• 2024/03/04 掲載

Perplexityとは?使い方は?試して分かった「グーグル対抗」の検索エンジンの実力

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絶対王者グーグルの支配が続く検索エンジン市場だが、生成AIの登場で大きな変化を伴うことになりそうだ。ガートナーが2月19日に発表した予測によれば、2026年までに検索エンジンのボリュームは25%も減少するという。こうした中でグーグルへの挑戦を明言しているスタートアップ企業が「Perplexity」だ。Perplexityとは、AI チャットボットを活用した調査および会話型検索エンジン。同社にはNVIDIA、ジェフ・ベゾス氏、YouTubeの元CEOなど大物も出資ラウンドに参加しており、検索市場を攻めるマイクロソフトとも戦っていくことになる。果たしてその実力とポテンシャルとはいかなるものか。実際にPerplexity、グーグル、ChatGPTの3つのサービスを試して結果を比較した。
執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/

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テック業界の大物が続々と出資
(Photo:rafapress / Shutterstock.com)

検索エンジン市場は波乱含み

 2月19日にガートナーが発表した調査結果は、デジタルマーケティング業界・SEO業界に大きな衝撃をもたらした。同社の調査によれば、2026年までに検索エンジンボリュームが25%も減少するというからだ。その原因はもちろん生成AI。ガートナーはバーチャルAIアシスタント(パーソナルAIアシスタント)の台頭もその一因に挙げている。

 一方、足元の検索エンジン市場では依然グーグルが圧倒的なシェアを維持、競合との差を保っている状況だ。Statistaがまとめたデスクトップ検索エンジン市場シェア情報によると、2024年1月時点におけるグーグルのシェアは81.95%に上る。

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2024年1月時点の検索エンジン市場シェア
(出典:Statista

生成AIで1分にまとめた動画
 しかし一方で、生成AIが人々の検索行動を変えているのは事実であり、生成AI技術の普及・成熟化が進めば、この先、検索エンジン市場でもディスラプションが起こる可能性は高い。

 実際、そのようなシナリオを彷彿とさせるスタートアップが注目を浴びており、2024年は生成AIパワードの検索エンジンがさらに普及する可能性が高まっている。

Perplexityとは?なぜ注目されるのか?

 そのスタートアップとは、グーグルへの挑戦を明言している「Perplexity」だ。Perplexityが提供するのは、チャット形式でさまざまな情報を検索できる大規模言語モデルをベースとする「回答エンジン」である。

 同社は2022年8月に設立されたばかりの若いスタートアップだが、2023年1月にシリーズBラウンドで、多数の著名起業家や投資家らから7,360万ドルを獲得し、米メディアにおける注目度が高まっている。

 シリーズBでは、Databricks、GitHubの元CEOナットフリードマン氏、エラド・ギル氏などシリーズAの投資家らに加え、NVIDIA、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏、Shopifyの創業者トビ・リュトケ氏、YouTubeの元CEOスーザン・ウォジスキー氏などが参加。累計調達額は1億ドル、最新の評価額は5億2,000万ドルに拡大したという。

 Perplexityの共同創業者の1人でCEOを務めるアラビンド・スリニバス氏は、2017年にインド工科大学マドラス校を卒業後、米カリフォルニア大学バークレー校の博士課程に進学、2021年にコンピューターサイエンスの博士号を取得した。この間、ディープマインド、グーグル、OpenAIで生成AIのリサーチに携わった経験も有している。

 ロイター通信2024年1月5日の報道によると、Perplexityの現在の社員数は38人だが、今年中には60人に拡大する計画だ。同社の現在の月間アクティブユーザー数は1000万人、モバイルは100万人以上。年間売上高は500万~1,000万ドルと推定されているが、黒字化には至っていないという。

