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- 2024/05/20 掲載
なぜデスクの「書類の山」はタイパの大敵なのか、モノを減らす「4つ」の基準
連載:何がなんでも定時で帰るためのタイパ仕事術
一般社団法人日本ビジネスメール協会 代表理事
株式会社アイ・コミュニケーション 代表取締役
1974年、北海道生まれ。筑波大学人間学類で認知心理学を専攻。広告代理店勤務を経て独立。2004年、アイ・コミュニケーションを設立。2013年、一般社団法人日本ビジネスメール協会を設立。ビジネスメール教育の専門家。メールのスキル向上指導、組織のメールのルール策定、メールを活用した営業力強化、メールコミュニケーションの効率化や時間短縮による業務改善など、支援実績は多岐に渡る。これまでに研修やコンサルティングを行った組織は、官公庁から民間企業、団体や学校に至るまで5000を超える。年間150回以上の研修やセミナーでの講演、1500回以上のメディア掲載、2003年から続くメルマガ「毎日0.1%の成長」を通じて、ビジネスメール教育の普及に力を注いでいる。著書は「仕事ができる人は実践している!ビジネスメール最速時短術」(日経BP)、「そのまま使える! ビジネスメール文例大全」(ナツメ社)など34冊。
モノを減らすのは「メリットしかない」ワケ
膨大な資料の中から必要な資料を見つけるのは大変です。デスクが乱雑で目当ての書類が見つからない、不要なものばかりが目に付いてしまうなど、多くの資料に行く手を阻まれたことが、誰もが一度はあるのではないでしょうか。目の前に1000枚の資料があるのと500枚の資料があるのでは、どちらのほうが探す時間は短くて済むでしょうか。考えるまでもなく500枚です。資料の整理方法が同じならば量は少ないほうが、探すのに費やす時間が短くて済むのは当然です。
筆者はこれまで、研修や講演で色々な企業を訪問しましたが「モノを増やしたほうがいい」と思ったことはありません。ほとんどのオフィスが、不要な資料が乱雑に置かれていたり、机の上が散らかっていたり「モノを減らしたほうがいい」と思えるところばかりというのが正直な感想です。
タイパ向上をはじめとして、モノを減らすのは仕事に対してメリットしかありません。ここでは、主なメリット5つを順に説明しましょう。
1.時間の節約
モノが少なければ、探す時間が減ります。もともと片付いていれば、新たに片付けたり、整理整頓したり、探すために環境を整えたりする必要がありません。その分の時間を別の有益なことに使えます。
2.経費の節約
モノを減らす習慣が身に付けば、不要な消費を抑えることができます。たとえば、使っていないボールペンを何本も持っているなら、それは余計な買い物をしているということになり要注意です。必要なものを必要な分だけ購入すれば、無駄がありません。無駄なものを保管する場所も取りません。
3.ストレスの軽減
モノが少なければ、当然散らかることもありません。散らかっている状態は心理的なストレスにもなります。モノを減らせば、周囲の人に「汚い」と言われて恥ずかしさを覚えたり、探し物が見つからずにイライラしたりすることから解放されます。
4.集中力の向上
必要なモノだけが視界に入れば、目の前の仕事に集中できます。気が散るのは不要なモノが目に入るからです。モノを減らせば、集中できる環境が手に入ります。
5.自信の向上
自分自身で環境を整えることが、自信と自己効力感を高めます。モノを減らすという自発的な行為によって「タスクを遂行する力を持っている」と認識することにつながり、仕事への挑戦意識が増加する可能性があります。
このように「モノを減らす」という行為にはメリットが多く、デメリットよりもメリットのほうが大きいと言えます。モノを減らす・捨てるというのは小さな習慣かもしれませんが、これによって仕事の生産性が大きく変わるのです。
仕事における「ミニマリスト」の是非とは
昨今、「ミニマリスト」と呼ばれる、必要最小限のモノしか持たないライフスタイルの人々が話題にのぼることがあります。必要なモノの量は人によって違います。ミニマリスト的な生き方を快適と感じる人もいれば、同じモノを複数持っている、モノに囲まれている、そのほうが快適だと考える人もいるでしょう。プライベートの場合、どちらがいいかは、何に重きを置くのかによって異なるため、一概に語ることはできません。
しかし仕事の場合、モノを持つ持たないの判断は明確で、「どちらの生産性が高いか」で考えるとよいでしょう。
前述したように、モノを捨てることのほうが一般的にはメリットが多く生産性が向上すると考えられますが、もし、手元に参照できる書類がたくさんあるほうが安心でき、それらの書類を捨てると心もとなくなって仕事が手に付かないならば、それは生産性の低下につながってしまいます。そうした場合は、無理をしてまで捨てるのは避けましょう。 【次ページ】モノを減らす「4つ」の基準
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