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  • 2023/11/21 掲載

2030年までに市民満足度90%以上へ、“住みやすい街”さいたま市に聞く自治体DXのあり方

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自治体DXランキング1位を獲得したさいたま市は、庁内業務の効率化のためペーパーレス化やRPAにも取り組み、年間8800時間の業務時間を削減するなど大きな成果を出している。また、スポーツビジネス、スポーツ産業の創出・活性化やデジタルを駆使したスマートシティの実証実験にも積極的だ。後編では、こうしたさいたま市のDXや先進的な取り組みを紹介する。また、2030年までに市民満足度90%以上を目指すさいたま市が考える、自治体DXのあり方について、都市戦略本部 情報統括監 石﨑 博幸氏に話を聞いた。

聞き手:玉田萌、執筆:井上健語、撮影:濱谷幸江

聞き手:玉田萌、執筆:井上健語、撮影:濱谷幸江

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さいたま市DXコンセプト「さいたまデジタル八策」

RPAを活用して年間8800時間分の業務を削減

生成AIで1分にまとめた動画
 さいたま市では、庁内の業務効率化のためにRPA(Robotic Process Automation)を活用している。利用されているのは、NTTアドバンステクノロジのWinActorだ。石﨑氏は具体的な使い方を次のように説明する。

「あるシステムの出力結果やExcelのセル情報を別のシステムにコピー&ペーストするような単純な手作業を自動化する目的で活用しています。たとえば、市民が転入すると、保健所の職員はその方のコロナワクチンの接種歴を『ワクチン接種記録システム(VRS)』で確認し、そのデータを市の別のシステムに手作業で入力する必要があり、大きな負担となっていました。RPAは、こうした負担軽減に役立ちました」(石﨑氏)

 また、帰宅前にロボットを起動し、夜間に処理をして、朝、出勤したら処理が終わっているといった使い方をしている職員もいるという。

「RPAを活用することで、2022年度は年間で約8800時間の業務を削減できています。職員数は1万5000人ですので、全体から見たらわずかですが、使えるところから使っている状態です。特に単純作業が多い税を扱う部門は効果が高いと思います。システムの改修や再構築の費用対効果が見合わない場合、従来のシステムを継続して活用するという点でも、RPAを効果的に活用していきたいと考えています」(石﨑氏)

 なお、RPAのシナリオは、導入当初はデジタル部門の職員やベンダーが支援して作成していたが、徐々に自ら作成して活用する職員も増えてきたという。石﨑氏も「今後は業務を担当している職員自身にシナリオを開発してもらう体制を作り、活用のすそ野を広げたいと考えています」と述べる。

画像
さいたま市
都市戦略本部 情報統括監
石﨑 博幸氏

現場主導で地道に進めるペーパーレス化と職員の意識の変化

 行政手続きの電子化やRPAによる業務削減と並行して進めているのが、ペーパーレス化である。その土台となっているのが、庁内における無線LAN環境の整備だ。現在は庁内の45カ所で無線LANが利用可能で、年度内には本庁舎全体で利用できるように整備を進めているという。

「これにより会議のペーパーレス化がさらに進むと期待しています。従来は会議のたびに参加人数分の紙の資料を用意していましたが、どこでも無線LANが使えるようになれば、会議室にノートパソコンを持ち込んでファイルサーバから資料を読み込むだけでよくなるからです。実際に職員の意識も変わりつつあると感じています」(石﨑氏)

 なお、同市の課の数は約800あり、各課にプリンタが設置されている。つまり、約800台のプリンタが稼働していることになるが、これまでは、各プリンタでどれくらい印刷が行われているかは把握できていなかった。そこで、各プリンタの印刷データを取得し、さいたまシティスタットに保存するようにしたという。

「その結果、『自分の課はこんなに印刷しているのか』といった問題意識が生まれ、『何とかしなければ』『こうすれば削減できるのではないか』といった職員の意識の変化につながっていると思います。ただ上から『減らせ』ではなく、こうした取り組みを現場主導で地道に積み重ねていくことが大切だと考えています」(石﨑氏) 【次ページ】2030年までに市民満足度90%以上へ、さいたま市DXの展望

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