• 2007/02/05 掲載

【ITキーパーソンインタビュー(2)】SOAとは何か?--IBM 高橋氏

日本IBM ビジネス・コンサルティング・サービス事業 C&SI事業 SOA事業推進 部長 高橋 和子 氏インタビュー

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さまざまな企業のキーパーソン・専門家などに2007年のITの動向を俯瞰していただき、そのトレンドについてインタビューする本企画。第2回は日本IBMの高橋和子氏に、SOAのあるべき姿と同社の今後の展開について聞いた。

SOAとは「ストーリー」で、
ゴールはお客様に成功してもらうこと

日本IBM ビジネス・コンサルティング・サービス事業 C&SI事業 SOA事業推進 部長 高橋 和子 氏
日本IBM
ビジネス・コンサルティング・サービス事業
C&SI事業 SOA事業推進 部長
高橋 和子 氏
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──まずIBMが考えているSOAの意味や、定義について教えてください。

 そもそもSOA(Service-Oriented Architecture)はアーキテクチャという言葉が付くように、最初はテクノロジーの話として、ユーザーの皆さんは興味をもたれていたかと思います。しかし、IBMがいうSOAとは「ストーリー」であり、そのゴールはお客様に成功していただくということです。企業改革をどのように推し進めていくか、それをサポートするためのスキーム全体を、SOAによってストーリーとして組み立てていけるようにすることです。SOAに対するマーケットの期待は、いまやITだけの話にとどまるものではありません。どのようにビジネスと一緒に進めていくのか、ビジネスプロセスの可視化などに移ってきているのです。

──SOAがビジネスにもたらすメリットとは何でしょうか?

 CEOの課題としては、新製品の開発、オペレーションコストの削減、ビジネスモデル(プロセス)の改革などがあると思います。どれも重要なことですが、いま一番早急にやらなければならないのはビジネスモデル(プロセス)の改革です。その際にSOAが有効になってくると考えられます。

 SOAではシステムのモジュール単位で構築するのではなく、ビジネスのプロセス単位で構築していくことになります。これらの塊がビジネスプロセスになりますから、そのつなげ方でビジネスモデルができていくわけです。

 CEOとCIOでは、考え方がかみ合わない面もあるでしょう。CIOもCEOと同様に大きなビジネスの流れの中で計画を立てているのでしょうが、やはりそれでも現場では場当たり的な変更を繰り返し、システムが肥大化して、フレキシビリティに欠けるものになってしまう。これはIBMも含めてどこの会社でも同じような経験をしており、その改革を進めている状態だと思います。SOAのバリューはビジネスとITの融合であり、何かビジネスニーズがあったときに迅速に対応できる柔軟性にあります。ビジネスに合ったITを素早く構築するための道具としてSOAがあるわけです。

 また、SOAが利益に貢献できる一番大きな点は、新しいビジネスを素早く展開できるところにあります。たとえば、iPodのような新しいテクノロジーが出て、それを使って音楽配信というビジネスモデルを構築しようと考えたとします。しかし、その際にすぐに実現できる体制を確立できず、ビジネスチャンスを逃すこともありました。迅速に体制を整えようとしても、いままでは相手側(ベンダー)のサポートがついていけなかったからです。SOAでシステムを柔軟に構築しておけば、これができるようになります。

ROI(投資収益率)は、段階的に倍々化


 また、コスト削減という側面からも有効です。従来は場当たり的にシステムを構築していたので、メンテナンスが大変でした。1つのシステムを変更すると、いろいろなところに影響が出てくるので、すべてのメンテナンスが必要になってしまいます。ところがSOAを導入してシステムを構築しておけば、共通のコンポーネントで済み、運用が容易になります。

 さらに新しいシステムを構築しようとしたときに、すでに使われているコア部分を開発し直さなくてもいいのです。これによって、コスト削減にもつながりますし、早く開発できるというメリットがあります。あとはSOAによる副産物的な面ですが、コンプライアンス対策でも有効になります。SOAを導入する際には、まずビジネスプロセスをしっかりと把握することが基本です。これらのプロセスを履歴として残していくため、J-SOX法への対策や、コンプラアンス面での効果も期待できます。

──SOAの導入による効果を具体的な数値で表現できますか?

 保険会社2社を実例として挙げてみましょう。SOAの効果は段階的に出てくるものだと思います。最初にインフラをつくる際にはコストが掛かり、ROI(投資収益率)は小さいです。しかし、ひとつのアプリケーションをつくり、さらにこれを流用しながら積み重ねていくと、2回のシステム構築でROIが倍に、3回目にはそれぞれの会社で3.6倍と5倍になっています。再利用するというSOAの特性から、ROIの数値を段階的に見ていくことが重要になると思います。

──現状でユーザーの手応えは?

 この1年間で、手応えは雲泥の差になるほどありました。ただし、企業規模はあまり関係ないようです。SOAは大企業だけのものではなく、中堅小企業でも適用されています。大企業の場合は規模が大きいため、構想を策定する部分が非常に大切なポイントになります。当然ながら構想のフェーズに時間が掛かります。一方、比較的小さい企業では、ビジネスを絞っているため、展開が早いという特徴があります。

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