 スリニバスCEOは、グーグルの検索エンジンでは、検索した言葉に対し上位表示される情報のほとんどがSEO対策されたコンテンツや広告コンテンツで、ユーザーが求める回答が得られないケースが多く、またグーグル検索で表示されるのはWebページであり、直接的な回答ではないと指摘。これを踏まえ、Perplexityの回答エンジンは、生成AIがユーザーの質問を理解しつつ、ユーザーが求める回答を直接生成することが可能と述べている。

Perplexity vs グーグル検索 vs ChatGPT

 Perplexityが提供するのは、ChatGPTのようにチャット形式で利用できるプラットフォーム。

 ChatGPTとの違いの1つは、回答を生成する際に、必ずどのウェブページの情報を参照したのか引用リンクを付け加える点にある。ChatGPTでもウェブ検索を行い、引用リンクを表示することもあるが、現時点ではリンクを表示しない場合が多く、別プロンプトでリンクを表示するように指示する必要がある。

 Perplexityは情報の鮮度にも注力しており、最新情報を参照できる点も強みの1つとなる。「生成AI市場はどれほどの規模か」という質問に対する各エンジン/チャット回答から、Perplexityの特徴を知ることができるだろう。

 まずグーグル検索では、統計サイトStatistaの情報のみが参照され、2024年には666億2,000万ドルに拡大するとの回答が表示された。

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「生成AI市場はどれほどの規模か」に対するグーグル検索の結果
(出典:グーグル)

 一方ChatGPT(GPT-3.5)は、学習データが2022年1月までの情報に限定されるため、最新情報を表示できないとの回答だった。

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「生成AI市場はどれほどの規模か」に対するChatGPT(GPT-3.5)の回答
(出典:ChatGPT)

 ChatGPT(GPT-4、有料版)は、グーグル検索と同様で、統計サイトStatistaの情報のみが参照され、2024年には666億2,000万ドルに拡大するとの回答が表示された。

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「生成AI市場はどれほどの規模か」に対するChatGPT(GPT-4)の回答
(出典:ChatGPT)

 これに対しPerplexity(無料版)は、ウェブ上から5つの情報ソースを探し出し、それらをまとめる形で回答を生成。

 1つはブルームバーグの推計で、生成AI市場は2022年の400億ドルから2032年には1兆3,000億ドルに拡大するというもの。2つ目はグーグルが表示したものと同じStatistaの情報で、2024年には666億2,000万ドルに達するという予測。このほか市場調査会社Fortune Business Insightの2024年には6,679億ドルに達するという予想、またマッキンゼーによる2兆6,000億から最大4兆4,000億ドルに達するという市場予測が示された。

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「生成AI市場はどれほどの規模か」に対するPerplexity(無料版)の回答
(出典:Perplexity)

 単一の情報ソースだけでなく、複数の情報ソースを表示し、それらをまとめてくれる点、また情報鮮度が高い点などが、Perplexityの特徴といえる。

鮮度の高い情報を素早く生成できるワケ

 また、Perplexityの有料版(月額20ドル)では、GPT-4やAnthropicのCluade3(Opus)などの上位モデルを選択することも可能だ。

 これまでPerplexityの無料版では、そのベースとしてOpenAIのGPT-3.5が使用されてきたが、2023年11月末にフランスのAIスタートアップMistralの大規模言語モデルとメタの大規模言語モデルLlama2をファインチューニングしたバージョン「PPLX 7B Online」と「PPLX 70B Online」をリリース、同社回答エンジンでの運用が始まった模様だ。

 PPLXモデルは、最新のオンラインデータによってファインチューニングされており、鮮度の高い情報を基にした回答を素早く生成することが可能という。

 OpenAIも米国選挙を控えChatGPTの引用表示を強化する方針を発表したほか、グーグルも自社の最新AIモデルGeminiをチャットサービスに組み込むなど、弱点を補強する動きを見せており、Perplexityを交えた競争の激化が予想される。

 検索エンジン市場にどのような影響が出るのかは分からないが、生成AIによって検索のあり方が大きく変わっていくのは間違いないだろう。

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