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- 2023/11/17 掲載
なぜ、さいたま市が自治体DXで1位に?生成AI・データ活用等、8つのDXコンセプトとは
さいたま市がDXランキングで全国1位を獲得した2つの理由
「全国自治体DX推進度ランキング2023」とは、総務省が行った全国の自治体のDX推進度調査を、時事総合研究所が独自に評価したランキングである。今回、さいたま市がそのランキングで第1位を獲得したが、そもそも同市がDXに取り組むことになったきっかけは、2020年に起きた新型コロナウイルスのパンデミックだったと、石﨑氏は次のように振り返る。「当時、国の特別定額給付金(コロナ禍における全国民に対する一律10万円の給付)は電子申請も可能でしたが、それにはマイナンバーカードが必要でした。しかし、当時の当市におけるマイナンバーカードの取得率は20%弱でしたので、多くの市民は電子申請を利用できませんでした。また、感染拡大防止のため、現場からはテレワークやテレビ会議などの要望も上がってきて、そのためのインフラや端末の設備も急務となっていました」(石﨑氏)
こうした状況がきっかけとなり、2020年11月に市長をトップとする全庁横断の「さいたま市DX推進本部」が設置され、同市のDXの取り組みが正式にスタートしたのである。
なお、今回ランキング1位を獲得したことについて、石﨑氏は「意外でした」と率直な感想を述べる。
ランキングの評価項目は「DXの推進体制」「行政サービスの向上・高度化」「情報セキュリティ対策」「デジタルデバイド対策」「マイナンバーカード交付状況」の5つだが、さいたま市は、DXの推進体制、情報セキュリティ対策、デジタルデバイド対策の3項目で満点を獲得した。
「DXの推進体制としては、市長をトップとするDX推進本部を設置して『デジタル八策』を掲げて取り組んでいること、情報セキュリティ対策ではセキュリティポリシーや各種手順書を他の自治体に先駆けて整備した点が評価されたのだと思います」(石﨑氏)
また、デジタルデバイド対策としては、高齢者向けのスマートフォン講座などを開催するとともに、講座の講師となる「地域ICTリーダ」の育成も行っている。石﨑氏は「こうした裾野を広げる地道な活動が評価されたのではないかと思います」と述べる。
さいたま市のDXコンセプト「デジタル八策」の全貌
2020年11月に設置されたDX推進本部が最初に取り組んだのが、コロナ禍対策としてのテレワークやテレビ会議などの環境整備だった。その後、ウィズコロナ、アフターコロナをにらんで中長期的な施策を検討する中で出てきたのが、以下の4つだった。- 行政手続の市民負担軽減
- 地域社会全体のデジタル化
- デジタルを活用した効率的で的確な行政
- 変化や危機に対応しうる柔軟性
そして、この4つを目的別に8つに分類したものが、次の「さいたまデジタル八策」となる。もちろんこれは、幕末の英雄である坂本龍馬の「船中八策」にちなんだネーミングだ。
- さいたま市のすべての手続きをデジタルへ
- デジタルを支える新たなさいたま市民生活へ
- 市民のデジタルへの道を拓くさいたま市へ
- 市民の信頼の下、データが変えていくさいたま市へ
- 災害にも強いデジタルを安心して使えるさいたま市へ
- 様々な人と、ともにデジタル化を進めるさいたま市へ
- デジタルで市民や世界とつながるさいたま市へ
- デジタル時代の新たなさいたま市役所へ
では、その具体的な取り組みを見ていこう。行政手続きの電子化で同市が目指すのが「書かない窓口」「行かない窓口」である。 【次ページ】AIチャットボットやChatGPTなどの生成AIを活かし業務効率化
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