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  • 2023/04/18 掲載

鹿島建設の「2024年問題」への挑み方、「2025年の崖は心配ない」理由

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デジタル化が長らく遅れていた日本の建設業界の中にあって、2020年にDX銘柄に選出されるなどデジタル化とDXを強力に推し進めている鹿島建設。そんな同社は一体どのような組織・人材作りを通じて、デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進したのか。同社のデジタル施策を率いる専務執行役員 福田 孝晴氏に聞いた。

聞き手、構成:編集部 山田 竜司 執筆:吉村 哲樹

聞き手、構成:編集部 山田 竜司 執筆:吉村 哲樹

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鹿島建設
専務執行役員 研究技術開発・建築構造担当
デジタル推進室・知的財産部管掌
福田孝晴氏

ビジョンの実現に向けて大切にしたい3つの価値観

 DXをどのように組織になじませるのか。DX実現のためには、会社全体が同じ方向を向く必要があります。そのために弊社では、2021年に中期経営計画の策定にあたり長期的に目指す姿として新たに策定したビジョンの中で「大切にしたい価値観」として「主体性」「多様性」「開放性」の3点を掲げています。

 新しいことや創造的なことへのチャレンジは、ただ単に言われたことをやる受け身の姿勢では実現できません。やはり社員一人ひとりが主体的に自分で考えて行動する「主体性」を持つことが大事だと考えています。


 また今日では、一口にテクノロジーといってもその幅がとても広く、ジャンルが多様化していますから、技術者もこれまでのように自分の専門分野だけを深めていくだけでは新しいものを創り上げることはできません。そうではなく、たとえば建設業なら「BIM(Building Information Modeling)、 CIM(Construction Information Modeling/Management)」のような技術も積極的に取り込み、「多様性」を目指してスキルの幅を広げていかなくてはなりません。

 加えて、「これまでのやり方で問題ない」という閉鎖的な考え方に凝り固まってしまうと、その時点で進化が止まってしまいます。したがってオープンイノベーションのような考え方に代表されるように、外部に積極的に門戸を開いて多様な技術を取り入れていく「開放性」が重要です。

 ただし、単に会社のビジョンとしてこれらの価値観を掲げるだけでは、現場の文化や風土としてなかなか根付いてくれないのも事実です。そこで社員一人ひとりがビジョンを「自分事」として捉えてくれるよう、私が管轄している技術研究所や構造設計部門では部門ごとのビジョンを社員同士のディスカッションを通じて策定するようにしています。こうした活動を通じて社員がビジョンを自分事として捉えてくれるようになって、初めて会社の文化や風土が変わっていくのだと考えています。

建築とデジタルの知識を併せ持つ人材を積極的に育成・採用

 DX実現のために欠かせないもう1つの重要な要素として、「人材の採用や育成」があります。これまで新卒採用では、建設とデジタルの知識を併せ持つ人材は多くありませんでしたが、最近になりようやく大学でもデジタル教育の重要性が認識され始めて、情報学部と建築・土木関連の学部が連携するようになってきました。

 その甲斐あって、ここへ来てようやく建設とデジタルの知識を併せ持つ若い人材が増えてきました。今後もこうした人材は積極的に採用して、入社した後も知識やスキルを伸ばしていけるようデジタル教育制度を拡充していきたいと考えています。

 また建設とデジタルの知識を併せ持つ若い人材が社内で増えれば、これまでデジタルにあまり触れてこなかった中堅以上の社員も触発されてデジタル活用に前向きになってくれるのではないかと期待しています。こうした方々はデジタルのバックグラウンドがない上に、現在多くの実務を抱えてなかなか新たなスキルを習得するための時間を確保できません。こうした方々のリテラシーの底上げは、弊社に限らず現在多くの日本企業が抱えている課題だと思います。

 ただし弊社のような建設業は、どれだけデジタル化・バーチャル化が進展したとしても、ハードとしての建造物や現場は絶対に残ります。従って、現在活躍しているベテランの方々が持つハードに関する知見は今後も必要になりますし、貴重な資産として引き継いでいかなくてはなりません。 【次ページ】「2025年の崖」よりも「2024年問題」の方が深刻

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