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- 2024/02/05 掲載
人口増を目指す「北海道・安平町」、地域放送を駆使した“唯一無二のDX”のスゴイ効果
“人口増”を目指す安平町は何に取り組んでいるのか?
北海道南西部に位置する人口約7300人の安平町。基幹産業は農業だが、近年は軽種馬産業も盛んで、ディープインパクト、アーモンドアイなど、中央競馬で活躍する多くの競走馬を輩出している。また、次世代半導体の新会社 ラピダスが千歳市に工場を建設し、2025年4月に稼働を予定していることから、技術者や工場勤務者の住環境としても注目を集めている。
とはいえ、人口減少と少子高齢化は同町にとっても避けては通れない深刻な課題になっていると、政策推進課政策推進グループ 課長補佐の木村誠氏は次のように説明する。
「少子高齢化によって、安平町の人口ピラミッドは逆三角形の形となっています。これを少しでも解消するには、20代~30代の子供がいる世帯を増やさなければなりません。そこで町が力を入れたのが、子育て・教育環境の魅力化・充実化でした」(木村氏)
同町は、2017年度からの10年間を期間とする「第2次安平町総合計画」を策定。その中で、「子育て・教育」を最優先政策分野とすることを決め、町内に住んでいる子育て世代の転出を防ぎ、かつ新しい子育て世代の移住・定住を促す取り組みに重点的に取り組んできた。この取り組みが奏功し、2022年、2023年は社会人口が大きく増加に転じているのだ。
安平町の「あびら教育プラン」とは
安平町の「子育て・教育」を柱とした取り組みは多岐にわたる。まず同町は、日本ユニセフ協会から「子どもにやさしいまちづくり事業(CFCI:Child Friendly Cities Initiative)」実践自治体として選定されている。選定されているのは、同町を含めて全国で5自治体のみだ。「子どもにやさしいまちづくり(CFCI)」とは、国連「子どもの権利条約」に明記されている子どもの権利を実現することに市町村が積極的に取り組むユニセフが提唱する世界的な活動のことである。たとえば、「あびら教育プラン」も同町のCFCIを代表するユニークな取り組みの1つだ。
「当初は社会教育事業の取り組みとしてスタートしたんです。子供が小さいときは遊びによって成長を促す『遊育』、その後は主体性や知的好奇心を伸ばす『あびらぼ』、子供たちがプロジェクトを作って実践する『ワクワク研究所』、アイデアをプレゼンしてサポーターから出資を募る『ABIRA Talks』といったプログラムを通じて、子供たちの成長を支援します。現在は、学校教育と社会教育を連動させる取り組みにも発展しています」(木村氏)
また、同町は小中一貫の義務教育学校「早来学園」を2023年4月に開校した。
「2018年の北海道胆振(いぶり)東部地震では、町内の中学校が被災して再建が困難となりました。また、他の小学校も老朽化が進んでいたことから、町内の3つの小学校と中学校を統合して、小中一貫の義務教育学校『早来学園』を作ることになりました。建設にあたっては、大人だけでなく、児童・生徒の意見も広く聞いて取り入れています」(木村氏) 【次ページ】安平町に立ちはだかる「2つの課題」、意外な解決策とは
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