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  • 2023/02/07 掲載

髙田延彦氏が「やりたいことは全部やれ」と“無茶ぶり”する深すぎる理由

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アントニオ猪木氏に憧れ、プロレスラーになるという子どものころからの夢を貫き通し、一時代を築いた総合格闘家、髙田延彦氏。現役を引退した現在も、つい最近柔術を始めるなど、そのアスリート魂は今なお熱を持ち続けている。心に刻む言葉は“一寸先は闇”。何が起こるかわからない一回きりの人生だから、悔いのないよう、やりたいことはすべてやれ、というエールは、髙田氏の言葉だからこそ心に響く。「セキュリティマネジメントカンファレンス2022Winter」に登壇した髙田氏が語った(聞き手はMCタレントの川瀬 良子氏)。

執筆:フリーランスライター 吉田育代

執筆:フリーランスライター 吉田育代

企業情報システムや学生プログラミングコンテストなど、主にIT分野で活動を行っているライター。著書に「日本オラクル伝」(ソフトバンクパブリッシング)、「バックヤードの戦士たち―ソニーe調達プロジェクト激動の一一〇〇日 」(ソフトバンクパブリッシング)、「まるごと図解 最新ASPがわかる」(技術評論社)、「データベース 新たな選択肢―リレーショナルがすべてじゃない」(共著、英治出版)がある。全国高等専門学校プログラミングコンテスト審査員。趣味は語学。英語と韓国語に加えて、今はカンボジア語を学習中。

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元総合格闘家・タレント・髙田道場代表
髙田 延彦 氏

アントニオ猪木氏に憧れ、自ら切り開いたレスラーへの道

 髙田延彦氏といえば、日本に総合格闘技の基礎を築き、数々の名勝負を繰り広げた格闘家である。現役引退後は、髙田道場代表として子どもたちに格闘技のおもしろさを取り入れた体育教室の開催に力を注ぐとともに、タレントとしても活躍している。

 同氏がそもそもプロレスラーになろうと思ったのはアントニオ猪木氏がきっかけだった。試合をテレビで見て、一目惚れしたのだという。それまでは野球少年だった。ヒーローは長嶋茂雄氏で、父親とともにテレビ観戦して憧れ、グローブ、バットを買ってもらい、巨人軍ユニフォームには背番号3をつけてもらった。

 しかし、小学6年生のときに長嶋氏が引退、“俺の野球愛は終わった”と悲しむ心へ、入れ替わるように入ってきたのが猪木氏だった。

「単純に、この人のもとへ行きたい、この人と同じことをやりたいと思いました。もうそれは理屈では説明できないのです。たとえば、運命の相手と出会ったときに、『この人と結婚するんだ』という感覚は、一生に一回あるかないか理屈じゃない決断だと思いませんか。それと同じで、自分の夢を見つけたという思いでした。とにかく一心不乱に迷いもなく、猪木さんのところにたどり着くんだ、と。もう1回やれといったらできるかどうかわかりませんが、あのときは猪木さんに惚れこんで、それはもう本当にそれだけでした」

 その夢は、中学2年生のときに決意へと変わり、周囲にもそう表明した。そして、学校にはほとんど行かず、情報のない中で自分なりに工夫して、毎日1500回もヒンズースクワットをしたり、芝生や木を相手に受け身や攻撃の練習を行った。

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話を聞いたのはMCタレントの川瀬 良子 氏

 格闘家を目指すには華奢な体だったので、入門テストを突破するにはまず体を作る必要があった。引っ越しや酒屋、米屋など肉体を使うアルバイトをあえて選び、得たバイト代は筋肉をつけるための食事に使った。

厳しい現実に直面しながらも、とにかくその日一日を生き抜く

 それでも入門テストには、全国から体自慢の若者がやってくる。試験官からすれば、当時の髙田氏はまだまだ体が小さかった。しかし、行われる体力テストに全身全霊で臨んだ。

「返事の仕方、ある運動が終わって次の運動に移るまでの休み時間の態度など、一挙手一投足で入りたいという意思を伝えました。たとえば、いわれるまで水を飲んで休むのか、『次は何なんですか』といって、早く準備に入るのか、そういう細かいところも見ていると思いました。僕はもう貪欲で、もっともっとという感じだったので、それを伝えることができたのではないかなと思います。そのときの試験官が山本小鉄さんだったのですが、小さかった僕を何かこうキラリと光るものがあると思って違う視点で見てくれたんでしょうね。でも、今僕が試験官で当時の僕のような子が来たら選ぶかどうか。やっぱり体が小さいと苦労しますからね。『僕なんかを取ってくれてありがとうございます』とすごく感謝の思いがあります」


 こうして髙田氏はプロレスラーへの道を歩み出した。しかし、現実になったとたん、夢は木っ端みじんに吹き飛んだ。最初は下っ端の下っ端の新弟子で、名前も覚えてもらえず、「坊主、坊主」と呼ばれ、洗濯や掃除、風呂洗い、お使いなど一日雑用に終始した。

 このとき髙田氏が考えていたのは、とにかくその日を生き抜くということだけだった。「明日みんなが寝てる間に逃げよう」という思いも、最初の1年ぐらいは去来した。わからないことだらけの世界で、理不尽な先輩もたくさんいたからだ。

 しかし、せっかく夢の扉を開けたかぎりは、後戻りするのは絶対に嫌だった。絶対に自分にブレーキをかけることはせず、逆にアクセルを踏んで前へ進もうと考えた。なぜそれができたのか。ただ「プロレスが好きだったから」。今考えても、それしか理由は浮かばないという。

【次ページ】道場を通して伝えているのは、運動のすばらしさ

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