&G、マクドナルド、ユニリーバの5社のみが選ばれています。「マスターズ」とみなされる条件も厳しく、過去10年間のうち7年間以上、ランキングの総合スコアがトップ5を達成していることが条件になります。

 2022のランキングでは以下の6項目が用いられており、ビジネスと企業責任の総合的な指標や、同業他社からの評価、アナリストの評価によりスコアが決まります。

■サプライチェーントップ25の評価項目
(1)ROPA (Return on physical assets): 物的資産利益率
(2)棚卸資産回転率
(3)収益成長率
(4)ESG
(5)ガートナー社のピア・コミュニティ(ビジネスリーダーのネットワーク)による投票
(6)ガートナー社のアナリストによる投票

 ユニリーバはこの中で「マスターズ」に4年連続で選ばれています。2022年は「アジリティ(敏しょう性)とレジリエンス(しなやかさ)を持った目的主導型のサプライチェーンの変革を継続している点」、「リアルタイムな意思決定を促進するための多額の投資や、小規模で多様な新興サプライヤーや競合他社とのエコシステムを通じてサステナビリティの機会を探っている点」などが評価されたと述べられています。

 ここからは、そんなユニリーバのサプライチェーンについて解説していきます。

ユニリーバ「巨大すぎるサプライチェーン」の全体像

 ユニリーバは、世界有数の一般消費財メーカーで世界190カ国以上にて400以上のブランドを有しており、従業員は世界で約14万8000人います。「美容・健康」、「パーソナルケア」、「ホームケア」、「食品」、「アイスクリーム」に分類される製品を製造・販売していて、日本でも「ダヴ」「ラックス」といったシャンプー・ボディソープ、住居用洗剤の「ジフ」、カップスープなどの食品の「クノール」といったブランドは広く知られているかと思います。

 同社は世界で約280以上の工場があり、700社以上の協力メーカーと提携し製品を製造しています。また150カ国の約5万3000のサプライヤーパートナーと取引し、調達をおこなっています。物流倉庫は約450あり数百万の販売店や小売業者に製品を販売しています。

 デジタルコマースのグローバルバイスプレジデントであるクレア・ヘナ氏のコメントによると、近年は特にオンラインショッピングは主要な成長ドライバーとなっており、全社売上高の12%を占め、特に2020年はコロナ禍による行動制限などを受けてオンラインで買い物をする人が増えビジネスが60%以上成長しているそうです。

 デジタルコマース向けの設計は、消費者体験をすべての活動の中心に据えることが不可欠であり、また在庫をすぐに発送できること、アジャイル(俊敏性)なサプライチェーンが鍵になるとも述べられています。それでは、具体的にユニリーバはどのようにサプライチェーンの高度化を図っているのでしょうか。

【次ページ】ユニリーバは何が凄い?世界が認める生産工場の仕組み

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